国際銀行間通信協会(SWIFT)が従来のMT方式メッセージ体系を終了し、ISO 20022標準へ全面移行を完了したことで、グローバル金融ネットワークに大きな構造変化が始まっている。一見すると単なる送金メッセージフォーマットの統一に見えるが、金融業界ではこの動きを「ブロックチェーン基盤の次世代決済インフラへの移行を後押しする転換点」とみる声が強い。
SWIFTは移行初日、全決済指示書の97%が新標準で送信されたと発表。ISO 20022は従来のテキストベースのMTフォーマットと比べ、送金者・受取人の膨大な情報を構造化して格納できるため、AML(資金洗浄防止)やKYC(顧客確認)に必要なデータを精緻に収集できる。これはスマートコントラクトを用いた自動化されたブロックチェーン決済を成立させる上で不可欠な要件でもある。データが明確に構造化されて初めて、ブロックチェーンネットワークはそれを読み取り、規制基準に沿って自動承認や拒否といった処理を行うことができる。
SWIFTはすでに昨年9月、ブロックチェーンベースの共有台帳導入計画を正式発表しており、現在16カ国の30以上のグローバル銀行が概念実証(PoC)に参加している。国内では新韓銀行が試験導入を進めている。これは、SWIFTがブロックチェーンを「代替技術」ではなく、既存金融インフラを強化する「中核技術」として受け入れ始めていることを示している。さらに、ステーブルコインの拡大とグローバル規制の再編も後押しし、銀行業界は決済システムをブロックチェーンとつなげる必要性に直面している。
こうした状況の中、国際送金に特化した設計を持つXRPの役割が高まるのは自然な流れだ。リップルネット(RippleNet)はすでにISO 20022を正式サポートしており、複数の国の金融機関と協力して国際決済を処理してきた実績を持つ。高速かつ低コストで安定性が高いXRPの特性が、ISO 20022ベースの構造化メッセージングと高い親和性を持つためだ。
また、AML・KYC強化が進む金融環境では、匿名性を前提とした従来のDeFiとは異なり、実名ベースで規制に対応できる決済資産の重要性が増している。ISO 20022は送金者の住所や資金の出所を構造化して記録できるため、ブロックチェーン資産を規制下に取り込みやすい。結果として、規制順守型で実務適用の豊富な資産の需要が高まり、XRPはその点で最も実例が多いプロジェクトと評価されている。
さらに、ステーブルコイン市場の成長により国際送金の一部が置き換わり始めていることも、金融機関の動きを加速させている。急激に変化する決済市場で遅れを取らないため、多くの銀行がブロックチェーンやスマートコントラクト基盤の決済技術を既存インフラに統合し始めており、ISO 20022はその中心で「架け橋」として機能している。
今回のSWIFT全面移行は、国際決済の構造が既存ネットワークからブロックチェーン基盤へと自然に拡張していく流れの出発点と言える。「ISO 20022 → データ構造化 → 自動化決済 → ブロックチェーン台帳導入 → 実使用決済資産の拡大」という一連のプロセスの中で、XRPは技術適合性・規制親和性・実用実績の点で優位なポジションを占めている。
つまり、ISO 20022の導入によって「XRPが新たに選ばれる」のではなく、すでに整備されたソリューションとしての優先度がさらに高まる。そうした変化だと解釈できる。金融インフラの大転換を背景に、今後のグローバル決済市場でXRPの活用はさらに加速すると見込まれている。

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