●ミドルやハイエンドの展開にも強い意欲
ヤマダHDの上野善紀代表取締役社長兼COOは「今回は低価格帯モデルの発売だが、今後はミドル、ハイエンドも含めて商品開発を進めていく。シリーズ化していくので楽しみにしてほしい」と語り、今回の新商品だけに限らず、ラインアップや商品カテゴリーを広げていくことに意欲を示した。
上野社長が意気込みを示すのも、同社が24年11月に発表した中期経営計画に織り込み済みだからだ。ヤマダデンキのPBとSPA(製造小売り)の事業規模は、24年3月期で740億円、売上構成比は5.8%。これを30年3月期に3000億円(24年同期比407%)、同15.0%にするという高い目標を掲げる。1モデルだけの販売では達成困難だ。
●頭打ちの市場環境を打破する
国内の家電市場が抱える課題もある。上野社長は「テレビや冷蔵庫、洗濯機はここ2、3年で単価は上がっているが、台数は減って頭打ちになっている。新商品の投入により縦型洗濯機からドラム式への単価アップを図る。
●日本ならではの斜めドラム式
会見には24年8月に同社会長付特別顧問に就任し、商品開発に携わった宮地晋治氏も出席。低価格を実現できた理由について「中国のODMメーカーの技術力が向上し、当社が直接仕入れることで中間流通のコストダウンが図れた」と語る。
また、「まずはお客様にドラム式洗濯乾燥機を買っていただける価格帯を重視した。安価な海外モデルに対しては、日本ならでは斜めドラム式の仕様をきっちりと押さえながら製品品質にこだわって作り上げた」と語り、価格だけでなく、日本の顧客ニーズに対応することで海外製品と差別化できるとする。
日ごろの販売員による接客で、直接顧客の声を拾える小売りならではの利点を商品に反映させた。実際、製造に欠かせない金型は、グローバル仕様だと日本の住環境に合わないため、独自に開発して投資したという。
もっとも、低価格を実現するための割り切りもある。国内メーカーで搭載が広がる洗剤自動投入機能がなかったり、一般的なドラム式の洗濯容量が12kgであるのに対して、ROROは9kgだったりする。この点は「今後のシリーズ化を期待してほしい」と上野社長は語る。
2024年の洗濯機の国内市場規模は424万台。
10万円台のドラム式洗濯乾燥機が洗濯機市場全体の活性化につながるのか、それとも海外メーカーのように国内メーカーのシェアを奪うのか。今後の家電市場を占う上でも無視できない新商品となる。(BCN・細田 立圭志)
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