ビデオ関連ソフトメーカー大手のサイバーリンクが9月18日、動画編集ソフト「PowerDirector 2026」と写真編集ソフト「PhotoDirector 2026」のダウンロード版を発売した。「PowerDirector」は、家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」によれば10年連続国内販売本数シェアNo.1の地位を築いており、2025年上半期も引き続きトップシェアを獲得している。
今回の新バージョンでは、この実績に裏打ちされた開発力を生かし、AI技術を使った新機能を多数搭載。これまで以上に、簡単にプロ品質の編集ができるようになる。

●動画編集の常識を変える「PowerDirector 2026」
 PowerDirector 2026の一番の目玉は、新たに搭載されたAI音声翻訳機能。自身の声のトーンや話し方はそのままに、複数の言語で話す動画に変換できる。対応言語は日本語、中国語、韓国語、英語、フランス語、イタリア語など多岐にわたる。さらに、リップシンク機能により、音声に合わせて自然な口の動きも再現されるため、まるで最初からその言語で話しているかのような自然な仕上がりを実現する。
 この機能は、YouTubeやTikTokなどで世界に向けて配信したいクリエイターにとって、魅力のある機能といえる。従来は字幕での多言語対応が一般的だったが、この機能により音声そのものを翻訳できるため、より自然で視聴者を引き込むようなコンテンツ作りが可能になった。
 企業での活用も大きく期待されている。社内研修用の動画を複数言語版で効率的に作成したり、自社のYouTube用動画を多言語化したりなど、これまでは外部に委託していたが、その作業を内製化できるようになる。実際に、企業からの問い合わせが増加しているという。
 時短編集を求める現代のクリエイターにとっては、AI自動編集機能が強い味方になる。
旅行で撮影した動画や写真から、AIが自動的に見どころを切り出し、最大60秒のSNSでシェアできる動画に仕上げてくれる。AIが映像の内容を解析し、撮影場所まで自動で判別してタイトルに反映させる精度の高さも魅力だ。ショート動画の需要が高まる中、手軽にクオリティの高いコンテンツを作成したいユーザーにとって画期的な機能になる。
 動画内の特定のオブジェクトだけに効果を適用するには上級者の編集スキルが必要だったが、それも簡単になった。AIオブジェクトマスク機能で動画の中の人・ペット・物などをAIが自動で判別し、対象ごとに効果を適用できる。動画に写っている人の顔だけにぼかしを入れたり、背景の建物だけを違う色に変えたりといった基本的な編集から、特定のオブジェクトにだけパーティクルエフェクトを追加したり、人物にだけ光の演出を施したりすることができる。複雑な操作なしで映画のような特殊効果を簡単に作り出せるようになり、動画編集の表現の幅が格段に広がる。
 その他、クオリティ向上を支援する機能や、実況動画やオンライン会議の録画に便利な機能も強化された。多くのユーザーにとってこれまで以上に使いやすい動画編集ソフトとして進化している。
●写真編集の新時代を開くPhotoDirector 2026
 PhotoDirectorでは、写真編集の敷居を大きく下げるクイック操作機能を搭載している。AIが写真を分析して、その写真に最適な補正方法を提案してくれるため、写真編集の専門知識がなくても、プロが手がけたように仕上がる。暗い写真を明るくしたり、色合いを調整したりする作業を、AIが自動で判断して最適な設定を提案してくれる。
また、屋外で撮影した際に写り込んでしまう電線を、AIが自動で見つけて自然に消してくれるため、電線のない美しい風景写真が、誰でも簡単に作れるようになる。
 大量の写真を効率的に処理したい場合には、一括編集機能が威力を発揮する。複数の写真を同時に編集でき、切り抜き、背景除去、高画質化などの処理を一度に適用できるため、旅行写真のような大量の画像も短時間で処理できる。
 クリエイティブな表現を追求したい場合は、AI技術を活用したさまざまな生成機能が用意されている。静止画から動画を生成する機能により、テンプレートを選んだり、文章で指示したりするだけで、普通の写真に動きを加えることができ、SNS投稿での注目度アップが期待できる。人物写真からアバター画像を作成するAIアート機能では、SNSのプロフィール画像作成などに活用できる個性的な画像を生成できる。
 その他、写真の一部を文章の指示で別のものに変更できるAI置き換え機能や、邪魔なものを自然に削除するAIオブジェクト除去機能なども加わり、写真編集の可能性が大きく広がった。従来よりも直感的な操作で、オブジェクトを識別してワンクリックで選択し、AIによる自然な除去を実現できるようになっている。
●選択肢豊富なエディション構成
 PowerDirector 2026とPhotoDirector 2026は、ユーザーニーズに応じてサブスクリプション版(365シリーズ)と買い切り版が用意されている。
 サブスクリプション版の「365シリーズ」では、AI音声翻訳やAI動画生成、AI画像生成など、クラウドを活用した最新のAI機能の利用が可能。定期的な新機能のアップデートや、iStockの素材を活用したテンプレート、画像、音楽なども提供される。PowerDirector 365とPhotoDirector 365では生成AIを使うと消費される「クレジット」が毎月提供されるため、生成AI機能を存分に活用できる。

 買い切り版では、AIオブジェクトマスクやAI電線除去など、ローカル処理で動作するAI機能を搭載しており、基本的な動画・写真編集に必要な機能は十分にカバーされている。サブスクリプションに抵抗があるほか、クラウド機能を必要としない場合には最適な選択肢だ。
●10年連続受賞の背景にある開発力
 「BCN AWARD」10年連続受賞、そして25年上半期も継続してNo.1を獲得しているという実績の背景には、同社の継続的な技術力がある。毎年のように新機能を追加し、ユーザーの要望に応えてきた結果が、この実績としてあらわれている。今回紹介したAI機能強化だけでなく、さまざまな機能が追加・強化されているのだ。
 同社が長年にわたって重視してきたのは、ユーザーからのフィードバックを積極的に製品開発に反映すること。日本市場のトレンドや要望を本社に伝え、それを機能として実現することで、ユーザーにとって本当に必要な機能を提供し続けている。
 特に日本市場では、使いやすさと機能の充実度のバランスを重視する傾向が強く、PowerDirectorのアプローチが多くのユーザーに支持されている。プロ向けの複雑なソフトと、機能が少なすぎる入門ソフトの間を埋める存在として、幅広い層から高評価。動画編集が初めての人でも挫折せずに使い続けられる工夫が随所に施されていることが、長年の人気を支えている。この絶妙なバランス感覚こそが、同社製品の最大の強みといえる。
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