冬の寒い日の必需品ともいえる「ダウンジャケット」がドラム式洗濯乾燥機で洗えるようになった――。パナソニックは10月7日、都内で「衣類ケアセミナー」と題するイベントを開催。
10月発売のドラム式洗濯乾燥機「LXシリーズ」7機種と、11月発売の「SDシリーズ」2機種に新搭載した「ダウンジャケットコース」の使い方セミナーを、共同開発したゴールドウインと開催した。

●ダウンジャケットの汚れ洗いに不安
 新製品に搭載したダウンジャケットコースは、ダウンジャケットを洗濯槽に入れて、ボタンを押すだけで自動で「洗い・すすぎ(3回)・脱水」をしてくれる画期的な機能だ。
 パナソニックの調査によると、手入れで悩む冬物の衣類はダウンジャケットがトップ(65%)で、次にコート(63%)、ニットやセーター(48%)と続く。実際、ユーザーがダウンジャケットを洗う際は、「クリーニングに出す(1シーズンに1回)」が31%で最も多い。次に、「洗濯機で洗う(1シーズンに1回)」が23%とあるが、ダウンジャケットを洗濯機や手洗いで洗ったりすることに不安を覚えるユーザーも多いだろう。
 よくある失敗として、中わたが片寄ってダマになってしまうことだという。
●ハードルが高い「手洗い」
 イベントでは、ゴールドウインの開発本部テック・ラボの柴田徹氏が、手洗いの方法をレクチャーした。当日、柴田氏が着用していたダウンは30年前に購入したもので、きれいに手入れしていたが、手洗いは、いろいろなところに注意を払わないといけないという。「最低でも1シーズンに1回。基本的には汚れがついたら都度、洗ってほしい」と説明した。
 ダウンジャケットは丁寧に着用していても、襟の皮脂汚れや首元のファンデーション、スポーツによる泥汚れなどが付着しやすい。こうした汚れを落とすための手洗いはどうすればいいのか。
柴田氏は次のようにレクチャーする。
 まず、洗いで局所的に力をかけてしまうと、中の羽根が片寄ったり、羽軸からちぎれてしまったりする。ちぎれた細かくなった羽毛が生地外に出てしまったりして、保湿性が損なわれる場合もある。中わたが片寄らないように、やさしくまんべんなく手で押すようにして洗う。
 すすぎも十分にする必要がある。洗剤成分が生地の縫い目や中わたに残ると、シミになり汚れのように見えることもあるからだ。脱水は、絞るのではなく、バスタオルなどをやさしく押し当てて水分を取り除く。
 乾燥する際は、途中の半乾きの状態で中わたをほぐす。これを何度か繰り返さないと、かたまりとなって水分残りでカビの発生につながってしまう。このように、手洗いは、とにかく中わたが片寄らないようにケアしなければならず、なかなかハードルが高い。
 ダウンジャケットコースは、こうした手間をかけることなく、ボタン一つで洗濯機にお任せで洗えるのだ。
●「スゴ落ち泡洗浄」と「低振動設計技術」でブレイクスルー
 ゴールドウインとの共同開発は2021年から開始。
実は、中わたはそれほど汚れることがなく、主に生地表面の汚れをやさしく洗うのがコツなど、ゴールドウインの知見を反映した。ゴールドウイン側でもパナソニックの製品を借りて自社で試験して課題を出すなどしたそうだ。ちょうどコロナ禍だったこともあり、リモートで画面越しに仕上がり具合を確認するなどの困難を乗り越えて、ダウンジャケット専用のコースが出来上がった。
 開発でポイントになったのは、パナソニック独自の「スゴ落ち泡洗浄」と「低振動設計技術」のソフトのシーケンスを調整することで、中わたの片寄りの抑制と汚れ落ちを両立させた点にあった。
 洗いは、中わたが濡れる前に、やさしくシャワーを吹きかけて生地表面を泡洗浄する。スゴ落ち泡洗浄は、本体に搭載した専用の泡生成ボックスで空気を引き込みながら、細かく、やわらかい泡をたっぷりとつくる。界面活性剤を大量に含む濃密な泡は、繊維の奥まで浸透して汚れを浮かせて洗い落とす。
 しかも、洗濯槽から流れた泡洗浄水は、循環ポンプを通じて再び泡生成ボックスに戻す。再度、泡を生成して循環させるので、汚れがしっかりと落ちる。洗いの終盤は、ダウンジャケットに強いシャワーをあてて、短時間で汚れを落とす。
 すすぎは3回するが、最初はゆっくりと洗濯槽を回転させる。シミの原因となる洗浄残りも、なくなるようにすすぐ。
しっかりと水を切ってから中間脱水をすることで、脱水の失敗を防ぐ。
 脱水時もすすぎと同じように、立ち上がりの失敗を防ぐために段階的にゆっくり立ち上げる。段階的に回転数を上げていく中で、不思議なことにダウンは洗濯槽の奥で広がっていく。最後はしっかりと脱水して、水残りをなくし、シミの発生を防ぐ。
 脱水時の段階的な運転には、独自の低振動設計技術が活かされている。2本の「上つりスプリング」で洗濯槽をつるしたり、シングルとダブルの計4本の「制振ダンパー」で床への振動の伝わりを抑制したり、洗濯槽の前後にある「W流体バランサー」が、槽回転時の振幅を抑制する技術だ。総合的に洗濯槽の回転数や揺れ、衣類の片寄りを「3D見張りセンサー」で検知しながら抑制する。
 最後に、ダウンジャケットコースで洗えるダウンを紹介する。800g以下で、取り扱い絵表示が「手洗い推奨」「水温の限界温度が30℃や40℃のもの」などが対象となる。中わたに化繊を含むものも使用できる。
 一方で、家庭での洗濯が禁止されているものや、防水加工、シームレス加工(縫い目のない圧着加工)には使用できない。また、まとめて洗うことはできず、1着ずつの洗濯となる。

 LXシリーズやSDシリーズのダウンジャケットコースは、お気に入りの大切なダウンや、スポーツなどで汚れがちなダウンを家庭で洗濯できる。家族の場合、クリーニング代の節約にもつながるコースとして重宝しそうだ。(BCN・細田 立圭志)
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