●1. まずは知っておきたい!ブレンダーの基本タイプ
ブレンダー選びで失敗しないために、まずは「どんな種類があるのか」から覚えておきましょう。現在市場には、大きく分けて「据え置き型」「コンパクト型」「パーソナル型」という三つのタイプがあり、それぞれ得意分野や使用シーンが大きく異なります。
本格的なパワーを求める方、コンパクトさと手軽さを重視する方、一人分の調理に特化したい方など、ライフスタイルによって最適な選択肢は変わってきます。購入後に「思っていた使い方ができない」「キッチンに合わない」といった失敗を避けるためにも、各タイプの特徴をしっかりと把握しておきましょう。
据え置き型ブレンダー(ミキサー)の特徴
一般的にブレンダーやミキサーと呼ばれているのが、据え置き型です。安定感とパワフルな処理能力が特徴で、台座部分に組み込まれたモーターと大容量の専用容器を使って食材を攪拌します。
据え置き型のメリットは、一度に大量の食材を処理できること。家族4人分のスムージーや野菜スープなら、材料をまとめて入れて、スイッチ一つで完成します。
容器は500ml~2L程度の大容量タイプが主流で、週末の作り置きや来客時の料理にも対応できます。最近では耐熱容器付きのモデルも多く、温かいスープを作った後、そのまま冷蔵庫で保存できる利便性も魅力です。
一方で、サイズが大きいため相応の設置スペースが必要になるという課題があります。キッチンカウンターに常設するか、使用時だけ取り出すかを事前に検討しておきましょう。また、容器、刃、台座と分解できるパーツが多いため、洗浄にやや手間がかかる点も覚悟が必要です。
コンパクトで使いやすい、ハンドブレンダーの魅力
近年急激に普及しているのが、このハンドブレンダー(ハンディーブレンダー)です。細長いスティック状の本体で、片手で操作できるコンパクトさが特徴です。
ハンドブレンダーの一番の魅力は、その手軽さにあります。鍋やボウルに直接ブレード部分を入れて使用するため、調理途中での使用や少量の食材を調理するのに最適です。例えば、ポタージュスープを作っている最中に野菜をなめらかにしたい時や、離乳食用に野菜を細かく刻みたい時など、サッと取り出してすぐに使えます。
収納面でもアドバンテージがあります。
ただし、据え置き型と比べるとパワーは控えめで、大量調理には向きません。また、片手で本体を支えながら操作する必要があるため、長時間の使用には向かないという面もあります。
一人分にちょうどいい、パーソナルブレンダー
一人用というニーズに特化したパーソナルブレンダーも人気です。容量は300~700ml程度とコンパクトで、一人分のスムージーやプロテインドリンク作りに最適です。
パーソナルブレンダーの特徴は、スリムで洗練されたデザイン。据え置き型ほどの存在感はないため、キッチンカウンターに置いても違和感がありません。また、多くのモデルで容器をそのまま持ち運び用のタンブラーとして使用できる設計になっており、朝作ったスムージーを職場や外出先に持参することも可能です。
機能面では、氷の粉砕に対応したモデルも多く、冷たいスムージーやフローズンドリンクが手軽に楽しめます。ティファールの「ミックスアンドドリンク ネオ」のような300W程度のコンパクトモデルでも、氷や硬めの食材をしっかりと調理できる性能を持っています。
操作もシンプルで、多くの機種がワンタッチ操作に対応しています。
容量の制限があるため家族分を作るには適しませんが、健康志向の単身世帯や、毎朝スムージーを飲む習慣のある人には理想的な選択肢といえます。
●2. 食材まるごと活用!「エコ×時短」レシピ集
ブレンダーを使った料理の醍醐味は、普段捨ててしまいがちな食材の皮や芯まで有効活用できるという点です。野菜の皮には実の部分以上に栄養が詰まっていることも多く、ブレンダーなら食感を気にせずおいしく摂取できます。ここでは、時短になるレシピをいくつか紹介します。
野菜の皮まで使う栄養満点スムージー
人参の皮には、β-カロテンが豊富に含まれており、むしろ皮の栄養価の方が高いといわれています。よく洗った人参をそのままブレンダーに入れ、りんごやオレンジと組み合わせれば、甘みのあるフレッシュなスムージーが完成します。
ハンドブレンダーなら深めのコップやボウルで、据え置き型なら専用容器で、人参1本、りんご半分、オレンジ1個の果汁、水100mlを入れて1分間攪拌するだけです。
