パナソニックのスチームオーブンレンジ ビストロは2006年の初号機から今年で20年目を迎えた。これまでさまざまな進化を遂げてきたビストロだが、最新機種のNE-UBS10Dでは市販の冷凍フライが揚げられる新機能を追加し、調理前後の手間を大幅に軽減できるモデルだ。
●20年にわたって美味しさと家事負担の軽減を追求
初号機の発売から20年目を迎えたパナソニックのスチームオーブンレンジ ビストロ(以下、ビストロ)は、冷凍食品を解凍せずにグリル調理できる「凍ったままグリル」や、いろいろな食材を一つのボウルに入れてセットするだけの「ワンボウルメニュー」など、美味しさと家事の負担軽減を両立した機能を搭載してきた。
これらの取り組みが支持され、ビストロの歴代モデルの累計出荷台数は25年5月までで約352万台にも達している。24年に発売したNE-UBS10C(以下、NE-は割愛)のユーザーアンケートでは、製品の評価として「満足」「やや満足」と回答したユーザーが約96.4%だったという。
パナソニックは同社のホームページで簡単レンジ活用術や料理家の栗原心平さん監修のビストロおまかせメニュー、ありものの食材でつくる1週間メニュー、おすすめレシピなどのコンテンツを充実させてユーザーの日々の献立をサポートしている。
また、対象機種は限られるが購入後、無料会員制のCLUB Panasonicに登録して専用アプリへ接続すると、通常はメーカー保証期間1年のところ2年延長されて保証期間が3年になる。購入後も安心して継続使用してもらうこれらの取り組みに注力しているのも同社の特徴である。
オーブンレンジは、美味しさを追求しながらもお任せ機能などで調理に要する時間の短縮が長期のトレンドだ。メーカー各社は各種センサーと加熱方式・制御の進化により重量や加熱時間を考えることなく、食材を美味しく調理できる機能を搭載している。
近年では、冷凍食品・食材に対応した機能が注目されている。日本冷凍食品協会の調査によると、国民1人当たりの冷凍食品・食材の消費量は24年で23.6kg。10年前と比較すると2.5kg増えている。また、同協会が毎年実施している冷凍食品の利用状況に関する25年実施の調査では、冷凍食品を利用する頻度が1年前と比べて増えたと回答したのは全体の21.7%で、女性回答者では23.8%だった。
冷凍食品の利用増に対してパナソニックでは、冷凍食品に対応する機能を進化させてきた。例えば「高精細・64眼スピードセンサー」は冷凍食品を自動であたため、解凍時は「サイクロンウェーブ加熱」でムラなく芯までほぐせる、などである。
24年に発売したモデルでは、冷凍したストック食材をヒートグリル皿に並べるだけで調理ができる「おまかせグリル」や、冷凍食材と市販の調味料を一つのボウルに入れるだけの「凍ったままワンボウル」などの機能を搭載。おまかせグリルでは、ユーザーの3割以上が冷凍食材を活用しているとのことだ。
●冷凍食品の活用幅を広げるおまかせ熱風フライ
パナソニックのお客様センターへは、冷凍食品の揚げ物に関する内容が多数寄せられ、パン粉が付いているとんかつやコロッケ、エビフライなどの揚げ物は調理できるかという問い合わせが多いという。
これまでのビストロでは、冷蔵や常温の調理済みフライのあたためや、専用レシピで手作りしたものを調理できた。しかし、揚げる前の未加熱の冷凍フライは調理できなかった。
前述の冷凍食品に対する需要増とユーザーの声、そしてビストロをさらに進化させるため、庫内容量30Lの最新機種であるUBS10DとBS9Dは、新機能の「おまかせ熱風フライ」を搭載。揚げる前の冷凍フライの調理が可能となった。
おまかせ熱風フライの仕組みは、ビストロに搭載しているグリルヒーターとコンベクションヒーターを同時に使って上面と側面から食材を加熱し、さらにマイクロ波を吸収して加熱するヒートグリル皿で底面からも加熱するというもの。全面から加熱することで冷凍食品を素早く、サクッと揚げる。
三つの熱源は前機種でも搭載していたが、コンベクションヒーターは一律1380Wで、その電力の大きさからグリルヒーターとの同時加熱ができなかった。
しかし、冷凍食品を全面から加熱できるようになったことと、揚げ具合や食感は全くの別物である。油の温度を計り、加熱時間を考えて揚げるからこそ揚げ物は外側がサクッと、内側はふっくらとした食感になるのだ。
パナソニックではこの揚げ物の仕上がり具合にもこだわり、約2200通りの中から最適な加熱プログラムを見出した。特に難易度が高かったのは冷凍コロッケ。約50種類の冷凍コロッケを使ってプログラムの実験を行ったが、当初は加熱ムラや焦げ、型崩れなどの失敗を重ねたという。
