【どうなる?モバイルバッテリーのこれから・1】モバイルバッテリーの発火事故が後を絶たず、マスメディアなどでも大々的に報じられることも増えた。一方で、経済産業省では4月から「資源有効利用促進法」の改正法を施行する。
モバイルバッテリーなどの回収をメーカーなどの事業者に義務付けるものだが、我々の生活に何か変化はあるだろうか。今回は、担当部局の経済産業省 GXグループ 資源循環経済課に書面インタビューを行い、何がどう変わるのか、解説してもらった(BCN・寺澤 克)。

●リサイクルを促進 循環経済を目指すための取り組みの一環
 資源有効利用促進法は、循環型社会を形成していくために必要な3R(リデュース・リユース・リサイクル)の取り組みを総合的に推進するための法律です。これは、制定当時の大量廃棄や不法投棄といった社会課題に対してリサイクルを推進する意味合いがありました。
 しかし、昨今は、ロシア・ウクライナ危機を背景とする資源制約・リスクの高まり、海洋プラスチックなどの環境問題も深刻です。そんな中、日本では、循環経済(サーキュラーエコノミー)の取り組みを進める必要が出てきたのです。サーキュラーエコノミーとは、国内で資源を循環させる、つまり、廃棄物となる前段階の資源を市場で循環させる取り組みのことです。
 ただ、これを進めるにあたり日本固有の課題に直面します。それは大きく分けて「資源制約」「環境制約」「経済成長との両立」の3つです。
●資源の輸入依存などが大きな課題に
 まず、「資源制約」については、世界的な資源需要の増加に対し供給が追いつかず、一部の資源が特定国に集中している現状があります。このため、再生材の安定供給体制を構築することが急務となっています。
 「環境制約」は、廃棄物処理や海洋プラスチックなどの問題が深刻化していることが挙げられます。
これに対しては、再生材の利用促進、3Rの徹底と廃棄物・CO2排出量の削減が求められています。
 最後に「経済成長との両立」ですが、昨今の日本は資源を輸入に依存している状態が続いており、国富の流出や物価上昇を招くリスクが懸念されているところです。欧州では、再生材利用を推進する規制を進めており、企業もそれに追従しています。
 これらの課題に対応しなければ、国際市場から取り残されてしまう、そんな可能性もあるんです。
 そして、これを踏まえて行ったのが、昨年5月の資源有効利用促進法の改正でした。●メーカーに回収を義務付け 事故を防ぐため適切に廃棄してほしい
 改正の主な内容は以下の4つになります。
・再生資源の利用計画策定・定期報告
・環境配慮設計の促進
・GXに必要な原材料等の再資源化の促進
・サーキュラーエコノミーコマースの推進
 モバイルバッテリーなどのリチウムイオン電池を使用する製品については、「GXに必要な原材料等の再資源化の促進」部分で大きな変化がありました。
 昨今のモバイルバッテリーなどの火災事故の調査結果などを踏まえて、リチウムイオン電池と一体型の電源装置(モバイルバッテリー)、携帯電話用装置(スマートフォン)、加熱式タバコの3品目を新たに、メーカーなどによる回収対象として追加しました。これにより、不適切な廃棄の抑制に寄与することになればと考えております。
 高い回収目標などを掲げて、メーカーなどが使用済みの指定再資源化製品を収集・運搬・処分する場合、通常は許可が必要となる廃棄物の収集・運搬・処分業について、廃棄物処理法の特例として、これらの許可を不要とする認定制度を創設しています。回収と再資源化のインセンティブを付与し、回収率の向上を図ります。
 その他について、「再生資源の利用計画策定・定期報告」は、脱炭素化に特に必要な再生資源を原材料として利用している製品を指定し、その生産量または販売量が一定以上の製造事業者に対して、定期報告を求めるものです。
これにより、再生資源の利用状況をモニタリングし、必要に応じて改善を促していきます。
 「環境配慮設計の促進」では、ライフサイクル全体を見据えた優れた環境配慮の製品設計に対して認定制度を創設します。これにより環境配慮設計の全体レベルの底上げを行いたいと考えています。認定を受けた製品については、国による公表や周知を行い、国による調達の基本方針などでも、配慮などを加えます。
 最後に「サーキュラーエコノミー(CE)コマースの推進」ですが、こちらでは、シェアリングやサブスクリプション、リユースなどの、CEコマースの健全な発展と活性化を目指し、CEコマース事業者の類型を新たに位置づけます。CEコマースビジネスの一定の基準を設けることで、さらに資源の有効活用を促進し、より安全にサービスを利用してもらおうというのが主な狙いです。
●国内での再資源化も課題 適切な処分や回収に向け他省庁とも連携
この法改正以外にも他省庁と連携した啓発活動などを展開しています。使用上の注意点などについては、消費者庁、消防庁、環境省などと協力し、周知啓発を強化しているところです。
 例えば、ホームページや電車内のモニター、駅構内などでのポスターの掲載といった形で、注意喚起を行っています。また、消費者庁では、リコール情報を確認できる点についても積極的に告知しています。
 さらに、資源回収や、分別回収体制の構築に向けたさまざまな実証事業を実施・支援しています。
 経済産業省で行っているのは、リチウムイオン電池からリチウム・ニッケル・コバルトなどの重要鉱物を回収・精製する実証事業を支援するという取り組みです。

 使用済みのリチウムイオン電池を破砕・分離する過程で、重要鉱物を含んだ「ブラックマス」が生成されます。しかし現状、ブラックマスは国内で製造されたとしても、その多くは海外事業者が購入し、再資源化(精錬)を行っています。
 国内での再資源化(精錬)が課題であると我々も認識しており、そうした現状を踏まえ、再資源化技術など、サプライチェーンの強靭化に資する取り組みに支援を行っているところです。
 次に、リチウムイオン電池の分別回収体制については、主に環境省が取り組んでいます。
 コンビニエンスストアなど、市民にとって利便性の高い場所でリチウムイオン電池の回収を試験的に行っているほか、回収拠点をWeb上のマップで見える化するなど、取り組みを進めています。
 このほか、膨張した電池の回収・処分に関する実態調査や適正処理の方針の取りまとめも行っています。
●回収を行うメーカー側はどんな取り組みを? 乞うご期待
 以上、経済産業省からの回答をまとめた。次に気になってくるのは、回収を義務付けられたメーカー・販売者側の動きだ。BCN+R編集部では、モバイルバッテリーのメーカー・販売者側に対しても取材を行っている最中である。
 彼らがどのような製品を作っているのか、安全性についてどのように考え、対策を講じているのか。各メーカーごとに、話を聞いたので、次回の更新をお楽しみに。
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