今月、シンガーソングライターで俳優のGACKTの周辺者が脱税容疑で逮捕されたが、その余波で、北川景子主演映画が公開中止に憂き目にあいそうだという。
 
 そもそものきっかけは、2012年8月、GACKTの自宅や、当時の所属事務所であるゴーディーエンターテイメントなどに国税局の査察官が強制捜査に入ったことだった。
翌月には、東日本大震災直後にGACKTが立ち上げた一般社団法人 SHOW YOUR HEART 基金の振込先が民間企業の口座だったことや、集めた義援金が4億円以上であったにもかかわらず、2億円しか被災地に寄付していなかったという義援金詐欺疑惑が持ち上がった。さらにはファンクラブ会費の不透明な流れなどをめぐり、12年9月に世田谷の自宅ビルに街宣車が押しかけるという騒動も起こった。

 そして今月9日、東京地検特捜部は、GACKTのファンクラブを昨年まで運営していたDEARSの社長・玉置公祐容疑者、同社役員の長谷川裕容疑者を約5800万円の法人税などを免れていた疑いで逮捕。また、脱税を幇助したとして映像制作会社役員の池内健一郎容疑者も逮捕された。長谷川容疑者は昨年までGACKTのマネージメントを手掛けていたゴーディー社の代表で、玉置容疑者も同社の役員を勤めていた。

 これに対し、GACKTが現在所属する事務所社長は「GACKTは同社の経営ならびに経理・財務に一切に関与しておらず、既にマネージメントもファンクラブの機能も同社から移転しておりますので同社の法人税法違反容疑に関してコメントする立場にありません」とGACKTの関与を否定。さらにGACKT本人も自身のブログで関与を否定し、玉置容疑者らへの怒りを露わにしている。

 しかし、4月17日発売の「週刊文春」(4月24日号/文藝春秋)によれば、ゴーディー社はGACKTのマネージャーである叔母(戸籍上は姉)が監査役で、その息子も役員を務め、さらにはGACKTの現所属事務所社長も長谷川、玉置両容疑者の部下だった過去もあり、大株主であったGACKTは経営の中心にいたと報じている。そのため、GACKTが出演する5月3日公開の映画『悪夢ちゃん The 夢ovie』(東宝)が、無事予定どおり公開されるのか疑問視している。同映画は、北川景子が主演で12年10月~12月に日本テレビ系列で放送された同名の連続テレビドラマの映画版であり、平均視聴率が11.5パーセント(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と低調だったが、視聴者からの熱烈なラブコールにより映画化が決定したという。

 北川にとってはとんだとばっちりだが、日本テレビ関係者は当サイトの取材に対して、「局内の国税や検察担当記者から情報を集めて、今後、GACKT自身に司直のメスが入る可能性があるのか確認していますが、今は微妙な状況。GACKTが完全な“シロ”とは言い切れず、映画『悪夢ちゃん』の公開についても余談を許さない」と語っている。

 一方、業界関係者からは、「GACKTは被害者」との声も。「GACKTが前事務所社長の長谷川容疑者らと袂を分かったのは、約3億円の未払いのギャラが原因だとの情報もあります」(同)といい、GACKTもブログで「こっちも被害者だってのに…」とぼやいている。

●これまでにも数多く報じられたスキャンダル

 今回の脱税騒動のみならず、GACKTの周辺では、これまでにもさまざまなスキャンダルが報じられてきた。国税局の強制捜査が入った直後には、隠し子疑惑が発覚。母親は、カナダに住む元ワンギャル【編註:深夜テレビ番組『ワンダフル』(TBS系)に出演していた女性タレントグループ】の女性との説も。また、GACKTと釈由美子が、10年来の肉体関係を持つ間柄であるとも報じられた。さらには昨年5月、写真週刊誌「FLASH」(光文社)で、27歳の女性がGACKTに6時間に及び性的虐待されたと告発した(いずれもGACKTサイドは否定)。

 GACKTの“黒い交際”についても、文春がかつて報じている。その内容は、トラブルを起こし沖縄などに逃亡するたびに新たな“ケツ持ち”を見つけ、芸能界にカムバックしているというもの。17日発売の同誌でも「脱税を原資に毎年多額のカネが暴力団に流れていた可能性がある」といい、東京地検特捜部の捜査後には警視庁組織犯罪対策部の仕切りで捜査が進められると報じられている。
 
 このようにGACKTにスキャンダルが噴出する背景には、「エゴイストでカネにシビアなGACKTには人望がなく、かつて彼の周辺にいた人物が意趣返しのためか積極的にメディアの情報をリークしているからだろう」(GACKTを知る人物)との声もある。

 今回の脱税事件についても、自分は無関係であることを強調し、逮捕されたかつての“相棒”たちを非難してばかりいるが、「自身の不徳のいたすところ」という謙虚さがなければ、また周囲の反発を買い、スキャンダルを書き立てられるかもしれない。


(文=本多カツヒロ)

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