2月にパシフィコ横浜で開かれた写真と映像の祭典「CP+ 2026」のDJIブースで、内部構造が丸見えのスケルトン構造ロボット掃除機「ROMO」が国内で初公開され、カメラの展示会に掃除機という珍しい光景が見られた。ROMOには、ドローン譲りの「双眼ビジョンセンサー」「ソリッドステートLiDAR」が搭載されている。出展の理由を無理やり解釈するなら、掃除機というより、地面を這う高機能なカメラ付きロボットだから、とはいえるだろう。
なぜ空を主戦場にしてきたDJIが、地を這う掃除機に参入したのか。理由は、主に二つある。
船出は順風満帆とはいかなかった。2月、米メディアの「The Verge」などが、ROMOの深刻なセキュリティー問題を報じたからだ。事の発端は、フランス人のエンジニア、サミー・アズドゥファル氏が発見したバグだ。自作アプリでROMOを操作しようとしたところ、世界中の約7000台のROMOにアクセスできる状態にあることを発見。
DJIは3月6日、公式ブログ「ViewPoints」で声明を発表。サーバー側にあった問題を認めつつ、2月8日と2月10日の2回にわたり修正を実施。問題を完全に解決したと報告した。同社は「調査の結果、ユーザーデータが悪用された証拠は見つかっていない」としている。今後は第三者機関によるセキュリティー監査を強化し、業界標準の認証を積極的に取得する方針を示した。
肝心のROMOそのものの性能は、なかなかのものだ。2mm厚の物体をも検知できる上、サイドブラシとモップが共に伸縮するアーム、そして200日間メンテナンス不要を謳う自動洗浄ステーションも備える。2万5000Paという吸引力も最高クラス。スペックでは上出来の製品だ。
AI技術を実際のモノに搭載して活用する「フィジカルAI」が盛んになってきた。中国ではヒト型ロボット(ヒューマノイド)を手掛ける企業は100社を超えると言われている。この春節のテレビ番組では、子どもと一緒にカンフーを踊るロボットの演技を放映、技術力の高さを誇示した。DJIもこの波に続くかと思いきや、今のところその計画はないようだ。むしろ、ドローンからジンバル、カメラと、得意分野に関連する領域で、着実に守備範囲を広げてきた。掃除機では新参者だが、持ち前の技術力でどこまで先行する他社に迫れるかに注目だ。
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