家具・インテリア関連企業のニトリが、新たに力を注いでいる分野がある。「家電」だ。
部屋全体の「トータルコーディネート」をコンセプトに、ソファやベッドといった家具、寝具やカーテンなどのソフト商品、食器や収納用品などのハード商品に次ぐ「第4の柱」として位置づけている。

●「全てが1カ所でそろう」を実現
 ニトリが描くのは、住まいに必要なもの全てを1か所でそろえることができるトータルコーディネートの世界。「暮らしの豊かさを世界の人々に提供する」をモットーに、家電の取り扱いを拡大することで家具・インテリアの枠を超えた生活を提案しようとしている。
 家電市場の成長が鈍化する中でも、ニトリは本当に必要な機能に絞った手頃な価格設定で勝負。例えば、10kgドラム式洗濯乾燥機では「欲しかったけど高くて手が出なかった」「設置したいけどサイズが大きくて入らない」などの声に応え、10万円以下でコンパクト設計の商品を開発。その結果、ヒット商品となった。顧客の声を拾って、今まで市場になかった商品を作ることで世の中の需要を取り込んだ。
 ニトリが家電事業に着手できたのは、「商品開発において、商品部だけでなく、営業企画、店舗運営、物流、広告宣伝・広報など、さまざまな部署が横断的に関わるプロジェクトチーム制を導入したため」と家電商品部の関係者はいう。
 また、大手家電メーカー出身の開発者も迎え入れ、機能性とコストパフォーマンスを両立させる商品開発を実現。さらに、全国の約2万人の店舗スタッフによるリアルな顧客の声を吸い上げて商品に反映するなど、スピード感と実行力を商品開発に生かしている。加えて、家電量販店のエディオンとの共同開発も進行。シーリングライトなどを手始めに、共同で企画・販売する製品群を拡大している。

●「暮らしの豊かさを世界の人々に提供する」で成長へ
 今後、ニトリは大型家電のみならず小型家電のラインアップもこれまで以上に強化する。すでに発売しているトースターや電気ケトル、ヘアドライヤーなど、来店客が気軽に手に取れる商品の充実を図ることで、トータルコーディネートを加速させる。
 「暮らしの豊かさを世界の人々に提供する」を企業理念とし、成長を続けるニトリの家電事業。次なるフェーズでは、どんな革新が生まれるのか。今後の取り組みに期待がかかる。(BCN・佐相 彰彦)
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