放送中止の東京ガスCM、なぜ批判?何が問題?“就活生を落とす側”大企業に予測不可能

 だが、その知人ですら、「自分の娘が就活で苦労する姿を見るのはとても辛かった」という。「その辛さはあなただけのものではない、みんな辛いのだからがんばろうよ」などと東京ガスのような大企業から上から目線で言われる覚えはない、ということなのだろう。

 おそらく制作側は、共感してもらえることはあっても、批判を受けるとは夢にも思わなかっただろう。制作しているのは日本を代表する大企業で、そこに勤務する人は就活生を「落としている」側であり、若い社員も就活戦線の勝ち組であって、連戦連敗の同級生の気持ちを理解できる可能性は低い。

 実際に制作に関わる制作会社の現場のスタッフは、むろん多くの場合が低賃金・長時間労働を強いられているのだが、一般企業志向ではないからそういう仕事に就いているゆえに、この女子大生のような就活を経験していない。危機管理広報の専門家も、「事前に倫理面のチェックを受けたとしても、当事者からの批判を予想することはまず不可能」だと言い切る。

●学生の心をえぐってしまった

 第一次就職氷河期の襲来で、大量の就職浪人とフリーターを生み出した1995年卒業組の人たちは、すでに41歳に達している。非正規雇用でスタートすると、正社員になる道は厳しい。中高年の雇用維持の煽りを食らった若手は、いまや一番上の世代は41歳になっているという現実がある。

 このCMが放送されたのは2月だ。一人で何社も内定をとる学生がいる一方で、何社回っても1社もとれない学生がいる。大学3年のうちに内定をとれていれば余裕だが、4年生の卒業間際の2月になっても内定がとれていない学生の心を、このCMはえぐってしまったのだろう。放送当時は世間の話題になることはなかったので、自社に寄せられた批判を受けて、東京ガスはひっそりと放送を中止している。前作の「おばあちゃんの料理編」が好評だったので、いったん前作に戻し、この前作が4月に広告大賞を受賞したので、そのまま放送が継続され、放送期間は異例の長さになっている。


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