【家電コンサルのお得な話・259】近年、SNSが選挙結果に与える影響は飛躍的に拡大している。「SNS選挙」というこの言葉へのイメージは人によって異なるが、ここでは私なりの意見を記させていただく。
かつては、テレビや新聞といったオールドメディアが世論形成の中心にあったが、スマートフォン(スマホ)の普及がこの流れを大きく変えた。

●SNSが政局を変えた!? 暴かれた「偏向が定めのオールドメディア」
 ある調査によれば、60代で9割超、70代で8割超、80代前半でも6割超の人がスマホを所有している。これにより、SNSやYouTubeは特定の若者層だけでなく、幅広い世代に浸透し、情報伝達の主要な基盤となっている。最近のニュースでは、孫から勧められてYouTubeを見るようになった高齢者が増えていることも報じられており、この変化が選挙戦に新しい風景を生んでいる。
 もう一つの要因は、オールドメディアへの不信感である。メディアは依然として社会的影響力を持つが、報道内容や姿勢に対する疑問は強まっている。例えば兵庫県知事選の際には、原因が本人にしかわからない事案を、あたかもSNSでの中傷が原因であるかのように断定的に報じ、自らの「事実報道の優位性」を強調することをメディア全体で行った。こうした姿勢は視聴者の不信感を一層高める要因となっている。
 今、オールドメディアとSNSは過渡期にある。第27回参議院議員通常選挙(参議院選挙2025)で参政党が躍進した背景の一つには、梅村みずほ議員の加入によって党の議席が5名となり、選挙前にオールドメディアが取り上げざるを得なくなった事情がある。結果として、SNSでの支持拡大とメディア露出が相乗効果を生み、オールドメディアの底力が改めて示された。
 このような力を持つメディアだからこそ、スポンサーや過去からのしがらみに影響された偏向報道を避け、自らの意見を交えず、淡々と事実のみを伝えて欲しいと思っている。

 既存メディアを中心に「SNSには偽情報が過剰に多い」と印象付ける報道がある一方、実際にはファクトも豊富に存在する。ただ、ファクトチェックを行う機関や専門家が必ずしも中立ではないという問題もあり、利用者は情報の真偽を自分で見極める力を身に付ける必要に迫られている。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)
■Profile
堀田泰希
1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所 堀田泰希を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実践的内容から評価が高い。
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