「PCカメラ」が売れている。中でも特に人気なのがTP-Linkの「Tapo C200」。
7月ではこの1モデルで販売台数の33.9%を占めた。税抜き平均単価が3000円前後と安価。それでいて、LAN経由でカメラの向きを遠隔操作でき、動体検知機能なども備えるため、防犯用途にも役立つ点が受けている。全国2400の家電量販店やオンラインショップの実売データを集計するBCNランキングで、PCカメラ市場の現状を分析した。
 PCカメラの販売前年比は、台数、金額とも前年越えが続いている。台数では2024年10月以降10カ月連続、金額では24年5月以降15カ月連続だ。特に金額の伸びが大きく、昨年10月以降2桁成長を維持している。この7月の販売前年比は、台数が104.2%、金額が124.7%だった。
 PCカメラは大きく2つに分類できる。USB端子経由で直接PCに接続するタイプと、有線や無線のLAN経由でPCに接続するタイプだ。USB接続タイプは、オンライン会議などの用途でよく使われる。コロナ禍で販売が大きく伸びた。
一方、LAN経由で接続するタイプは、離れた場所から映像を確認するために使う。見守りや防犯用途が主だ。コロナ禍が終息し、オンライン会議需要が一巡した後は、LAN接続タイプの製品が主流。現在では販売台数の8割弱を占めている。
 LAN接続タイプのPCカメラのうち、73.2%がカメラの向きやズーム倍率などを遠隔で操作できる製品。外出先で自宅にいるペットの様子を確認する用途にも利用されている。USB接続タイプでは、遠隔操作非対応の製品がほとんど。遠隔操作できるタイプの製品も少数ながら販売されている。複数名が参加するオンライン会議などで、発言者を個別に捉える用途が主だ。
 メーカー別では、販売台数シェアでトップを走るのがTP-Link。7月現在で75.5%を占めた。22年11月以降トップシェアを維持しており、勢いは衰えない。
11.1%で2位のロジクールに大きな差をつけた。TP-Link躍進の要因は前述した需要の変化。コロナ禍ではオンライン会議用途でロジクールの製品が伸びた。その後、LAN接続カメラに強いTP-Linkが追い抜いた。
 7月現在で最も売れているのが、冒頭で紹介したTP-Linkの「Tapo C200」。この3年間の累計でも、最も売れたPCカメラだ。足元では2月から6カ月連続で販売台数トップを維持している。スマートフォン(スマホ)用のアプリが提供されており、アプリ経由で外出先からも映像の確認が可能。カメラの向きを操作するのをはじめ、各種設定も行うことができる。もちろんPCでも使用できるが、少々工夫が必要。手軽に使うならスマホを使った方がいいだろう。観光地などに設置されているお天気カメラのように、例え海外からでも操作できるのも楽しい。
多機能ながらも安価なので、おもちゃ感覚で買ってみても損はないだろう。(BCN・道越一郎)
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