パナソニックは7月29日、ルームエアコン「エオリア」が家電製品としては初となるJC-STARの適合ラベルを取得したと発表した。従来から取り組んでいた品質での安心・安全性に加え、エアコンのネット利用時でもセキュリティーリスクに対する安全性が担保された。


9月発売のフル暖エオリア2シリーズでJC-STARレベル1を取得
 近年発売されているエアコンの多くが無線LANを内蔵し、外出中でもアプリを使ってインターネット経由でエアコンの操作が可能だ。しかし、インターネットに接続することは利便性の一方で情報が漏洩するリスクも想定される。
 経済産業省では2024年8月、「IoT製品に対するセキュリティー適合性評価制度構築方針」を公表。一定の基準のもとでIoT製品のセキュリティー機能を評価し、消費者にも分かる形で提示する仕組みを構築した。それがJC-STARという名称のラベリング制度だ。
 JC-STARの適合ラベルはレベル1~4を★の数で表す4段階に分かれているが、IoT家電製品に適合されるのはレベル1と2の2つ。レベル1は25年3月から申請受付を開始し、レベル2はまだ準備中のため現状での適合ラベルはレベル1のみである。
 パナソニックがJC-STAR「★1」を取得したのは、25年9月に発売予定の暖房強化型モデル「フル暖エオリア」のUXシリーズとTXシリーズの26機種。UXシリーズは霜取り運転中でも暖房運転が停止しない独自技術のハイブリッドエネチャージを搭載したプレミアムモデルだ。
 同じく25年9月発売でJC-STAR「★1」のTXシリーズは奥行き249mmのコンパクトモデル。ハイブリッドエネチャージは非搭載だが、外気温がマイナス25度でも運転可能で、外気温がマイナス20度の環境でも約50度の温風を吹き出す。
 同社では今後、発売されるエオリアすべてのシリーズでJC-STARの適合ラベル取得を目指す考えで、さらに製品カテゴリを拡大して発売するIoT製品のセキュリティーリスクに対する安全性を高めていくという。

Xシリーズは冷房運転でさらなる省エネを実現
 25年7月の平均気温は過去最高を大幅に更新し、5月1日から7月27日までに熱中症で搬送された人は累計で5万3126人。昨年の同時期と比べて約7000人多い。これだけ猛暑が続くと、長年使用しているエアコンは高温の影響で故障や高負荷による性能劣化などが起こりやすくなってくる。
 また、夜間も輻射熱の影響で室温が下がらず、睡眠中も含めて24時間運転をしている世帯は多いのではないだろうか。となると、やはり気になるのが長時間の使用による電気代の増加だ。
 パナソニックによると長時間の冷房自動運転によって必要となるパワーは3段階に分けられる。運転スタート時や外気温が非常に高いときは室温と設定温度の差が大きいため高負荷運転になる。室温と設定温度の差が多少あるときや外気温がある程度高いときは中負荷運転で、外気温が低いときや室温と設定温度の差が少ないときは低負荷運転となる。
 高負荷運転時は当然のことだが出力、つまり消費電力が大きい。低負荷運転時は逆に消費電力が小さくなり、設定温度に達すると最小出力で運転を行う。長時間自動運転で稼働すると、この低負荷運転の時間は結構長く、運転時間全体の3割ほどを占めるとのことだ。
 低負荷運転は消費電力が小さい運転だが、やはり長時間の運転ともなればそれだけ消費電力は増える。

 この課題に対して、パナソニックのXシリーズでは13年ぶりに開発したエコロータリーコンプレッサーを搭載し、低負荷運転時の省エネを実現した。
 従来採用していたコンプレッサーはローリングピストン方式で、冷媒を圧縮するためのピストンとベーンは個別のパーツ。低負荷運転時は低回転で時間をかけて冷媒を圧縮するため、このピストンとベーンの接点から冷媒が漏れやすかったという。
 新たに開発したエコロータリーコンプレッサーはアセンブルベーン方式で、ピストンとベーンを結合して冷媒が漏れにくい構造となっている。
 さらにローリングピストン方式はピストンが自転することで熱が発生し、コンプレッサーの性能低下にもつながっていた。しかし、新開発のアセンブルベーン方式ではピストンは自転せず、左右にスイングするため、熱の発生を抑えながら高効率運転ができるようになった。
 このエコロータリーコンプレッサーの採用で、設定温度に到達したあとの最小出力は昨年の機種と比べて約40%低減し、さらなる省エネを実現している。
 9月発売のフル暖エオリアUXシリーズでもこのエコロータリーコンプレッサーを搭載しており、寒い冬も猛暑の夏も快適に過ごせると同社では訴求する。
ちなみにパナソニックでは長期の使用や過酷な環境下での使用でも性能が落ちることがないよう、高い品質の維持に注力。極寒や猛暑、日射、豪雨、砂塵、ホコリなど1000を超える品質試験を実施して製品を出荷しているという。
 まだまだ暑い日々は続き、エアコンの故障やトラブルで買い替えを考えているのであれば発売中のXシリーズを、冬場の外気温がかなり低くなるため冬前にエアコンを買い替えようと検討しているなら9月発売のUXシリーズを買い替え候補としてみてはいかがだろうか。
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