何百回もの実験を経て導き出したのは、プログラムをコロッケ専用コースとその他コースの二つに分けることだった。コロッケコースは表面を先に固めて崩れを防ぎながら加熱するプログラムで、その他コースは先に食品の温度を上げて生臭さを飛ばすプログラムである。
●少量の油しか使わずヘルシーで美味しい揚げ物が調理可能
おまかせ熱風フライでの揚げ物調理は非常に簡単だ。冷凍食材をヒートグリル皿に並べ、コロッケ4個分で大さじ3~4杯の油を食材に付ける。UBS10Dはアプリで皿に並べた食材を撮影して本体に送信するだけ(BS9Dは本体で設定)で、加熱の温度と時間はおまかせで調理できる。
実際におまかせ熱風フライで調理したコロッケを試食してみたところ、外側はサクサクとした食感で焦げ目も付いており、中は非常にジューシーでホクホクした食感だった。
出来立てのコロッケと比べても、食感の違いはほぼ分からないように仕上がっていたのには驚かされた。美味しさもさることながら、油の使用量が少なく、一般的なコロッケと比べてもヘルシーだ。
なお、熱風フライで調理できるメニューは前述のコロッケや魚のフライだけでなく、とんかつや春巻き、唐揚げ、串揚げなどさまざまなメニューに対応している。ただし、天ぷらとクリームコロッケには対応していない。
家庭で揚げ物調理をすると油の温度や火の通り具合の確認が必要で、調理中はずっとつきっきりでいないといけない。さらに、調理後も油の処理や油ハネの掃除などで手間と時間がかかる。
おまかせ熱風フライなら文字どおりビストロにおまかせで、唯一必要なことは食材を並べたグリル皿を洗うだけ。そのグリル皿は食洗機対応なので、食洗機があれば後片付けの手間がほぼないに等しい。
気象庁の予報によると、全国的に9月も平均気温は高めとのこと。揚げ物が好きで食べたいが、家で揚げ物をするとキッチンが暑くなるので困るという向きに、ビストロのおまかせ熱風フライは最適な機能といえるだろう。
ユーザーニーズや調理環境の変化に対して、搭載機能を進化させて対応してきたパナソニックのビストロ。
UBS10Dは同社のオーブンレンジの製品の中で最も高価格の製品で、誰もが気軽に購入できる価格帯とはいえない。だが、メニューの幅や搭載機能、専用アプリ連携での簡単操作などを通して美味しさと調理の手軽さを兼ね備えた製品となっている。(BCN・風間理男)
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●20年にわたって美味しさと家事負担の軽減を追求
初号機の発売から20年目を迎えたパナソニックのスチームオーブンレンジ ビストロ(以下、ビストロ)は、冷凍食品を解凍せずにグリル調理できる「凍ったままグリル」や、いろいろな食材を一つのボウルに入れてセットするだけの「ワンボウルメニュー」など、美味しさと家事の負担軽減を両立した機能を搭載してきた。
これらの取り組みが支持され、ビストロの歴代モデルの累計出荷台数は25年5月までで約352万台にも達している。24年に発売したNE-UBS10C(以下、NE-は割愛)のユーザーアンケートでは、製品の評価として「満足」「やや満足」と回答したユーザーが約96.4%だったという。
パナソニックは同社のホームページで簡単レンジ活用術や料理家の栗原心平さん監修のビストロおまかせメニュー、ありものの食材でつくる1週間メニュー、おすすめレシピなどのコンテンツを充実させてユーザーの日々の献立をサポートしている。
また、対象機種は限られるが購入後、無料会員制のCLUB Panasonicに登録して専用アプリへ接続すると、通常はメーカー保証期間1年のところ2年延長されて保証期間が3年になる。購入後も安心して継続使用してもらうこれらの取り組みに注力しているのも同社の特徴である。
オーブンレンジは、美味しさを追求しながらもお任せ機能などで調理に要する時間の短縮が長期のトレンドだ。メーカー各社は各種センサーと加熱方式・制御の進化により重量や加熱時間を考えることなく、食材を美味しく調理できる機能を搭載している。
近年では、冷凍食品・食材に対応した機能が注目されている。日本冷凍食品協会の調査によると、国民1人当たりの冷凍食品・食材の消費量は24年で23.6kg。10年前と比較すると2.5kg増えている。また、同協会が毎年実施している冷凍食品の利用状況に関する25年実施の調査では、冷凍食品を利用する頻度が1年前と比べて増えたと回答したのは全体の21.7%で、女性回答者では23.8%だった。
冷凍食品の利用増に対してパナソニックでは、冷凍食品に対応する機能を進化させてきた。例えば「高精細・64眼スピードセンサー」は冷凍食品を自動であたため、解凍時は「サイクロンウェーブ加熱」でムラなく芯までほぐせる、などである。
24年に発売したモデルでは、冷凍したストック食材をヒートグリル皿に並べるだけで調理ができる「おまかせグリル」や、冷凍食材と市販の調味料を一つのボウルに入れるだけの「凍ったままワンボウル」などの機能を搭載。おまかせグリルでは、ユーザーの3割以上が冷凍食材を活用しているとのことだ。
