2025年8月、完全ワイヤレスイヤホン(TWS)のメーカー別販売数量シェアで、Ankerが首位になった。同社が首位を獲得するのは25年6月以来2度目。
TWS市場は16年12月の初代AirPods登場から8年以上アップルが首位を獲得し続けていたが、ついに状況が変わった。家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」から、TWS市場におけるAnkerの動向を振り返る。

 Ankerがメーカーシェアで初めて10%を超えたのは24年1月。それまでは5%前後だった同社のシェアは11.2%まで上昇し、アップル、ソニーに次ぐ3番手まで上がってきた。
 その後、シェアは10%を下回る月もあったが、5月には11.8%まで上昇し、初めてソニーを上回り2位に浮上した。以降はアップルに次ぐ2位が定位置となる。
 25年に入るとシェアは10%台後半で推移するようになり、6月は18.8%を記録。ついに、アップルを逆転して初の首位となった。アップルは2016年12月の初代AirPods発売以降、8年6か月にわたって首位を獲得し続けたが、Ankerが初めて引きずり下ろした。
 7月はセールの影響もあり、アップルに押し戻されたものの、8月にAnkerは過去最高の18.9%を獲得し、2度目の首位に返り咲いた。
 25年8月のシリーズ別販売数量シェアTOP10をみると、Ankerは3位の「Soundcore P40i」を筆頭に、5位「Soundcore P30i」、8位「Soundcore Liberty 5」と、アップル・ソニーに並ぶ3製品がランクイン。さらに、TOP30までには計7製品が入っており、これは全メーカー中最多のランクイン数となる。

 アップルやソニーが3万円前後のハイエンド帯製品を主力にしていることに対し、Ankerは1万円前後の製品を主力に据えている。比較的安価な価格帯ながら、モバイルバッテリーで培った技術力を応用した急速充電や長時間再生可能なバッテリーを搭載するなど、消費者のニーズを充たした製品群で多くのユーザを取り込み、アップルの牙城を崩すことに成功した。
■BCN総研・筧采斗(かけい さいと)
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