●アイ・オー・データ機器、2025年上期も首位維持
家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」によれば、2025年上期(1~6月)における液晶ディスプレー市場でアイ・オー・データ機器が首位を確保している。メーカー別販売台数シェアは20%を突破。国内外の有力メーカーが競り合う中、唯一20%台のシェアを維持し、圧倒的な存在感を示している。市場全体が前年よりも縮小する中での首位維持は、アイ・オー・データ機器の競争力を裏付けるものだ。2位以下は海外メーカーが占めるが、日本市場において、国内開発とサポート体制を強みにするアイ・オー・データ機器の優位性があらためて証明された形となった。
アイ・オー・データ機器は法人や教育機関向けの大口需要を着実に取り込むとともに、個人向けにもエントリーモデルからハイエンドまで幅広いラインアップを展開。法人向けスタンダードモデルではコストパフォーマンスを重視しつつ、在宅勤務に適したデザインや省スペース設計にも配慮するなど、きめ細かな対応力が首位維持の要因となっている。
●Type-C搭載と有機ELモデルが拡大
市場全体の出荷台数は減少傾向にあるものの、製品構成比に大きな変化が見られる。特にUSB Type-C対応モデルの伸長が目立つ。BCNランキングによれば、Type-C搭載率は23年上期の15.6%から24年上期に19.7%、25年上期に29.4%と、2年でほぼ倍増した。
背景には、ノートPCやタブレット端末の普及によって1本のケーブルで映像出力や電源供給、データ通信をまかなえる利便性が標準として求められるようになったことが挙げられる。特に在宅勤務やハイブリッドワークの普及で、接続の簡便さや机上の整理ニーズが拡大。MacBookや最新Windowsノートの多くがType-CやThunderboltを標準装備したことも、モニター側のType-C対応を後押ししている。
アイ・オー・データ機器はこうしたトレンドを早期に捉え、Type-C搭載モデルのラインアップを強化。新製品「LCD-C2SD-Fシリーズ」「LCD-C2SDシリーズ」などは、フルHD対応でType-C給電と映像出力に対応し、ノートPCをモニター下に置けるスタンド構造を採用した。法人や在宅勤務向けに利便性と省スペース性を両立させたモデルとして高く評価されている。
また、有機ELモデルの比率も拡大傾向にある。特にゲーミング用途での伸びが顕著で、23年上期の0.5%から24年上期に1.9%、25年上期に5.2%まで上昇。液晶が依然主流ではあるものの、有機ELの存在感は確実に高まっている。
●有機EL分野に初参入、戦略的な市場展開
有機ELディスプレー分野は、これまで海外メーカーが先行し、特にゲーミング分野で高い評価を得てきた。今年に入ってアイ・オー・データ機器もこの分野に初参入し、「LCD-GDQ271UEL」を発表した。
この参入は、アイ・オー・データ機器がこれまで築いてきた「液晶ディスプレーの代表ブランド」としての地位をさらに強化する動きだ。有機ELは価格面で法人や一般消費者に普及しにくかったが、価格の低下と製品の多様化で現実的な選択肢になりつつある。海外勢が市場を先行開拓し、一定の需要が形成された段階で、国内メーカーとして初めて参入したことは極めて戦略的といえる。
また、アイ・オー・データ機器の参入は「有機EL=海外メーカー」という構図を変える可能性があり、ユーザーに日本メーカー製の有機ELディスプレーという新たな選択肢を提供することとなった。
●高付加価値モデルで差別化 ユーザー目線の安心設計
アイ・オー・データ機器のLCD-GDQ271UELは、有機ELを搭載するだけでなく、長期利用でも安心して使える工夫を多数備えている。有機ELの弱点である「輝度低下」や「焼き付き」への対策として、画素ごとの負荷分散や残像抑制アルゴリズムを導入。3年間保証に加え、「焼き付き保証」も付与し、長時間使用するゲーマーにも安心感を提供している。これは国内メーカーならではのきめ細かなサポートといえる。
さらに、ユーザー体験を重視した設計も特徴的だ。画面下部のメンテナンス通知の表示タイミングを調整できるほか、映像設定メニューも直感的に操作できる設計となっており、プレー中のストレスを軽減する工夫が施されている。
●「東京ゲームショウ2025」に出展 新製品や企画を多数展示
アイ・オー・データ機器は、9月25日から幕張メッセで開催される「東京ゲームショウ2025」に出展する予定だ。新製品の有機ELゲーミングディスプレーやMini LEDモデルなど、幅広く展示する。さらに、開発中の製品や新規プロジェクトの公開も予定しており、業界関係者やユーザーの注目を集めそうだ。
東京ゲームショウは国内外のゲーマー、メーカー、メディアが集まる世界的イベントであり、アイ・オー・データ機器にとって新製品を披露するだけでなく、ブランド力をアピールして今後の市場戦略を打ち出す絶好の機会となる。25年上期のデータが示すType-Cの標準化や有機ELの拡大を背景に、アイ・オー・データ機器がどのような戦略を打ち出すのか。展示会での反応が、今後の国内市場に大きな影響を及ぼす可能性を秘めている。
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースです。
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