厚生労働省は2025年6月1日、職場の熱中症対策を義務化する「改正労働安全衛生規則」を施行した。「WBGT(暑さ指数)28度以上または気温31℃以上の環境下で連続1時間以上または1日4時間を超えて実施」が見込まれる作業を対象に、「体制整備」「手順作成」「関係者への周知」が事業者に義務付けられる。
違反した場合、50万円以下の罰金などが科される。こうした環境を踏まえて今後、暑熱リスクを知らせてくれる機能を搭載するウェアラブルデバイスやスマートウォッチが数多く登場するだろう。そんな中、aiwaはいち早く、暑熱リスク検出機能を搭載した「aiwa band」を発売している。

●熱中症対策の基本は「見つける」「判断する」「対処する」
 厚労省は、職場の熱中症対策の義務化について基本的な三つの考え方を公表している。まずは作業員の様子がおかしいなどを「見つける」、次に医療機関への搬送や救急隊の要請などを「判断する」、そして救急車が到着するまで作業着を脱がせて水をかけて全身を急速冷却したりする「対処する」の三つだ。これらを踏まえて、現場の実態に即した具体的な対応に落とし込む必要がある。
 そして、熱中症の重篤化を防止するために事業者に「体制整備」「手順作成」「関係者への周知」が義務付けられる。罰則もあり、実施義務に違反した者に、6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金、企業に対しても50万円以下の罰金が科される。
 熱中症のおそれのある人への処置の例などは、厚労省の「職場における熱中症対策の強化について」(https://www.mhlw.go.jp/content/001476821.pdf)に詳しく示されているので、自社における熱中症対策づくりの参考にしてほしい。
 いずれにせよ、職場での熱中症による死亡災害は2年連続で30人レベルを記録していることが問題視されている。熱中症で死亡災害に至る割合は、他の災害と比べて約5~6倍も高く、死亡者の約7割が屋外作業。また、そのほとんどが「初期症状の放置・対応の遅れ」が原因だという。

 つまり、重篤化する前の事前のリスク察知や、迅速に医療機関に搬送するなどの対応がカギとなる。
●独自アルゴリズムの「暑熱リスク検出モード」
 5月21日に今年初となる気温35℃以上の猛暑日を観測する地域があり、広い範囲で30℃を超えるなど、2025年の夏も全国的な猛暑が予想されている。そうした中、暑熱リスクを防ぐ手段の一つに、ウェアラブルデバイスやスマートウォッチによる対策があげられる。
 現状、暑熱リスクを知らせてくれる機能を搭載するそれらのデバイスは少ないが、アイワマーケティングジャパンが24年12月に発売したaiwaブランド製品の「aiwa band」は、「暑熱リスク検出モード」を搭載する数少ないデバイスだ。価格はオープンで、実勢価格は8980円前後。
 暑熱リスクの表示は直感的にわかるように、ディスプレイの右下に赤・黄・緑の3色で表示する。暑熱リスクの高い順に赤が「高」、黄が「中」、緑が「低」を意味する。
 また、暑熱リスクが黄になると画面上の注意表示とバイブ機能で、赤になると警告表示とバイブ機能で知らせてくれるので、「見てなくて気づかなかった」ということも防げる。
 aiwa bandの暑熱リスク検出のアルゴリズムは、ミツフジが開発した、特許取得済みの独自のものを採用している。
 具体的には、腕の脈波情報から深部体温上昇の変化を推定し、暑熱リスクを検出する。ミツフジも「hamon band 2」という単機能リストバンド型デバイスを製造・販売しているので、技術面でも実績のある信頼できる機能なのだ。
●「WBGT(暑さ指数)28度以上」で熱中症患者発生率が急増
 また、偶然ではあるのだが、aiwa bandが検出する際に想定する暑熱環境は「WBGT(暑さ指数)28度以上」。
厚労省による熱中症対策の義務化の基準と同じだ。
 WBGTは1954年に米国で提案された指標で、人体の熱収支(外気と熱のやりとり)に与える影響の多い「湿度」「日射・輻射」「気温」の三つを取り入れたもの。表からも、日本各地でWBGTが28度を超えると熱中症患者発生率が急増していることがわかる。
 なお、aiwa bandは医療用機器ではないことを断っておく。また、暑熱リスク検出モードを使用する際は若干の注意が必要になる。
 暑熱リスク検出は自動検出機能を手動でオンにすることで稼働する。この際、通常は最大14日間も長持ちするバッテリーは、約1日に短縮される。暑さで重篤化するリスクを抑えられるのなら、毎日の充電も苦にはならないだろう。
 また、体温の上昇のみを検知するアルゴリズムのため、一度休憩するなどした場合には機能をオフにし、活動を始めたら再度計測を開始する必要がある。暑熱リスク検出中は、心拍計測・血中酸素濃度の計測などは使えなくなる。
●多機能で年中、普段使いができる
 aiwa bandは夏限定ではなく、年中、普段使いができるのも魅力だ。100種類以上のスポーツモードや心拍数、血中酸素濃度、歩数計、カロリー計算、睡眠モニターなど機能が充実し、昨今のスマートバンドに期待される機能を満たしている。

 そもそも、暑熱リスク検出専用デバイスだと、腕時計と合わせて二つ着用することになるが、aiwa bandは時計を含むスマートバンドとしての機能も充実しているため、わずらわしさがない。
 他にも、IP67等級の防水防塵のため、日常の家事やちょっとした雨の中での運動でも気にせずに着用できる。画面は、最大輝度450cd/m2で見やすい1.64インチ有機ELディスプレイを採用。炎天下の明るい場所でも表示がくっきりと見える。
 さらに、ブラックとベージュ、ホワイトの3カラーのバンドが付属するので、その日の気分や利用シーン、シーズンに応じて着せ替えが楽しめる。腕への装着も多段階で設定できるので、女性の腕にもフィットする設計になっている。
 職場での熱中症対策が義務化される中、暑熱リスクを知らせてくれて「見えないリスク」を可視化してくれるデバイスは今後も増えてくるはず。aiwa bandも、そうした対策の「備え」の一手となる有力デバイスの一つだ。
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