オーストラリアのトニー・バーク内務大臣兼サイバー安全保障担当大臣は、政府として暗号資産ATM(仮想通貨ATM)を全面的に禁止する計画はないものの、金融情報機関オストラック(AUSTRAC)に対し、これを制限または禁止する権限を付与する方針を明らかにした。
バーク大臣は16日(現地時間)、ナショナルプレスクラブでの演説で「法案草案により、AUSTRACは“高リスク商品”に分類されるサービス、すなわち暗号資産ATMを制限または禁止する権限を持つことになる」と説明した。
同氏は、一般の銀行ATMも詐欺や違法資金移動に利用されているとしながらも、「暗号資産ATMの場合、違法資金の追跡や摘発がはるかに困難だ」と指摘。「利用者全員が問題というわけではないが、不正利用の割合が高く、追跡が難しい点で大きな懸念がある」と述べた。
オーストラリアは暗号資産ATMの導入が当初遅れていたものの、2022年末に民間企業が本格参入して以降、市場は急拡大。現在では世界第3位の暗号資産ATM設置国であり、2022年8月時点の67台から、現在は約2008台にまで増加している。
国内設置台数の半数以上は3社が運営しており、ローカルコイン(Localcoin)が868台、コインフリップ(Coinflip)が682台、ビットコインデポ(Bitcoin Depot)が267台を展開している。
コインフリップはコインテレグラフへの声明で「暗号資産ATMでは、政府発行の身分証明書を用いた本人確認(KYC)を必須としており、既に厳格な規制環境下にある」と強調した。
オストラックはこれまでにも暗号資産ATMの監視を強化しており、昨年6月には新たな運営規則と取引限度額を導入。コインフリップによると、各ATMにはブロックチェーン分析による取引モニタリング、リアルタイム詐欺警告、監視カメラなどの高度なセキュリティシステムが搭載されているという。
同社はまた、「暗号資産ATMは、物理世界とデジタル資産をつなぐ重要な架け橋だ」とし、「従来型ATMが減少し、銀行がデジタル資産に慎重な姿勢を保つ中で、仮想通貨ATMの需要は今後さらに高まるだろう」と展望した。

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