前回「『他人にこう思われたら』っていう感情は、なんにもないです」と語ったように、孤高を貫くようなその姿は多くの人々を惹きつけてきた。インタビューはいよいよ、核心に迫る。
*こちらは2018年1月1日(月)0時までの期間限定配信となります。写真を拡大
——多くのメディアで、「平手友梨奈は憑依型だ」と言われています。その〝憑依〟という言葉が正しいのかはわからないですけど、いわゆる“入る”という感覚はあるんですか?
平手 そうですね。でもそれは、日によったり、時によったり、雰囲気によったり、曲によったり…自分でも全然わからないんですよ。
——曲との向き合い方はどんな感じですか?
平手 歌詞を読んで、それを自分に入れていって......ってことが多いですけど、MVを撮影するときに、監督さんといろいろ話して入っていく感じが多いです。とくに新宮監督との現場がそんな感じで。新宮監督の魂がすごくて。よく「もっと行けー!」って怒鳴られたりします。とくに『不協和音』のときがすごくて。
——ええ?? そのとき、本当に飛び込もうって思ったんですか?
平手 覚えてないんです。あとで「平手、あのときこういうことを言ってたぞ」って言われると、薄く「あぁ、言ったかも」って思い出したり、そのときにした行動をうっすら思い出せるんですけど…。だから海の方に歩いて行ったのは覚えているんです。でも、何を考えていたのかは覚えていなくて…。
——......あのー、少女漫画の名作に『ガラスの仮面』っていうお芝居の漫画があるんですけど、その主人公の「北島マヤ」みたいですね。いつもは普通の女の子なのに、お芝居に入ると別の人間になってしまう、みたいな。そんな人にリアルであったのは初めてなので……ちょっと驚いています。
平手 そうなんですね(笑)。
——北島マヤは幕が上がった瞬間に役に入るんですが、平手さんはどんな感じなんですかね。
平手 う~~ん......。
——入っているときは、平手さん自身の自我は、消えているんですか? 思考停止してるのか、それとも隣にいて俯瞰で見ている感じですか? すいません、感覚的な話になってしまって。
平手 覚えてないから......停止してるんですかね。どうやって〝入ってる〟のかは全然わからないんですけど......。あ、でも、今思ったのが、今、私服でインタビューしてるじゃないですか。そうなると、自分のステージとかやってきたことを、なんか客観的に見てしまって。今、客観的な平手友梨奈のインタビューになってるんですよ。だから、過去やってきたことをほとんど覚えてないので、「覚えてないです」ってなってしまって。でも衣装を来ていると、その曲を歌う人に〝入っている〟から......。なので、ステージの平手友梨奈の話を聞きたい場合は......。
——「あ、『サイレントマジョリティー』ですね、じゃあそのときの平手を呼んで来ます!」って言って、サイマジョの衣装に着替えて戻ってくる、みたいな??
平手 はい。そうじゃないと応えられない気がします。
——でも、それは無理ですよね?? 幕張の後みたいに「ヤバい」ってなってるときにインタビューなんて申し訳なくてお願いできないですよ!(笑)
マネージャー あの、すいません。さっき平手が「ヤバい」って話していましたけど、 それについて平手がツアー中に言ってたことを思い出しまして。
——なんでしょうか?
マネージャー 夏のツアーの後半のときに平手が言っていたんですが、ライブパフォーマンスってある種のエネルギーの放出じゃないですか。で、「私は、エネルギーの充電に時間がかかると思うんです。『サイマジョ』を歌ってエネルギーを出したら、 次の曲を歌うのに、また充電させて放出する。このエネルギーが溜まりきらないと放出できなくなる」って言ってたんです。
——なるほど。放電と充電が同時にできない、と。
平手 それ、言いました。一曲一曲、エネルギーを溜めて行かないとダメで。富士急ハイランドでやった『欅共和国2017』は、全部の曲のエネルギーが溜まってたんです。だから全部、良い感じにできたんです。 でも、共和国で一度全部カラになった気がしました。しかもアルバムのツアーだったので、やったことのない曲も多くて、エネルギーの溜め方がわからない感覚があって ......。でも、中途半端なパフォーマンスは すごく嫌で.....。
——普通だったら、最後までやりきるために、パワーを制限したりしますけどね。
平手 それができなくて。あとライブだと曲順とかも。ストーリーがあって全部繋がってるって思うんですけど、セットリストに、そのストーリーのつながりが見えないと、切り替えができないんです。
——......そうか。
平手 ライブは本当に大変なんです。
——......そう考えると、幕張のダブルアンコールは、完全にエネルギーゼロの状態でアクセルを踏んだんですね。......壊れますよ、その車。ブレーキはないんですか?
平手 ふふふ。でも、うーんどうだろう。自分ではブレーキかけれないです。
——ハンドルは動くんですか? ギリギリのところで、ハンドルを切って、危険を回避したりはできるんですか?
平手 どうだろう……いや、曲がれないと思います。
——......いや、気をつけて下さい。ガソリンなしで走らせると、車も人も一発で傷つきますから。
平手 でも、毎回、マネージャーさんが止めてくれます。それは本当に助かってます。