時間を止めてファインプレーを確認!(画像はイメージ)
●3Dデータ化によって新しい視点からの撮影に成功!
まず注目するのは、キヤノンの「ボリュメトリックビデオ」というもの。この技術を用いたプロ野球中継は、2023年に「第50回放送文化基金賞」も受賞している。平面ではなく体積(volume)の情報を取得することで、これまでにない視点からの野球中継を実現したことが評価された。
同技術では、100台規模のカメラで同時撮影することで時間と空間を丸ごと3Dデータ化。あらゆる位置・角度からスタジアム内を捉えるという自由なカメラワークを実現し、まるでグラウンド内に入り込んだかのような、選手目線の映像を撮影できる。視聴者は画面を通して、キャッチャーや内野・外野など様々な視点からの中継映像を視聴することが可能となった。
また、時間を止めて上下左右から回り込むように対象を撮影することもでき、ファインプレーの時などにはその瞬間をあらゆる角度から確認できるハイライト映像となる。VRゴーグルを通して視聴すれば、一段と迫力のある野球中継になるだろう。
プレーする側に活用されている最新技術としては、ミズノの「BLAST」という装置が有名。高校野球からプロまで幅広く使用されているシステムで、バットのグリップエンドに装着した小さな計測機器がバッティングを数値化してくれるというもの。バットスピード、アッパースイング度など13の項目をリアルタイムでチェックできる。
また計測した情報をもとに、アプリ内でスイングの3D軌道を確認したり、推定飛距離などを確認することも可能。新基準バットの影響で長打が難しくなった高校野球では、打撃技術を伸ばすために導入する学校も少なくないようだ。
このように最新技術の導入が進んでいる野球界。一昔前に比べると、より恵まれた環境で競技を楽しむことができている。今後はどんな新しい変化があるのか、選手の活躍と共に技術革新にも注目していきたい。(フリーライター・佐々木剛)
■Profile
佐々木剛
大手メーカーに勤務後、一念発起してウェブメディア業界に転職。その後フリーライターとして独立し、現在に至る。メーカー時代の経験を活かし、テクノロジー、機械、技術系中心に執筆。
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