モバイルプロジェクターに限れば、Ankerはこの5月現在で83.8%の販売台数シェアを占める。
この市場は同社の独壇場ともいえる。初代「Nebula Capsule」は2017年、米・クラウドファンディングサイト、Indiegogoで登場。日本では18年5月に一般向けに発売した。ユニークな製品だったが、解像度が854×480と粗い上、100ルーメンと暗く、当初はちょっと変わったプロジェクターという位置付けだった。
一方、プロジェクターのトップメーカーといえばエプソン。前年の年間販売台数1位のメーカーを表彰するBCN AWARDを、2005年から直近の25年まで、21年連続で獲得し続けている。この間ただの一度も年間トップの座を譲ったことがない。まさに押しも押されもせぬプロジェクターの王者だ。しかし、2位のメーカーは変遷してきた。05年と08年では松下電器産業(現パナソニック)、06年と07年が三洋電機(事実上消滅)、09年~21年はBenQジャパン。そして、22年~25年、エプソンの座を脅かし続けているのがAnkerだ。
エプソンのプロジェクターは、ほとんどが据え置き型の従来タイプ。5月時点での売れ筋は「ビジネスプロジェクター EB-W06」。3700ルーメンと明るく、フルHD解像度のオーソドックスなプロジェクターだ。5月の販売台数シェアは9.2%。Nebula Capsule 3に次ぐ2位だ。平均単価(税抜き、以下同)は5万6500円。偶然にも、5万6200円のNebula Capsule 3とほぼ同じだ。エプソンは家庭向けに「dreamio」シリーズも擁する。2005年に初登場し、当時はDVDドライブを内蔵するユニークなモデルとして人気を集めた。
月次メーカーシェアでは逆転劇も起きている。2022年5月時点ではエプソンは37.4%、2位Ankerは22.0%と大きな差がついていた。しかし、24年8月、シェア36.4%のAnkerが36.3%のエプソンを抜いて首位を奪取。12月も34.7%のシェアで首位を獲得した。直近5月ではエプソンがトップで36.4%、Ankerが32.3%。2社の差は確実に狭まりつつある。プロジェクター市場の首位攻防戦は、しばらく続きそうだ。(BCN・道越一郎)
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