結論から言えば、ノートPC購入にあたって絶対に見過ごしてはならないのは「キーボードの不良」だ。ほんのわずかでもキーボードの挙動がおかしい場合は即、交換・修理を求めることをお勧めする。理由は簡単。放置すると誤入力が山のように増え、信じられないほど生産性が低下するからだ。キーボード不良で、最も悲惨なのがパスワード。何度正しく入力してもはねられ続ける無間地獄を味わうことになる。ノートPCにとって、キーボードは「生命線」。特に中古品を購入する場合は念入りに確認したい。
キーボードの不良はバリエーションがいくつもある。キーを押しても反応しないというのが典型的なものだ。言語道断な不良だがわかりやすい。1回押しただけなのに複数回入力されてしまう「チャタリング」現象という、なかなか気付きにくい不良もある。こうした現象に出くわしたら問答無用で即、交換・修理だ。微妙なのは打鍵のフィーリング。
最近はL社のノートPCをメインに使っている。ここ4年ほどで、ばらばらのタイミングでばらばらのグレードのPCを4台、日本で購入した。そのうち2台をキーボード不良で修理に出した。特に先月購入したPCに至っては購入直後、すぐ不良が発見され即日で修理に出した。スペースバーのキーストロークが他のキーと明らかに異なって重かったからだ。たった4台という限られたサンプル数での計算だが、キーボードの初期不良発生率は25%。非常に高い。保証期間内にキーボードが故障した製品も入れると不良発生率は実に50%にも上る。
購入先によっても対応が異なる。家電量販店などの実店舗で購入した場合は「良品交換」で解決する場合が多い。不良が発生した商品を店舗に持ち込んで不良状況の再現ができれば、在庫次第でその場で交換してくれることも多いだろう。商品を持ち込むという手間はあるが、すぐに解決できるのでとても楽で速い。一方、例えばオンラインショップのアマゾン。初期不良に当たってしまった際ほとんどの場合、いったん「返品」して新たに購入しなおす、という流れになる。アマゾンは返品対応がスムーズで優れている。正当な理由があれば返品・返金に応じてくれ、返送料もかからない。ただ、返送と再購入の手間はかかってしまう。数量限定の特価品だと、同じ値段で再購入できない場合もあるだろう。
一番厄介なのが海外通販サイトでの購入だ。
そういえば中国の家電量販店には、必ずと言っていいほど購入時に製品の動作状況が確認できる「動作チェックコーナー」が設けられている。それだけ初期不良に遭遇する確率が高い、というわけだ。消費者は、メーカーや販売店を信用していない。激しいコストダウン競争の渦中にあって、日本も中国と似たような状況になりつつある。10~20年前に比べると、デジタル製品の初期不良率は全体に上がっているように感じる。ユーザーとしては購入直後に、隅々までしっかりとチェックして、しかるべき対応を取るしか防衛手段はないだろう。(BCN・道越一郎)
【注目の記事】
PayPal経由のクレームでECサイトの態度激変、1時間後に即返金
中国のアリエクに購入品の修理は依頼できる?──去年買ったタブレット「iPlay 50 mini Pro」のタッチパネル不良で【道越一郎のカットエッジ】
中国通販、驚愕の不良対応「グッと押せ」──人気の動画用100WLED照明で
ノートPCの自力バッテリ交換、互換品初期不良から換装完了までの道のり
まだPCが届かない──カオスを楽しむ中国通販