米国財務省、違法な金融取引を阻止するためDeFiにデジタル身分確認の導入を検討

米国財務省は、暗号資産(仮想通貨)市場における違法な金融活動を抑止するための対策として、デジタルIDを含む新技術の利用可能性に関する一般の意見をまとめている。

17日(現地時間)、米国財務省が分散型金融(DeFi)のスマートコントラクトに身分確認手続きを直接組み込む案を検討中であることが明らかになった。


今回の意見募集は7月に施行された「米国ステーブルコイン革新ガイドおよび確立法案(GENIUS)」に基づくもので、同法案は支払い型ステーブルコイン発行会社に対する規制枠組みを整備している。同時に財務省に対し、API、AI、デジタル身分確認、ブロックチェーン監視など、新たな規制遵守技術の研究を指示している。

財務省が公表した意見募集文書には、DeFiプロトコルにデジタル身分認証をコード段階で直接統合するアイデアも含まれている。この場合、スマート契約は取引実行前にユーザーの資格証明書を自動的に確認し、KYC(顧客確認制度)とAML(資金洗浄防止)手続きをブロックチェーンインフラ自体に組み込むことが可能となる。

財務省は「デジタル身分確認には政府発行の身分証明書、生体認証、携帯可能なデジタル資格証明書などが含まれ、これにより規制遵守コストを削減しつつ個人情報保護を強化できる」と説明した。また「これにより金融機関とディファイサービスは取引発生前に資金洗浄、テロ資金調達、制裁回避をより容易に検出できる」と予測した。

ただし、データプライバシーの懸念や、イノベーションと規制監督とのバランス問題など、潜在的な課題も認めた。財務省は「関連性があると判断されるすべての事項に関する意見を歓迎する」と表明した。今回の意見募集は10月17日まで実施され、その後財務省は議会に報告書を提出し、その結果に応じてガイドラインを策定したり、新たな規制を提案する可能性がある。
編集部おすすめ