●EcoFlowは24年のグローバル出荷台数で世界トップ
EcoFlowは2017年に創業し、現在は世界140カ国で製品を販売している。アメリカの調査会社によるとグローバルでポータブル電源の需要は増加しており、これにともなって参入メーカーも増加傾向にある。
ポータブル電源市場での競争は激化しているが、EcoFlowは24年のグローバルでの出荷台数が20.8%、売上高ベースでは30.7%で、業界トップという。同社では製品に搭載した独自の技術がこの成長要因の一つとみている。
そのEcoFlowが9月24日に発売する新製品がDELTA 3 MaxとDELTA 3 Max Plusだ。DELTA 3シリーズには既発製品としてDELTA 3とDELAT 3 1500、DELTA 3 Plusがある。いずれもバッテリー容量は約1500Wh以下だったが、新製品は2048Whで激戦区といわれる2000Whクラスのモデルである。
新製品2機種に共通する特徴としては、SICパワー半導体の採用と前面に集約した出力ポート、給排気スペースの位置変更、筐体にバッテリーを組み込むCTC(Cell To Chassis)構造が揚げられる。
SICパワー半導体は前述のとおり、シリコンカーバイド一を主材料とする半導体で、一般的なシリコン半導体と比べて熱伝導率が高く、電力損失が少ないことでの高効率という特徴がある。
ポータブル電源は電気を直流電力として溜め、ACポートで電力を供給するときは交流電力に変換する仕組みだ。この変換の際、変換ロスが生じて供給する電力は一般的に溜めた電力の85%程度になってしまうが、SICパワー半導体を採用したことで変換効率を92%程度まで高めたという。
これまでEcoFlowのDELTAシリーズの出力ポートは前面と背面に配置されていたが、特に使用頻度の高いAC出力ポートを前面に配置。
ポータブル電源は内部のバッテリー部の劣化防止や安全のため、給排気で内部の熱を外に逃がす構造になっている。新製品では、この給排気の位置を見直し、側面から前面と背面に変更した。これにより、狭いスペースに置く際、側面スペースを開けずに前後が開いていれば給排気ができるようになった。
EcoFlowの製品はバッテリーのセルをパックに収納して筐体に組み合わせるCTC(Cell to Chassis)構造を採用しているが、新製品ではセル自体を直接、筐体に組み込む構造に変更。この構造によってさらに小型化が実現できた。
もちろん安全性を担保するため、筐体はプラスチック素材の難燃性を評価するアメリカの認証規格であるUL94規格で最も高いレベルのV-0に合致する素材を採用しているという。
●四つのACポートを分割制御できるDELAT 3 Max Plus
新製品の特徴を紹介しよう。DELAT 3 Max Plus(以下、Max Plus)は、次に挙げる特徴を備えている。それは高出力と最大1kWh超の拡張性、ACポートの分割制御、10ポート出力と四つの充電方式による短時間充電だ。
Max Plusはバッテリー容量が2048Whで、定格出力は業界トップクラスの3000Wh。さらに同社独自のX-Boost機能で最大3800Wの機器にも対応する。
別売りの専用コードを使ってエクストラバッテリーを接続すると、最大で10240Whまで拡張することが可能だ。
新たにMax Plusが搭載したのは、四つのACポートを二つの系統に分けてボタン一つで分割制御できる機能。例えば四つのACポートにあらかじめ家電機器を接続しておき、非常時は優先的に給電する系統を設定しておいたり、使用しない時は片方の系統をオフにしたりすることが可能で、アプリからも操作できる。
出力ポートは前面に最大2000WのAC×4、USB-C×3(最大140W×1、最大45W×2)、最大18WのUSB-A×1で、背面には最大126Wのシガーソケットと最大378Wのアンダーソンで、合計10ポート。充電方式はAC充電とソーラー充電、車載では走行充電とソーラー+走行充電の四つの充電方式に対応している。
DELTA 3 Max(以下、Max)はMax Plusの簡易版で大容量ポータブル電源のエントリーモデルという位置づけだ。バッテリー容量はMax Plusと同じ2048Whだが、定格出力は2200W。X-Boost機能で対応する出力は最大2700Wである。
エクストラバッテリーには非対応で、出力ポート数は九つ。Max PlusにあるアンダーソンがMaxにはない。また、各USBポートの最大出力もMax Plusより低い数値となっている。
Max Plusの販売チャネルは同社の公式ストアとAmazon、楽天、YahooなどのECと家電量販店のECサイト。
ポータブル電源はキャンプや車中泊などの行楽はもちろん、停電を伴う災害時にも重宝する製品だ。ソーラーパネルを使えば家庭での省エネにも役立ち、日常から緊急時まで用途は幅広い。ポータブル電源の購入を考えているのであれば、進化したEcoFlowの新製品は検討の価値がある製品といえるだろう。
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