楽天銀行やauじぶん銀行、三菱UFJ銀行など、対象の銀行取引の有無や回数に応じ、ポイントがもらえる金融機関は今や珍しくない。ただし、対象取引・カウント方法は銀行ごとに異なり、頻繁に見直し・改定があるので注意が必要だ。
この9月からは、事前に申し込むと「利息(現金)」の代わりに「ポイント」が受け取れる銀行が登場した。もちろん業界初の取り組みで、もらえるポイントはPayPayポイント、金融機関名はPayPay銀行だ。

●自動口座引き落としなどでポイントがたまる銀行・BANKサービス増加中
 まずは、近年増えている、対象の銀行取引によってポイントがもらえる金融機関の例として、楽天銀行のプログラムを紹介しよう。
 優待プログラム「ハッピープログラム」にエントリーすると、対象取引ごとにランクに応じて楽天ポイントがたまる(ポイント付与率最大3倍)。同プログラムのステージの判定は毎月25日終了時点の預かり資産残高または月間取引件数で変わり、最高ランクの「スーパーVIP」だと、提携ATM手数料は月7回まで無料、他行振込手数料は月3回まで無料となる。
 JR東日本グループのデジタル金融サービス「JRE BANK」の優待プログラム「JRE BANKプラス」も楽天銀行と仕組みは同じで、対象の銀行取引に応じ、JR東日本グループの共通ポイント「JRE POINT」がたまり、各種手数料が上限回数まで無料となる。なお、JRE POINT会員向けプログラム「JRE POINTステージ」は、JRE BANKの利用によって獲得したポイントも判定対象だ。
●PayPay銀行は利息の代わりに「ポイント」を進呈 毎月自由に変更可能
 さて、本題に入ろう。PayPay銀行(旧ジャパンネット銀行)は、銀行取引に応じてポイントを進呈するプログラムは導入していないものの、Visaデビットカードの利用に応じてPayPayポイントがたまり、PayPayアプリで銀行残高の確認ができるなど、PayPayユーザーには便利な銀行だ。また、「預金革命」として「ドル&円2%預金」に続き、25年3月から「ステップアップ円預金」を新たに開始した。
 さらに9月から、PayPay銀行の円普通預金に預けるだけで、「利息」または「PayPayポイント」の受け取りが選べる新機能を追加した。どちらで受け取るかは月ごとに設定でき、「PayPayポイント」を選ぶと、預金残高に応じて円普通預金金利が最大年0.4%(税引前)となる「ステップアップ円預金」に預けた残高に応じて受け取れる利息より0.1%高い最大年0.5%(税引前)の付与率でポイントを受け取れる。

 税引後の年利で比較すると、「利息」で受け取ると年0.31%のところ、「PayPayポイント」で受け取ると年0.39%にアップするので、預けている預金が多ければ多いほど、ポイントでの受け取りを選択したほうが得する計算だ。
 この預金残高に応じて「利息」または「ポイント」のどちらか一方の受け取りが選べるサービスは業界初の試みで、複数の特許を出願中という。PayPayポイントで受け取るには事前に設定が必要だが、連携手続きは分かりやすく、ストレスなく設定できるはずだ。
 21年4月の商号変更後にPayPay銀行の口座を開設した人は、PayPayまたはPayPay証券とセットで利用する想定で口座を開設したはずだ。よって口座への現金の代わりにPayPayポイントをもらって使い道に困ることはないだろう。また、対象の銀行取引に応じてポイントが獲得できるプログラムは、口座振替(引き落とし)などの対象の銀行取引をしない人にとっては一切メリットがないのに対し、PayPay銀行の「普通預金に預けるだけでポイントがもらえる」仕組みなら誰でもメリットがある。
 つまりこの取り組みは、今まで取り込めていなかった若者層の新規口座開設や既存口座保有者の預金残高増加を狙ったアプローチともいえるだろう。今年4月に預金口座数900万口座を突破したPayPay銀行の口座数の伸びが「利息の代わりにPayPayポイントでもらえる新機能」で加速するのか、今後の数字の動きに注目だ。(BCN・嵯峨野 芙美)
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