【外食業界のリアル・26】外食業界が一番盛り上がる忘年会シーズンとなった。コロナ禍で宴会は一気に減少したが、近年は再び盛り上がりを見せている。
店の予約方法は多様化しているが、相変わらず幹事の店選びは大変であることは変わりない。そこで、繁忙時期の店選びと予約について語りたい。

●繁忙時期の幹事と店探し
 繁忙時期において幹事は「条件に合った店を探すこと」「空席確認」が大変であるが、その苦労はなかなか報われない。通常であれば、エリアや人数、予算などの条件に合った店をピックアップし、そこから個室の有無や雰囲気、料理などから予約する店舗を絞ることができるが、今の時期は空いている数少ない店を探さなくてはならず、その選択肢が限られてしまう。
 店を探すには「グルメ媒体」はいまだに主流となる。エリアや希望日時から空いている店舗を探すことができ、ポイントやクーポンなどの特典があるため、その人気は健在である。InstagramやXなどの「SNS」で店を探すケースも多くなったが、コースメニューの詳細や空席確認まではできないため、予約完了まで完結できずにもう一段階必要となってしまう。「Googleマップ」から店を探すのも定着してきた。
 が、現状は席のみしか予約ができず、コース予約が主流となる忘年会では使いづらく、二次会・三次会向けとなる。一度利用したことがある店舗であれば、LINEで予約する人も多い。だが人気店であればあるほど、予約をしようと思ったら希望の日時が埋まってしまっているということも少なくない。
 飲食店の予約について、この時期は特に「リクエスト予約」に気を付けなくてはならない。
リクエスト予約とはあくまで予約のリクエストをしているだけで、店舗からの連絡がない限り予約が確定していないものを指す。予約ができていると思って店舗に行ったら、実はリクエスト予約で入れなかった、というのは今でもよく起きるミスである。「即予約」であれば申し込みをした段階で確定するので、改めて確認をすることをおすすめしたい。
●忘年会の最新事情
 居酒屋チェーンではお得な忘年会の特別コースを設けているが、早めに予約をするとさらにお得になる「早割」をやっている。コース料金が安くなったり、飲み放題がプレミアムになったり、特別料理が追加されるなどの特典があるので、間に合うのであれば利用するのが良い。
 忘年会シーズンはグルメ媒体も予約獲得に力を入れているため、ポイントアップなどの特典やプレゼントキャンペーンなどをやっている。そのため、ポイントをためたい幹事はグルメ媒体を利用することも良いだろう。
 オウンドメディア(自社サイト)での予約獲得に力を入れている店舗も増えている。グルメ媒体はネット予約の人数に応じて送客手数料がかかってしまうため、その分のコストを顧客に還元してでも予約を獲得するために、自社サイトでの予約をお得にしているケースもある。
 また、繁忙時期では予約を取るにあたって自社サイトの予約枠が一番多くなっていることもある。店舗はグルメ媒体の在庫と連携するためのサイトコントローラーを使って予約を管理しており、仕組み上、グルメ媒体ごとに在庫を設定しているが、自社サイトでの予約は席が空いているものがそのまま取れるようになっていることが多い。そのためグルメ媒体では予約が埋まっているが、自社サイトでは予約が取れる、ということもある。

 「AIが勝手に電話して予約してくれる」というサービスも登場している。条件に合った店を勝手に予約してくれる利便性はあるものの、店舗が混雑しているタイミングにAIから店舗に電話がかかってくることもあって一部では敬遠されており、利用者に高めの手数料が発生することがあるなど、まだまだ課題はある。
 またこの時期、二次会以降は参加人数が予測しにくく、予約をせずに当日を臨むこともある。その場合は場所ありきで空いている店舗を探す形になるので、グルメ媒体かGoogleマップで探すのが適している。グルメ媒体ではエリア・日時を指定して空いている店舗を検索できるので、そこから選ぶことが可能だが、当日予約については店舗側の設定によって受け付けていないことがある。
 そのため、媒体上では予約できないのだが、電話をしたら入れたということもよくある話である。近くで入れる店を探すのであれば、Googleマップが活躍するだろう。
●予約は奥が深い
 「幹事の要望に合った店をすぐに予約をする」というのは単純そうに見えて実は奥が深い。幹事の要望は人数や日時、場所だけでなく、個室やテーブル席などの席タイプ、料理やコースの中身、クーポン、決済方法、喫煙場所、利用できる設備などはもちろんのこと、近年は「昼のみができる」「食べ放題あり」「単品飲み放題あり」「駅チカ」「車いすで利用できる」「ご当地メニューあり」など、細分化しており、いかに最適な店舗をマッチングするのかが問われている。また、店舗DXはすさまじい勢いで進んでおり、店側の空席をリアルタイムに管理していくためのインフラは少しずつ整ってきている。要望に合った店をすぐに予約できる、その日は近い。(イデア・レコード・左川裕規)

【注目の記事】
AIだけでは足りない、外食業界を支える人の技と共創の力
並ばず外食革命、予約・注文・決済が一体化
AI時代の飲食店集客、Webサイトの役割はこう変わる
人手不足を救うAIコール、外食業界の新常識とは?
ネイティブアプリとLINEミニアプリの最新事情、人手も含めた選択と集中がカギ
編集部おすすめ