“令和の怪物”と呼ばれ、高い関心を集めている大船渡高校3年・佐々木朗希投手。全国高校野球選手権大会・岩手県大会決勝で“登板回避”したことが賛否を巻き起こし、有識者も参戦しての大激論に発展している。
佐々木投手は今年4月に行われたU-18日本代表候補の紅白戦で、最速163kmをマークして一躍注目を浴びた。高校野球・岩手県大会予選でも好投を見せて決勝まで駒を進めたが、7月25日に行われた花巻東高校との決勝戦には出場しなかった。チームは2対12で敗れたため、佐々木投手の甲子園出場はなくなり、その起用法をめぐって大船渡高校に苦情が相次ぐ事態となった。
7月28日放送の『サンデーモーニング』(TBS系)では、試合結果を伝えるとともに、大船渡高校・国保陽平監督と佐々木投手の決勝戦後のインタビューを放送した。国保監督は佐々木投手について「故障を防ぐために起用しませんでした」とコメントし、佐々木投手は「高校野球をやっている以上、試合に出たいと思うのは当然のことだと思うので、投げたい気持ちはありました」と語っている。
登板回避のニュースに怒りを見せたのが、同番組のご意見番で野球評論家の張本勲氏だ。「絶対に投げさせるべき」との立場を示し、「監督と佐々木君のチームじゃないから。ナインはどうしますの」「ケガを怖がったんじゃスポーツ辞めたほうがいい」などと持論を展開した。
そんな張本氏の発言をめぐる記事を引用して、米メジャーリーガーのダルビッシュ有投手(シカゴ・カブス)はツイッターで痛烈に批判。漫画『ドラゴンボール』(集英社)に登場する“シェンロン(神龍)”を持ち出し、「シェンロンが一つ願いこと叶えてあげるって言ってきたら迷いなくこのコーナーを消してくださいと言う」と投稿。サッカー日本代表の長友佑都選手(ガラタサライ・スポル・クリュビュ)も、「監督は批判覚悟で選手の将来を守った英断。何度も言うが日程を選手ファーストで考えてほしい」とツイートしている。
また、サッカー解説者の前園真聖氏は「Livedoor News」の連載コラム「ZONO’S EYE」で、国保監督の決断が尊重されるべきと言及。「高校までの18年間よりも残りの人生は何倍もあります。そこを考えて、コントロールしてあげるのも監督の役割です」と綴った。ネット上でも国保監督の判断を支持する声が多く見られ、「張本氏の発言はなんの根拠もない根性論でしかない」「なぜ『出場させるべきだった』と批判が起きるのだろう。それで選手が故障したら責任を取れるの?」など、張本氏を批判する声が続出。
ほかにも各界の著名人たちがTwitterなどで私見を述べるなど、激論は収まっていない。
甲子園で投げる姿を見られなくても、佐々木投手が近い将来、日本を背負う名投手になることを多くのファンが願っているはずだ。
(文=編集部)