●冷凍食品の活用幅を広げるおまかせ熱風フライ
パナソニックのお客様センターへは、冷凍食品の揚げ物に関する内容が多数寄せられ、パン粉が付いているとんかつやコロッケ、エビフライなどの揚げ物は調理できるかという問い合わせが多いという。
これまでのビストロでは、冷蔵や常温の調理済みフライのあたためや、専用レシピで手作りしたものを調理できた。しかし、揚げる前の未加熱の冷凍フライは調理できなかった。
前述の冷凍食品に対する需要増とユーザーの声、そしてビストロをさらに進化させるため、庫内容量30Lの最新機種であるUBS10DとBS9Dは、新機能の「おまかせ熱風フライ」を搭載。揚げる前の冷凍フライの調理が可能となった。
おまかせ熱風フライの仕組みは、ビストロに搭載しているグリルヒーターとコンベクションヒーターを同時に使って上面と側面から食材を加熱し、さらにマイクロ波を吸収して加熱するヒートグリル皿で底面からも加熱するというもの。全面から加熱することで冷凍食品を素早く、サクッと揚げる。
三つの熱源は前機種でも搭載していたが、コンベクションヒーターは一律1380Wで、その電力の大きさからグリルヒーターとの同時加熱ができなかった。
最新機種のUBS10DとBS9Dは、コンベクションヒーターの消費電力を300~1380Wに可変することで、同時使用が可能となったと同社では説明する。
しかし、冷凍食品を全面から加熱できるようになったことと、揚げ具合や食感は全くの別物である。油の温度を計り、加熱時間を考えて揚げるからこそ揚げ物は外側がサクッと、内側はふっくらとした食感になるのだ。
パナソニックではこの揚げ物の仕上がり具合にもこだわり、約2200通りの中から最適な加熱プログラムを見出した。特に難易度が高かったのは冷凍コロッケ。約50種類の冷凍コロッケを使ってプログラムの実験を行ったが、当初は加熱ムラや焦げ、型崩れなどの失敗を重ねたという。
何百回もの実験を経て導き出したのは、プログラムをコロッケ専用コースとその他コースの二つに分けることだった。コロッケコースは表面を先に固めて崩れを防ぎながら加熱するプログラムで、その他コースは先に食品の温度を上げて生臭さを飛ばすプログラムである。
●少量の油しか使わずヘルシーで美味しい揚げ物が調理可能
おまかせ熱風フライでの揚げ物調理は非常に簡単だ。冷凍食材をヒートグリル皿に並べ、コロッケ4個分で大さじ3~4杯の油を食材に付ける。UBS10Dはアプリで皿に並べた食材を撮影して本体に送信するだけ(BS9Dは本体で設定)で、加熱の温度と時間はおまかせで調理できる。
実際におまかせ熱風フライで調理したコロッケを試食してみたところ、外側はサクサクとした食感で焦げ目も付いており、中は非常にジューシーでホクホクした食感だった。
じゃがいもの風味と肉の旨味がしっかり生きていて、しかもごく少量の油しか使用していないので油っぽさが全くない。
出来立てのコロッケと比べても、食感の違いはほぼ分からないように仕上がっていたのには驚かされた。美味しさもさることながら、油の使用量が少なく、一般的なコロッケと比べてもヘルシーだ。
なお、熱風フライで調理できるメニューは前述のコロッケや魚のフライだけでなく、とんかつや春巻き、唐揚げ、串揚げなどさまざまなメニューに対応している。ただし、天ぷらとクリームコロッケには対応していない。
家庭で揚げ物調理をすると油の温度や火の通り具合の確認が必要で、調理中はずっとつきっきりでいないといけない。さらに、調理後も油の処理や油ハネの掃除などで手間と時間がかかる。
おまかせ熱風フライなら文字どおりビストロにおまかせで、唯一必要なことは食材を並べたグリル皿を洗うだけ。そのグリル皿は食洗機対応なので、食洗機があれば後片付けの手間がほぼないに等しい。
気象庁の予報によると、全国的に9月も平均気温は高めとのこと。揚げ物が好きで食べたいが、家で揚げ物をするとキッチンが暑くなるので困るという向きに、ビストロのおまかせ熱風フライは最適な機能といえるだろう。
ユーザーニーズや調理環境の変化に対して、搭載機能を進化させて対応してきたパナソニックのビストロ。
調理家電としての機能はもちろんだが、調理時間や手間の短縮で限られた時間を有効に活用できるのも大きなポイントである。
UBS10Dは同社のオーブンレンジの製品の中で最も高価格の製品で、誰もが気軽に購入できる価格帯とはいえない。だが、メニューの幅や搭載機能、専用アプリ連携での簡単操作などを通して美味しさと調理の手軽さを兼ね備えた製品となっている。(BCN・風間理男)
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