欧州連合(EU)理事会は、欧州中央銀行(ECB)が進めるデジタルユーロについて、オンライン版とプライバシーを強化したオフライン版を同時に導入する方針を支持する公式見解を示した。
22日(現地時間)、コインテレグラフによると、EU理事会は19日に公開した文書の中で、「デジタルユーロの設計に関するECBの基本方針に同意し、オンライン決済向けデジタルユーロと、オフライン決済向けデジタルユーロを同時にリリースするアプローチを支持する」と表明した。
ECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁は、デジタルユーロ導入に向けた今後の立法手続きについて、最終的な判断はEUの立法機関が担うと明言している。同総裁は「現在は欧州理事会、続いて欧州議会が、欧州委員会の提案が妥当かどうか、立法化するか、あるいは修正するかを判断する段階にある」と述べた。
オフライン版デジタルユーロに関する文書では、現金と同等のプライバシー水準の実現が重要な目標として掲げられている。特に、第三者が同一ユーザーの複数の取引を結び付けて追跡できないようにする設計が重視されている。オフライン取引では、取引データが当事者以外に送信されない仕組みを採用することが想定されている。
このシステムでは、中央銀行が署名したデジタルユーロのトークンを、承認された端末同士で直接やり取りできるよう設計される。対面取引の場面で、スマートフォンやカードなどの端末間でデジタルユーロを直接移転する方式となる。
一方で、技術的な課題も指摘されている。文書では、物理的に近接した状態でのみ取引を成立させる「近接性要件」を厳格に担保することは容易ではないと説明している。例えば、NFC通信をインターネット経由で中継する「リレー攻撃」を完全に防ぐことは困難であり、一部の高度な利用方法を完全に制御するには限界がある可能性があるという。
欧州データ保護委員会(European Data Protection Board)も専門家意見書の中で、「利用可能な対策は非常に限定的」であり、「物理的な近接性を現金の特性のようにデジタル通貨で確実に強制することは難しい」との見解を示した。
プライバシー面では、オフライン版デジタルユーロは既存の電子決済手段よりも高い保護水準を提供する一方、現金と完全に同等とは言えないとの評価もある。オフラインデジタルユーロとその管理に用いられる秘密鍵は、認証済みデバイスのセキュリティ領域、すなわちスマートフォンやスマートカードのセキュアエレメントに保存される仕組みになると説明されている。

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