最近知人から「『4Kテレビ』ってあまり聞かなくなったけど、なくなっちゃったの?」と訊かれた。私の回答は「全く逆。
当たり前すぎて言わなくなっただけ」。テレビ市場を知っている人にとっては周知の事実かもしれないが、普通の人には、意外にあまり知られていないのかもしれない。そこで、実際に4Kテレビの販売状況はどうなっているのか、改めてまとめてみることにした。データの出所は、全国2400の家電量販店やオンラインショップの実売データを集計するBCNランキングだ。

 昨年8月からこの7月までの12カ月間を累計した販売状況では、4Kテレビの販売台数構成比は57.1%だった。小さなテレビから巨大なテレビまで台数ベースでならすと、全体の6割弱が4Kテレビ、ということになる。これを販売金額でみると、83.9%を占めた。つまり、消費者がテレビに支払った総額の8割超が4Kテレビだった、ということだ。4K以外のテレビの販売台数では、ハイビジョンが23.2%、フルハイビジョンが19.1%。ちなみに、さらに解像度の高い8Kテレビは販売台数では0.04%とごくごくわずかだった。
 テレビが4Kであるかどうかは、画面サイズに左右される。小さな画面では解像度を高くしてもあまり効果がない。
大きな画面になればなるほど映像のアラが目立つようになる。そこで、大型テレビでは4K以上の高解像度のテレビが主流になっていくわけだ。この7月現在、販売されたテレビの平均画面サイズは45.8型。以前は32型を中心に30型台が幅を利かせていた。その後、平均サイズは40型を超え、50型に手が届きそうな勢いだ。実際、この1年で最も売れたテレビの画面サイズは50型台。販売台数の27.6%を占めた。次いで売れたのが40型台で27.2%。テレビ全体の過半は40型台、50型台で占めているわけだ。一方、かつて主流だった30型台も、21.5%とそこそこ売れている。ユーザー層を考えると、40型以上のテレビは、複数人世帯のメインテレビ、40型未満は複数人世帯のサブテレビか、単身世帯中心のテレビというイメージだろう。
 画面サイズのボリュームゾーンが分かったところで、今度は画面サイズ別にどの解像度のテレビが売れているのかを集計した。
その結果、50型以上のテレビでは、ほぼ100%が4K。残りが僅かに8Kという構図。つまり、50型以上のテレビを買うなら、ほぼ4Kテレビ一択だ。一方、40型台のテレビでは、4Kとフルハイビジョンが混在している。4Kが61.4%と優勢だが、残りはフルハイビジョン。40型台で、4Kテレビの平均単価(税抜き、以下同)は約5万7000円。一方、フルハイビジョンは約3万6000円。この2万円あまりの差をどう見るかだ。販売台数構成比からみれば、多少高くとも4Kが選択されている、ということになる。30型台以下になれば、逆に4Kは姿を消し、ハイビジョンか、より解像度の高いフルハイビジョンの二択だ。30型台ではハイビジョンが64.3%で過半を占める。このあたりのテレビでは、画質より価格が重視されることが多く、結果的に価格の安いハイビジョン優勢になっている、ということだろう。

 結論として、これからテレビを買うにあたり、50型以上の比較的大きなテレビを買うなら、結果的に4Kが「ついてくる」。30型未満のテレビを買うなら、ほぼハイビジョン。30型台なら、より解像度の高いフルハイビジョンも選択肢に入ってくる。問題は40型台だ。値段重視ならフルハイビジョン、少しでも高画質に興味があるなら4Kということになるだろう。ちなみに、地デジ放送は今のところ4Kに対応していない。まだフルハイビジョン画質だ。一見4Kテレビは無意味にも思えるが、テレビによっては、超解像技術などを駆使し、4Kパネルの利点を生かし、より高精細な映像を楽しむことができるものもある。
 本格的に4Kコンテンツを楽しむなら、BSやCSといった衛星放送の4Kチャンネルを視聴するか、YouTubeNetflixといったオンラインコンテンツを利用することになる。ゲームのモニターとして活用するのもいいだろう。一方、地デジ放送の4K化は、構想はあるものの全くの未定。一部では2030年ごろ放送開始できるのではとの予測もあるようだ。
しかし実際はこの3月、電波産業会(ARIB)でようやく標準規格が承認されたばかり、という段階。「地デジで4K」というのは、まだまだ先になりそうだ。(BCN・道越一郎)
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