全国大学生活協同組合連合会発行の学生生活実態調査報告書「CAMPUS LIFE DATA 2013」によれば、「大学入学後に遭遇したトラブル」のトップ3は、1位「宗教団体からのしつこい勧誘」(回答者の4.6%。単純計算で全国の大学生の約13万人に当たる)、2位「バイト先での金銭や労働環境のトラブル」(回答者の4.3%。同約12万人に当たる)、3位「訪問販売契約」(3.1%。同約9万人に当たり、一人暮らしでは5.9%)だったという。
『大学生が狙われる50の危険』(三菱総合研究所、全国大学生活協同組合連合会、全国大学生協共済生活協同組合連合会著/青春出版社)を基に、その実態に迫ってみよう。
・1位「宗教団体からのしつこい勧誘」
大学に入ったら、大学公認の音楽やスポーツ、ボランティアなどのサークルに入り、優しい先輩たちに囲まれて、大学生活をエンジョイ!かと思いきや、しつこく勧誘してきた団体に断りきれずに入会。しかし、会費がかなりの高額で、毎年指導者への謝礼金として数百万円をサークルが支払っているという事実が発覚……実は宗教団体だった、などのケースだ。
宗教団体は音楽やスポーツ、ボランティアなどのサークル活動に見せかけて勧誘することが多く、なかには、友人知人がいない入学手続きの頃や大学からの注意が伝わるオリエンテーション前から勧誘を始める悪質な団体もあるという。
・2位「バイト先での金銭や労働環境のトラブル」
とある女子大学生の体験談。「時給がよい」「授業やサークルの時間に重ならない」と大学の先輩に紹介され、大学近くの繁華街の飲食店の面接を受けることになった。しかし、面接先の飲食店はキャバクラだったなどのケースだ。
先輩の紹介ということもあり断りきれずに働くことになったが、深夜までキャバクラでアルバイトをすることになってしまい、大学もサボりがちに……こうしたケースだけではなく、「仕事の条件が聞いていた話と違う」「危険作業のアルバイトでケガをしてしまう」といったバイト先がブラック企業のケースや、アルバイトの募集を装って登録料を支払わせ、実際には仕事を紹介しないで登録料をだまし取るケース、個人情報を不法に入手するケースもあるので注意したい。
なお、アンケート調査では、アルバイト収入は1カ月平均約4万円だ。
・3位「訪問販売契約」
一人暮らしの大学生のアパートに、新聞販売員がやってきた。すでに別の新聞を購読していたが、「話だけでもさせてくれ」と言われ、玄関に入れてしまったのが運の尽き。何度も契約しないかと持ちかけられ、断りきれずに、結局契約することに……。
自宅を訪ねる、街で声をかけるなど、店以外の場所で商品やサービスの勧誘を受けることがある。消費者に冷静な判断をする時間を与えずに、契約を結ぼうとする悪徳商法のケースが多く、その多くは消費生活センターへの相談やクーリングオフ制度(強引なセールスで契約した場合、一定期間内であれば契約を解除できる制度)で解約ができるものの、話を聞かずにキッパリと意思表示をすることが大切だ。
こうしたケースのほかにも、18歳以上の大学生となれば、スマートフォンにおけるコミュニティサイトの閲覧制限やコミュニケーションアプリの機能制限が外れることになり、知らない人からのリクエストメールなどが急増する。それとともに、援助交際や詐欺など危険な話が持ち込まれるSNSトラブルの危険性も高まってくる。「モデルになりませんか?」などと気を引く言葉で誘って、化粧品やダイエット商品、エステのサービスチケット、絵画などを売りつける「新手のキャッチセールス」のトラブルもある。
まさに、周りは危険だらけという感じだが、こうしたトラブルに共通しているのは、人の話を断りきれないタイプが狙われているということ。自分がそういうタイプだと感じたら、あやしげな勧誘には最初から接触しない、下手に対応したりせずに、無視して逃げ出すという姿勢が必要かもしれない。
(文=編集部)