ハイセンスジャパン(以下、ハイセンス)は9月24日、国内で販売しているテレビとしては最大で、世界でも最大級の超大画面116V型のMini LED液晶テレビ「116U9R」を発表。市場想定価格は550万円で、同日から予約販売を開始した。


●大画面テレビで国内2位のシェアを狙う
 家電量販店やネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」で、2025年1~8月の液晶テレビの販売台数シェアをみると、ハイセンスはシャープと僅差で2位につけている。販売台数は前年同期比約112%でトップのTVS REGZAやシャープよりも伸長率が高い。
 まさに勢いに乗るハイセンスが発表したのが、国内の薄型テレビで最大となる116V型のMini LED液晶テレビ116U9Rだ。どれくらい大きいかというと、本体の外寸は幅が259cmでスタンドを含んだ高さは154.3cm、奥行きはスタンド込みで48.7cmと、とにかくデカい。
 予約販売開始の9月24日に行われた先行体験会で、同社の張喜峰代表取締役社長は「2023年は薄型テレビの販売台数シェアが4位でしたが、昨年は3位になりました。26年は2位を目指しています」と挨拶を述べた。
 同社の山本一人副社長は「当社のテレビはローエンドゾーンからスタートして、今はミドルゾーンの製品もかなり販売できるようになってきました。国内では55V型や65V型が主流になっていますが、これからは75V型の構成比を上げていきたいと考えています。75V型は今、50店くらいしか展示展開できていませんが、1000店ほど広げていきたいと思います。その選択肢としてフラッグシップの116V型を加えました」と話した。
●サンフレッチェ広島のジャーメイン良選手と大迫敬介選手がゲスト出演
 同社は世界的なスポーツイベントでオフィシャルパートナーとなり、スポーツを通して企業活動をアピールするスポーツマーケティングに取り組んでいる。全世界が熱狂するサッカー界最大のイベントであるFIFA World Cup(以下、W杯)は2018年と2022年に続き、2026年のオフィシャルパートナーとなったことが当日、発表された。

 この発表にちなんで、同社がユニフォームスポンサーを務めるJ1リーグのサンフレッチェ広島に所属するジャーメイン良選手と大迫敬介選手がゲストとして登場した。
 116V型を眼の前にしたジャーメイン選手は「このサイズでありながら画像がキレイ。自宅にハイセンスの85V型がありますが、それ以上に迫力があって圧倒されます」と話し、116U9Rを間近で見た大迫選手も「スゴくキレイというのが一番の印象で、音も良くて臨場感がありますね」と述べた。
 今後、W杯で出場する可能性もある両名に戦いたい国を聞くと、ジャーメイン選手はサッカー大国であるブラジルと回答。先日の国際親善試合の対アメリカ戦でキーパーとして出場し、ビッグセーブを連発した大迫選手は前回大会で優勝したアルゼンチンを挙げた。「やはり強いチームを倒していかないといけないと思っているので、アルゼンチンと対戦してみたいですね」と語った。
●116U9Rはフラッグシップの機能をすべて搭載
 116U9Rは前述のとおり、スタンドを含んだ本体の高さが150cmを超えており、テレビ台に乗せると画面最上部は一般的な大人の身長よりも高くなる。例えばスポーツ観戦やライブコンサート視聴でカメラがアップになると、等身大の選手やアーティストが画面に映ることになる。
 また、最適視聴距離の2.2mで映像を観ると、映画館の前列中央より少し前の席で視聴するのと同じような見え方になるという。75V型や85V型ももちろん大画面だが、116V型の超大画面テレビならではの楽しみを満喫できる。
 116U9Rは、大画面だけがアピールポイントではない。商品名のU9Rは、同社のMini LED液晶テレビのフラッグシップモデルに付けられているシリーズ名と同じ。
つまり、フラッグシップモデルに採用されている同社の最新技術が116U9Rにも搭載されているのだ。
 いくつかの技術を紹介しよう。ダイナミックXディスプレイのバックライトにはMini-LED X チップを採用し、拡散する光をレンズで前方向に集めて光漏れを低減。バックライトからの光は量子ドットダイナミックカラーでリアルに近い色に変換されて液晶パネルに映し出される。
 映し出された映像は、さらに広視野角仕様のADSパネルを採用した広視野角シートPROと映り込みを抑制したARコート低反射フィルムの2層を通して、どこから見ても引き締まった鮮やかな色で映像を楽しむことができる。
 テレビの司令塔であるエンジンは、U9Rシリーズと同様に最新エンジンであるHI-VIEW AIエンジン PROを搭載。AIによって画質を映像コンテンツに合わせてチューニングし、フレームの揺れやバンディングノイズを低減するとともに、4KアップコンバートやHDRアップコンバートなどで低画質の映像を高画質に変換する。
 また、同エンジンは映像だけでなく音の再生にも活用されており、コンテンツに合った音質モードをAIが自動で判断して切り替える。
 既存のU9Rシリーズと異なるのは内蔵スピーカー。最大出力は110Wで、トップスピーカー×2、サイドスピーカー×2、下部のセンタースピーカーと2つのフルレンジスピーカー×2という構成は既存のモデルと同じだが、116U9Rは2つのスピーカーからなるサブウーファーが2基搭載されている。これが85・75U9Rでは1基である。
 85V型よりもさらに大きい画面サイズのため、より迫力ある低音でシアター感覚を楽しめるという考えではないかと思われる。

 U9Rの価格は550万円。簡単に購入できる金額でないのは言うまでもない。しかし、その圧倒的な超大画面の迫力と高精細の映像は一見の価値がある。通常、このような高価格帯の製品は受注生産でなかなか実機を観る機会はないのだが、同社ではある程度、実機を見てもらえる機会を増やしたいと考えているとのことだ。
 かつてほどではないが、今でも海外メーカーの製品を色眼鏡で見る傾向がなくなったわけではない。実機を視聴する機会があれば、ハイセンスの技術のほどをぜひ自分の眼と耳で確かめてみることをお勧めする。(BCN・風間理男)
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