●物理的な対策で子どもの命を守る!
今回紹介する「東京こどもすくすく住宅認定制度」は、子育て世帯に安心して暮らせる住環境を広げるための仕組み。補助金(住宅1戸あたり最大260万円)は事業者に交付され、消費者は認定を受けた物件を選ぶことで恩恵を受けることができる。認定基準には、ベランダからの転落防止の手すりや、チャイルドロック付きコンロ、カメラ付きインターホン、指はさみを防ぐ建具、感電防止コンセントといった物理的な安全対策が多い。
この制度の前身は2016年に始まり、23年度に「東京こどもすくすく住宅認定制度」として見直され、本格的にスタートした。これまで集合住宅を中心に進められてきたが、25年度からは戸建住宅も対象に拡大されたことが大きな改正点である。
また、改修型には耐震改修費を補助する仕組みが新設され、既存住宅の活用が後押しされている。住宅金融支援機構との連携によって、認定住宅を購入する際に全期間固定金利型住宅ローンである「フラット35」の当初5年間の金利を0.5%引き下げる制度も導入された。
「東京こどもすくすく住宅」として認定された物件は、東京都のサイトの「東京こどもすくすく住宅認定制度」のページから確認できるほか、物件によっては募集広告やモデルルームなどでマークを示している。
数十年前、私自身も子育てのなか、ヒヤリとした経験が何度もあった。特にベランダでは、エアコンの室外機によじ登り、得意げに笑う子どもの姿に冷や汗をかいたこともある。遊びであっても、保護者にとっては子どもの命にかかわる一大事である。
ここで大切なのは、「子どもは言うことを聞かないもの」「少し高いところによじ登りたいもの」であることが当然と考え、教育として言い聞かせるのに加え、物理的な対策が必須という点である。
この制度は、東京都限定のうえ、高額物件にも適用される例があり、制度の公平性に対して疑問を投げかける声もあるが、こうした安全設計の住宅を社会全体で支える枠組みの意義は大きい。子育て世帯が安心して暮らせる環境を選べるよう、制度の存在を知ること自体が、安全な住まいへの第一歩となるだろう。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)
■Profile
堀田泰希
1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所 堀田泰希を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実践的内容から評価が高い。
【注目の記事】
「東京ゼロエミポイント」拡充 高齢者が省エネエアコンを購入すると8万円割引
今年4月から育児休業等給付が拡充! 条件を満たすと最大28日間手取り100%に!
居住者が答える「防災」に強い街 都道府県トップ5&市町村トップ30
東京都独自「0~2歳の保育料無償化」始まる 3~5歳は全国で無償化済み
1戸当たり最大160万円の補助金! ZEH水準上回る「省エネ住宅の新築」で全世帯が対象