今週は、林賢一氏が、実はどこにも明記されていない、TSUTAYAの準新作が旧作になるタイミングの謎について直撃した!
[回答者]SHIBUYA TSUTAYA 様できるだけ劇場で映画を観るようにしているので、あまりDVDをレンタルすることはない。
旧作がすべて100円レンタルなのである。これは嬉しい。
が。嬉しいと同時に怪しくもある。なぜかというと、以前よりも準新作が占める割合が増えているような気がするのだ。
さらに。
レンタルの値段を確認してみると、旧作は100円だが、準新作は当日370円と1週間480円の2パターンの選択肢しかないのだ。これは……素人考えでも、こんなトリックを思いつく。
「準新作の期間をメチャクチャ長くしておく」
例えば『ダークナイト ライジング』を借りようと思ってTSUTAYAに行く。
「去年夏公開だから、まあ、もう旧作で100円だろうなぁ~」と棚の前に立つと、準新作だった。すでに夕方だ。
思ってたのと違うぅぅぅ~の巻である。
100円だと思ってたのが、480円になり、ほぼ5倍ぃぃぃ~の刑である。まあ、自分でレジに持って行っているので「刑」ではないが。
とにかく。
準新作が旧作になるタイミングが曖昧だ。これは新作が準新作になるタイミングも同様。TSUTAYAのホームページのどこを調べても、どのタイミングで変化するかの明記がない。
これは気になる。
そこで【SHIBUYA TSUTAYA】に直接聞いてみた。
『新作→準新作、準新作→旧作になるタイミング、適当すぎませんか?』担当者 そちらは作品によっても違ってきてしまうので、一概にはお答えしかねてしまうんですが。
──作品によって違うというのは、具体的にどう違うんですが?
担当者 新作でしたら泊数制限などもございます。レンタルでよくご利用いただく作品に関しては、泊数を短くして、たくさんのお客様に借りていただくという形で、短くなっている場合もございますので。
──なるほど。あと、旧作は1週間で100円というのはありがたいんですけど、準新作は当日370円と、1週間480円の設定しかないのはなぜでしょう?
担当者 これは、TSUTAYAの各店舗で設定しているものなので。
──SHIBUYA TSUTAYAの場合を教えて下さい。
担当者 これはお店の方で設定している価格になります、という答えしかできませんね。まぁ、1泊2日の料金設定がないっていう件につきましても、お客様の声が大きければ検討の余地があるかと思うんですけど、現状としてはこの価格でやらせてもらっています。
──実質、当日返却って難しいじゃないですか。
担当者 まあ、それもお客さんによって違いますので。実際に使われるお客様もいらっしゃいますし。
──でも、旧作100円と準新作480円では、かなりの落差があるじゃないですか?
担当者 そうですね、はい。
──それがトリックっぽくて、ちょっと納得できないんです。
担当者 まー、こればっかりは申し訳ないですけど、お店の価格設定ですので。旧作100円というのも、元々はもっと価格が高いものだったんですけども、今は100円で、旧作の値段が下がっているという考えなんですね。
──ですが、昔はもっと早く準新作や旧作になっていた気が。
担当者 必ずしもそうとは限りません。まあ、商品によってはというところがあるかと思うんですけど。
結論。
レンタルの基準は超曖昧。やはり適当だった。商品によっても、店舗によっても違う。つまりはTSUTAYAが完全にコントロールできるシステムで、「ルールがないのがルール」の無敵状態である。
「新作はレンタル開始から3カ月で準新作になります!」と謳ってしまうと、それを待つお客が増えて商売あがったりになるし……と正直に言ってくれるならまだしも。
今回のTSUTAYA回答が、何か後ろめたい言い訳に聞こえてしまうのは、疑いすぎだろうか。
と、ここまで書いてきてなんだが、そもそも「準新作」って何だ? かなり変な日本語な気がしてきた……。
例えばこんなふうに「準」をつけてみたらどうだろう。
「準TSUTAYA」
……なんか行きたくないな、こんなお店。でも、これはまた別の話。
(文=酒平民 林賢一)
・林賢一(はやし けんいち)
1979年、五反田生まれ。放送作家。学生時代から古舘プロジェクトで修業。映画監督・入江悠と仲間たちが映画を愛する人々へ贈る映画メルマガ【僕らのモテるための映画聖典】(http://www.mag2.com/m/0001320971.html)で「新作映画のカット数を数える」という無謀な連載中。是非ご一読を。