大根の葉や白菜の外側の葉も、栄養価の高い部分です。これらをほうれん草やバナナと組み合わせれば、鉄分やビタミン豊富なグリーンスムージーになります。大根の葉は少し苦みがあるため、バナナやはちみつを多めに入れるのがコツです。パーソナルブレンダーなら一人分ずつ作れるので、家族の好みに合わせて甘さを調整できます。
あまり野菜で作る万能ペースト
冷蔵庫にある残り野菜を使って万能ペーストを作っておくと、さまざまな料理に応用できて便利です。野菜ペーストは冷凍保存も可能で、必要な分だけ取り出して使えるため、食材ロスを大幅に減らせます。
基本の作り方は、野菜300g程度をざく切りにし、オリーブオイル、塩と一緒にブレンダーでなめらかになるまで攪拌するだけ。玉ねぎ、人参、セロリ、パプリカなど、どんな組み合わせでも構いません。ハーブを加えると風味がグッと良くなります。
据え置き型ブレンダーなら大量にまとめて作れるため、週末の作り置きに最適です。ハンドブレンダーの場合は、鍋で軽く蒸した野菜をそのまま鍋の中でペースト状にできるため、洗い物を減らせるという利点があります。パーソナルブレンダーでも少量ずつ作れば、必要な分だけ新鮮なペーストが準備できるでしょう。
このペーストをパスタソースのベースにしたり、スープのダシ代わりに使ったり、肉や魚の下味に使ったりと活用法は無限大です。トーストに塗ってチーズをのせて焼けば、簡単でおしゃれな朝食にもなります。
冷凍する際は、製氷皿に小分けして冷凍しておくと使いやすくなります。凍ったら保存袋に移し替えれば、約1カ月保存可能です。
栄養丸ごと!野菜スープの時短テクニック
野菜スープは栄養を余すことなく摂取できる理想的なメニューですが、従来の作り方では時間がかかりがちでした。ブレンダーを使えば、煮込み時間を大幅に短縮しながら、食材の栄養を丸ごと摂取できるスープが簡単に作れます。
基本のテクニックは「蒸してからブレンド」です。野菜を蒸すことで甘みが増し、ブレンダーでの攪拌も楽になります。例えば、かぼちゃのポタージュを作る場合、かぼちゃ400gを皮付きのまま蒸して、温かいうちに牛乳200ml、コンソメ、塩・コショウと一緒にブレンダーにかければ完成します。従来なら30分以上かかる調理が、10分程度で完成します。
ハンドブレンダーを使う場合は、蒸した野菜を鍋に戻し、牛乳や出汁を加えてから直接鍋の中でブレンドできるため、移し替えの手間がありません。据え置き型なら一度に大量のスープが作れるため、作り置きや冷凍保存に適しています。
根菜類のミックススープもおすすめです。人参、玉ねぎ、じゃがいも、セロリなどを適当な大きさに切って蒸し、野菜ブイヨンと一緒にブレンダーでなめらかにします。最後に生クリームを少し加えれば、レストランのような本格的な味わいに仕上がりになります。
ポイントは、野菜を蒸すときに少し固めに仕上げることです。ブレンダーにかけるとさらに細かくなるため、蒸しすぎると水っぽくなってしまいます。また、熱いうちにブレンドする際は、容器の蓋をしっかり押さえ、少しずつ攪拌することを心がけましょう。
●ライフスタイルに合わせたブレンダー選びで、新しい食生活を
ブレンダーは単なる調理家電ではなく、現代のライフスタイルに合わせた「食生活改革ツール」として進化を続けています。据え置き型の本格的な大量調理から、ハンドブレンダーの手軽な少量調理、パーソナルブレンダーの個人特化型まで、それぞれが異なる生活シーンにフィットする設計となっています。
忙しい平日の朝でも栄養満点の朝食が準備でき、余りがちな食材も有効活用できる。そんな理想的な食生活を実現するパートナーとして、今や多くの家庭で欠かせない存在となっています。
食材を無駄なく活用し、時間を有効に使いながら健康的な食生活を送る。そんな現代的な暮らしのスタイルを、最適なブレンダー選びが大きくサポートしてくれるはずです。(マイカ・秋葉けんた)
■Profile
秋葉けんた
編集プロダクションのマイカに所属するITライター。雑誌、書籍、新聞、Web記事など、多岐にわたるメディアで執筆活動を行っている。特に家電やガジェット、IT関連の記事に豊富な実績があり、生成AIに関する書籍も多数手がけている。
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