【どうなる?モバイルバッテリーのこれから・6】モバイルバッテリー絡みの事故が、話題に上ることが多くなった。政府も対策を進めているところで、今後は、事業者側に製品の回収義務が課されることになる。
そこで、メーカーなどは安全性に対してどのように考え、対処していくのか。本連載では、各社製品の特徴を踏まえながら、関係者に取材していく。今回取材したのは、モバイルバッテリーのシェアリングサービス「CHARGESPOT」を展開するINFORICHだ(BCN・寺澤 克)。
●設置数は約5.9万 8000mAh 急速充電対応モデルも展開予定
 話を聞いたのは、グループCPOで執行役員の広瀬卓哉さん、マーケティング部統括部長の石橋晋さんの2人。早速話を聞いてみよう。
──CHARGESPOTの事業について。
広瀬さん(以下敬称略) 2018年からこのシェアリングサービスを展開しています。創業者の秋山は、日本と中国・香港とを行き来しながらビジネスを展開していました。そこで、モバイルバッテリーのシェアリングサービスが普及していることを目の当たりにし、日本でも事業展開しようという運びになりました。
──現在はどれぐらいの設置台数になっているんですか。
石橋さん(以下敬称略) 現在は約5.9万(※2025年12月時点。グローバルでは8.7万台)となっています。

──駅やコンビニなどでもよく見かけることがありますが、どこに展開を?
石橋 国内外ですね。香港、台湾、シンガポール、オーストラリア、ヨーロッパなど、9地域で展開しています。海外で借りて日本で返す、なんてこともできてしまうんですよ。
 また、クレジットカードをタッチして借りられるモデルも最近投入しました。最近は飛行機への持ち込みも規制が厳しいですから、インバウンド客には非常に好評です。
──モバイルバッテリー本体について。
広瀬 現在展開しているものは、5000mAhの容量となっています。ライトニングケーブル、USB Type-C、マイクロUSBの3つのケーブルが付属しており、ほぼすべてのデバイスに対応しています。中身の部分、バッテリーセルは同じなんですが、何度かマイナーチェンジを繰り返して、現在の形となっています。
 特に故障で多いのが、ケーブル部分です。ここはセルよりも早く劣化してしまうので、継続的に改良を加えているところですね。
広瀬 ただ、スマートフォンのバッテリー容量も年々大きくなっています。
今後は、8000mAhで18Wの急速充電に対応した新型の投入も予定しています。
●某有名メーカーでも使われている信頼性高いバッテリーセルを使用
──安全性に関する取り組みは。
広瀬 まず、信頼性の高いバッテリーセルを使用しています。某大手スマートフォンにも使われているバッテリーを手掛けるATL社で製造しており、高い安全性と品質がすでに保証されたものになっています。
 もちろん、国際的に展開していますから、PSEマーク、CEマーク、UN38.3などの各国の認証も取得済みです。本体についても、過充電保護、過放電保護、短絡保護、温度検知機能など、基本的な保護機能を備えています。
──検査体制については。
広瀬 工場は中国にあるのですが、そこでの自主検査に加えて、外部機関による検査、出荷前の落下検査や充放電検査といった各検査を実施しております。
 また、われわれでも現地に研究開発センターを構え、工場側と密にやり取りしながら、品質体制などを確認しています。ときには、直接出向いて確認することもあります。
●不具合発生率はこれまでゼロ 製品は常時モニタリングし異常があればすぐ貸出不可に
──それでは、万が一事故が起こった際の体制というのは?
広瀬 それが、当社のモバイルバッテリーでは一度もそういった事象は起きていないんですよ。
──おお、それはすごいですね。

広瀬 ただ、万が一ですが、起きた場合は、社内でも緊急対応のフローは整備しており、社員が速やかに原因究明、回収・廃棄できる体制は整えていますのでご安心ください。
──ちなみに事故が起こらない要因というのは?
広瀬 はい、当社のこの筐体には、挿しているモバイルバッテリーを常時モニタリングできる機能を設けているんです。この機能こそ、より安全性を高めるために、当社が力を入れてきた部分。これのおかげで、今まで不具合が起きていないと言えるでしょう。
 バッテリー温度の異常やセルの劣化状態、そして落下などによる内部破損などを検知することで、異常が出たものは自動的に貸出対象から除外しているので、安心して使用可能です。
●バッテリー回収にもトライ 渋谷区内で実施
──安全な使い方など、啓発活動については。
石橋 Xアカウントのほか、CHARGESPOTのアプリ内、そして、当社ホームページでもモバイルバッテリーの安全利用について啓発しています。
 特に記憶に新しいのが2025年7月に山手線内で起こった発火事故。当社の製品ではありませんでしたが、すぐに取り扱いの注意として、リリースを出させていただきました。
 当社としては、「買わずに借りる」ことでバッテリーの事故のリスクを減らせると考えていますが、モバイルバッテリーの回収なども地道に進めています。例えば、渋谷区や区内のビックカメラさんと共同して、古いモバイルバッテリーの回収活動を実施しました。
●今後も「買うより借りる」方が安全で経済的を提案していきたい
──今後の展開は。

石橋 モバイルバッテリーってそんなに利用頻度が多くなければ、むしろ使う時だけ借りる方が、経済的で安全です。
 ですから、単なる設置場所の拡大に留まらず、「買わずに借りる方がスマート」という新しいライフスタイルを提案し続けていきたいと考えています。
 また、モバイルバッテリーの回収については、各自治体とのパートナーシップなどを進め、回収エリアも広めていければと思います。
──モバイルバッテリー本体については。
広瀬 元々はケーブルが壊れやすい状態でしたが、改良を重ねた結果、ケーブル部分は強化され、今度はセルの劣化の方が早くやってくるようになりました。
 また、中国の強制製品認証制度(3C)認証の厳格化の動きも近々起こるとも言われています。
 製品のモニタリング、そして社会情勢なども鑑みて、今後も引き続き、製品の改良を検討していきたいですね。
──ありがとうございました!
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