●炊飯器の平均価格は5年間で113%上昇
近年、部材や製造コストの高騰により家電製品も高価格化が進んでいる。共働き世帯や高齢化、テレワークの普及などライフスタイルが大きく変わる中、タイムパフォーマンスや省手間のニーズが高まっており、家電に高度な機能が求められている。ただ、このような便利な家電は高額であるケースが多く、購入への心理的なハードルが高くなっている。
「全額返金保証」は、そうした心理的な障壁を引き下げる効果を狙う。2週間使ってみて気に入らなかったら全額返金保証してくれるので、消費者にとってはまさに「ノーリスク」だ。
これまでも、単独メーカーによる全額返金保証はあったが、今回、家電量販店のエディオンが主催することで複数メーカーを横断する形で品揃えできる。
上席執行役員 商品統括部の兵頭剛統括部長は「素材や資材の高騰で家電の価格もどんどん高くなっています。例えば炊飯器はこの5年間で1割以上も上昇していて、お客様の購買心理は非常に慎重なものになっています。『高額だから失敗したくない』『本当に使いこなせるか不安』『自分のライフスタイルに合っているか実際に使ってみないとわからない』。こうした不安や購入後のミスマッチが、家電選びの最大の障壁になっています。
対象メーカーと商品ジャンル、価格帯は次の通り。タイガー魔法瓶の炊飯ジャー(10万9300円~11万4800円)、シャープとティファールの自動調理器(2万9800円~6万4900円)、バルミューダのホットプレート(4万4550円)、シャークニンジャのミキサー(3万9600円)、レコルトのノンフライヤー(2万9700円)、TCLのミニLED液晶テレビ(9万9800円~19万8000円)。
対象商品の価格帯はいずれもエディオンの平均単価より高い。エディオンの平均単価はテレビで10万円、炊飯器で3万円~3万5000円、オーブンレンジで7000円~8000円だという。「高機能な家電を使ってみたい」というニーズを掘り起こす。
●全額返金保証の仕組みは?
具体的な全額返金保証の仕組みはこうだ。店頭で「専用申し込み用紙」と対象商品を購入して、14日間使ってみる。返品を希望する場合は、専用申し込み用紙のアンケートに回答し、レシート・本体・付属品・箱を用意。購入した店舗に返品商品を持ち込んで、処理が終了したら全額返金される。
使用済みの返品商品は、エディオンのリユース事業を展開する店舗で再販するのもポイント。「10月末から近畿の中環東大阪店、豊中店、伊丹店の3店舗でリユース事業を開始しています。
メーカーに返品するのではなく、エディオンのサーキュラーエコノミーの仕組みで完結する点も、顧客から支持されそうだ。なお、顧客が回答したアンケートは、メーカーにフィードバックして今後の製品開発に反映させたり、エディオンのPB商品開発のヒントにしたりする。
●返品率は約0.5%を見込む
期間限定でのサービス開始は、全額返金保証に対する顧客の反応がわからない点が多いため。今後、顧客からの声を反映しながら改善していきたいとする。気になる返品率については、既に全額返金保証を実施しているメーカーからのヒアリングなどを参考に、約0.5%と見込んでいる。
また、購入後のミスマッチを極力抑えるためにも、店頭での接客における顧客とのコミュニケーションを重視する。そのため、エディオンのネット通販では展開しない。(BCN・細田 立圭志)
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