新幹線や特急などに乗車する際、紙のきっぷではなく、スマートフォン(スマホ)でチケットをオンライン購入して乗車する「チケットレスサービス(略称「チケレス」)」を導入する鉄道事業者が増えています。しかし、原則スマホでの使用と会員登録が必要となるため、従来同様、券売機や窓口カウンターで特急券を買い求める人は少なくありません。

 チケレスのみ割り引きを適用するケースもあり、さらに、一部のチケレスサービスはポイントで支払いができるので、全面的にチケレスに移行すると経済的にもお得です。そこで今回は関東エリアで特におすすめのチケレスサービスを紹介します。
●「チケレス」はポイント払いがおすすめ JRのグリーン車はポイント交換で
JR東日本 グリーン車(東海道本線、中央線快速など)
 チケレスと紙発券のハイブリッド型となるJR東日本のグリーン車サービス(以下グリーン車)は自由席のため着席保証はなく、満席で座れない場合でも返金はありません。しかし、通常、一般車両よりグリーン車の方が空いているため、グリーン車代は着席の保証ではなく、空間のゆとりの対価といえるでしょう。
 2025年4月1日から新たに中央線快速・青梅線でもグリーン車の導入が始まりました。チケレスでのグリーン車の乗り方は全路線共通で、「Suica グリーン券」を乗車前に購入し、座席上部のSuica グリーン券システムにSuica(カードまたはスマホ)タッチすると車内改札が省略され、目的地まで快適に過ごせます。
 新たに始まった中央線快速・青梅線のSuica グリーン券の料金は50キロまで750円、100キロまで1000円で、ともに通常料金(紙のきっぷ)より260円安いです。さらに、JRE POINT会員のみ引き換え可能な「(JRE POINT用) Suica グリーン券」なら距離を問わず400~600ポイント(400~600円相当)でグリーン車を利用できるので、紙のきっぷより圧倒的にお得です。
 なお、「(JRE POINT用) Suica グリーン券」は、JRE POINT WEBサイト・アプリで交換後、Suicaカードの場合は普通列車のグリーン車停車駅の券売機で、モバイルSuicaはアプリ上で受け取り操作が必要です。指定の期間内に受け取らなかった場合は自動的にキャンセルになり消費したポイントが戻るので、乗る列車を決めずに交換しても安心です。
出典:JR東日本
「(JRE POINT用) Suica グリーン券」の使い方
https://www.jrepoint.jp/point/spend/suica-green/
中央線快速・青梅線でグリーン車サービスを開始します(2024年9月10日発表)
https://www.jreast.co.jp/press/2024/20240910_ho02.pdf
西武鉄道 特急ラビュー・座席指定列車S-TRAIN
 西武鉄道の特急列車は、「ラビュー」の愛称をもつ「001系」を使用する池袋線系の「むさし・ちちぶ・ドーム」、新宿線の「小江戸」、座席指定列車は「S-TRAIN」と「拝島ライナー」があります。料金は種別や距離によって変わり、子どもは大人料金の半額です。

 チケレスサービス「Smooz」を利用すると、シートマップから好きな座席を選択でき、購入した特急券・指定券は2回まで乗車日時や座席を変更できます。Smoozは会員登録なしでも購入できるので、観光客でも使いやすいです。
 会員登録するとすべての機能を利用できます。乗車当日内の列車なら何度でも変更可能です。また、税込110円につき、西武グループの共通ポイント「SEIBU Smile POINT」1ポイントがたまり、ためたポイントで特急料金・座席指定料金の支払いも可能です。
 このほか、小田急電鉄の「EMot」の仕組みを利用したスマホ専用の「デジタル企画乗車券」(ブラウザーのみ)も提供しています。
出典:西武鉄道 チケットレスサービス「Smooz」
https://www.seiburailway.jp/railway/reservedtrain/smooz/
東武鉄道 TJライナーなど
 東武鉄道は数多くの特急列車・座席指定列車を運行していますが、東武東上線は座席指定制列車の「TJライナー」のみです。
 特急券・座席指定券の購入にあたり、25年1月に名称変更・リニューアルしたチケレスサービス「トブチケ!」を利用すると、いつでも利用料金の1%のポイントがたまります。また、座席の選択や、乗車日時や座席の変更(乗車日の変更は1回まで)、東武グループの共通ポイント「TOBU POINT」を使った支払いも可能です。
出典:東武鉄道「トブチケ!
https://tobuchike.jp/shop/default.aspx
小田急電鉄 特急ロマンスカー
 小田急電鉄は、全席指定席の特急「ロマンスカー」を運行しています。なお、平日に運行する通勤ライナーも、名称は同じ「ロマンスカー」です。
 特急券は、利用実績に応じて小田急ポイント(1~5%)がたまる「ロマンスカー@クラブ」をはじめ、複数のインターネットサービスから購入可能でき、支払い方法や特典(ポイント付与)の有無に応じて選べます。
さらに24年3月からサブスクリプション電子チケット「EMot ロマンスカーパスポート」も提供しています。
 なお、会員登録不要の「e-Romancecar」以外は、電子特急券(画面の提示)のみの取り扱いです。
出典:小田急電鉄 特急券の購入(予約)方法
https://www.odakyu.jp/romancecar/booking/
「EMot ロマンスカーパスポート」開始
https://www.odakyu.jp/news/b4fuqs0000000xat-att/b4fuqs0000000xb0.pdf
●便利な「チケレス」だが落とし穴あり バッテリー切れや日時誤りに気を付けて
 チケレスサービスは便利な反面、バッテリー切れで画面が表示できない状態になると無効となり、原則、通常料金を請求されるので注意が必要です。また、チケット購入時に乗車日時をうっかり誤って選択し、誤りに気付かないまま乗車・着席すると不正乗車になってしまいます。
 若干のデメリットもありますが、JR東日本の「(JRE POINT用) Suica グリーン券」利用時や、ためたポイントを使って特急券を購入する場合、追加の支出はゼロなので、ぜひチケレスサービスを活用してください。(ななしW)
■Profile
ななしW
ライター。ガンダムシリーズとコードギアスのファン。『ムーミン』グッズを集めている
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