いなり寿司といえば、油揚げの中に酢飯を詰めた日本の伝統的な料理。コンビニやスーパーで売られており、よく口にするという人も多いのではないだろうか。
そんな全国的に親しまれているいなり寿司だが、地域によってその形や具材に違いがあるよう。なぜ同じいなり寿司で地域差が生まれるのか、詳しく見ていこう。

いなり寿司の形には意味がある!?
(画像はイメージ)
●「いなり寿司」と聞いても思い浮かべる形が違う!?
 まずはいなり寿司の形について。大きく分けると「長方形(俵型)」と「三角形」の2種類があり、東日本では基本的に「長方形」をしていることが一般的だ。特に北海道、東北、関東、甲信地方では「長方形」が圧倒的に多い。しかしなぜか、北陸の一部では「三角形」のいなり寿司を食べている人もいる。
 「三角形」のいなり寿司は西日本で多く見られるようで、理由には「稲荷神社の狐の耳を模している」「伏見稲荷大社のある稲荷山の形に見立てている」などさまざまな説が存在する。
 ちなみに東日本のいなり寿司が「長方形」の理由には、「米俵を模して豊作を祈る」という説があるようだ。
 また、いなり寿司の中身の具材についても地域差が見られる。例えば東日本では基本的に酢飯のみを詰めることが多い。しかし西日本はシイタケ、ニンジン、ゴマなどの具材を混ぜ込んだ「五目いなり」が一般的。関西ではこれを「五目いなり」と呼ぶ上に、いなり寿司自体を「おいなりさん」とも呼ぶ。
東日本でも「おいなりさん」と呼ぶ人もいるが、「おいなりさん」と聞くと「いなり寿司」ではなく「稲荷神社」を連想する人が多いだろう。
 一口に「いなり寿司」といっても、地域によって形も中身も違うということがわかった。ぜひ自身の住んでいる地域だけでなく、他の地域のいなり寿司も食べ比べてみてほしい。(フリーライター・井原亘)
■Profile
井原亘
元PR会社社員の30代男性。現在は流行のモノや現象を追いかけるフリーライターとして活動中。ネットサーフィンとSNS巡回が大好きで、暇さえあればスマホをチェックしている
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