テレビ朝日の男性アナウンサーが気になる。
何が気になるって、メイクの濃さである。特に報道系の番組に出ている人々。ベース(化粧下地)でいえばイエロー系、ファンデーションでいえばオークル系が強すぎる。男性はなんのこっちゃわからないと思うので、僭越ながらちょこっと解説。
基本的には、肌のトーンを整えるためにベースを塗っている。単純にいえば、色白の人はピンク系、色黒の人はイエロー系、赤みがある人はグリーン系など。肌のムラをなくすために、いろいろと塗りこむワケだ。その上にファンデーションを塗るのだが、色白はピンク系、色黒はオークル系、この中間はナチュラル系とかベージュ系を選ぶ。
ま、そんなことはどうでもいいのだけれど、とにかくテレ朝の男性アナウンサーはドーランを塗っているのかなと思うくらいに、濃い。特に、ニュースを読む報道系は、オークル系が強すぎて、肌の透明感がまったくない。色でいえば、黄土色。絵の具の中でも意外と残るヤツね。
ライトやスタジオのせいなのか、ヘアメイクさんの独特の色使いのせいなのか、はたまたテレ朝報道局の不文律なのか。真相はわからないが、私の勝手な分析としては、ふたつ。
ひとつは「40歳説」。40歳を越えたアナウンサーは、自動的にベースメイクが濃くなっている気がする。小木逸平、小松靖、富川悠太あたりはまだセーフ。テレビ画面で観ていても、そんなに「塗ってる」感はない。坪井直樹、山口豊あたりから雲行きが怪しい。少しずつメイクが濃くなり始めている。大熊英司、渡辺宜嗣クラスになると、もう完全にどっぷり濃厚系。舞台役者級の濃さである。
たぶん、大きなシミとか多数のシミを「見苦しい」と考え、視聴者への配慮としての濃厚メイクなのだろう。小うるさい視聴者がいるからな。自分の人生がうまくいってないことをテレビ局にぶつけたがる、クレーマーの存在も垣間見える。「あのアナウンサーのシミが見苦しいッ!」とかね。「ノースリーブは寒そう」など、女子アナやタレントの服装に文句つける馬鹿とかね。シミくらいいいじゃんと思うけれど、高画質時代の今はそうもいかないのだろう。確かにデカいシミがあると、そこに目が行っちゃうし。政治家もレーザーでシミとる時代だもの、テレ朝が細心の配慮をするのもわからないでもない。
もうひとつは同局の『報道ステーション』の古舘伊知郎の影響力じゃないかとにらんでいる。古舘はオークル系じゃなくてピンク系。
他局の男性アナは40歳以上でも、もうちょいナチュラル。とはいえ、別に直す必要はない。テレ朝の独自路線と思って、日々、報道系番組を意地悪な目で観るのが楽しみだから。
(文=吉田潮/ライター・イラストレーター)
●吉田潮(よしだ・うしお):
ライター・イラストレーター。法政大学卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。「週刊新潮」(新潮社)、「ラブピースクラブ」(ラブピースクラブ)などで連載中。主な著書に『2人で愉しむ新・大人の悦楽』(ナガオカ文庫)、『気持ちいいこと。』(宝島社)、『幸せな離婚』(生活文化出版)など。