コインベースもジェミニも参入…米大手仮想通貨取引所の新事業は「これ」

最近、仮想資産(デジタル資産)を活用した分散型予測市場プラットフォームの規模が大きく拡大し、海外の大手仮想通貨取引所の新事業として予測市場プラットフォームが注目されている。

◆コインベースもジェミニも…米大手取引所に吹く「予測市場」ブーム

18日、仮想通貨業界によると、米国最大の仮想通貨取引所コインベースは分散型予測市場プラットフォーム「カルシ(Kalshi)」と提携し、自社予測市場プラットフォームをリリースする予定だ。


分散型予測市場とは、政治、社会、スポーツなど様々な分野の質問に対する答えを予測し、賭けができるプラットフォームで、賭けに仮想通貨が使用される。ポリマーケットやカルシなどの有名予測市場プラットフォームでは、USDCのようなステーブルコインはもちろん、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)などの仮想通貨を賭けてベットできる。

これらの予測市場プラットフォームは、リリース当初は分散型アプリの一つに過ぎなかった。しかし、昨年の米大統領選挙でポリマーケット内のベットが伝統的機関の世論調査よりも高い精度を示したことで、影響力を拡大し始めた。

特に最近では、デジタル資産市場が下落傾向にあるにもかかわらず、予測市場プラットフォームの取引量はむしろ増加した。仮想資産マーケットメイカーのキーロック(Keyrock)が16日(現地時間)に発表した報告書によると、2024年4月に1億ドル未満だった予測市場プラットフォームの取引量は、今年11月には130億ドルと130倍以上成長した。

これを受け、取引所も新事業として予測市場プラットフォームを本格的に導入し始めた。まずコインベースの予測市場プラットフォーム立ち上げは、今後総合金融プラットフォームへ飛躍するための新事業戦略の一環と解釈される。

先にブライアン・アームストロングCoinbase最高経営責任者(CEO)は、今年5月に投資家に対し今後の事業計画を説明する場で、10年以内に総合金融サービスアプリへ成長する目標を明らかにしていた。

予測市場をリリースすれば、Coinbaseは新サービスを通じてユーザーの流出を防げ、CalciはCoinbaseとの提携によりCalciプラットフォームで使用可能な仮想資産の種類を拡大できる。

また、米国の大手取引所ジェミニも独自の予測市場プラットフォームをリリースした。ジェミニは16日(現地時間)、「ジェミニ・プレディクションズ(Gemini Predictions)」という名称の予測市場プラットフォームを発表した。


先月10日(現地時間)に米国商品先物取引委員会(CFTC)から予測市場運営のための「指定契約市場(Designated Contract Market)」ライセンスを承認されてから約1週間後のことだ。同プラットフォームは米国50州全域でウェブサイトとiOSアプリを通じて利用可能である。

ジェミニはこの日声明を発表し、「ジェミニ・プレディクションズは米国大統領選などの選挙結果、主要経済指標発表、マクロ的な市場動向といったイベントについてユーザーがポジションを取れるように設計した」とし、初期プロモーション期間中は取引手数料を課さないと明らかにした。

また、ジェミニ・プレディクションズのリリースは、ジェミニが「ワンストップ・スーパーアプリ」へ飛躍するための戦略だと述べた。これはコインベースの新事業戦略とも軌を一にする。

ジェミニは「今回のプラットフォームリリースは、ユーザーが仮想資産を取引し、預け入れ、ステーブルコインで報酬も受け取れるワンストップ・スーパーアプリとなるための歩み」と説明した。

◆2026年のWeb3主要トレンドは「予測市場」…米国は規制も確立

このように米国の大手取引所が相次いで予測市場プラットフォームに参入する理由は、今後のWeb3産業において予測市場の展望が明るいからだ。

世界3大ベンチャーキャピタル(VC)の一つであるアンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)は最近、2026年の仮想資産産業展望をまとめた報告書を発表し、来年の仮想資産分野における主要トレンド11項目の一つとして「分散型予測市場と人工知能(AI)の融合」を挙げた。

またキーロックも報告書で「分散型予測市場が主要マクロ経済データに対する先行指標の役割を果たし、投資家にとって『情報の道標』となっている」と分析した。

加えて、予測市場に関連する規制体系が整備されている点も、取引所が関連新事業に挑戦できる足掛かりとなっている。

米国では予測市場は金融派生商品に類似した「イベント契約」とみなされ、CFTCの規制を受ける。また米国内で予測市場プラットフォームを運営するには、CFTCから「指定契約市場(Designated Contract Market, DCM)」ライセンスの承認を得なければならない。
カルシとジェミニは当該ライセンスを確保した。

キーロックは「予測市場は『クリプト(仮想資産)ネイティブ』商品の中で最も早く主流領域に参入した事例となった」と評価した。
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