「GU(ジーユー)」は積極的にトレンドを取り入れた“攻めのデザイン”で魅せる、ドメスティック・ファストファッションブランド。ベーシックなデザインで日本のファストファッション業界の王者として君臨する、「ユニクロ」の姉妹ブランドであるのはご存じの通りだ。

 ユニクロとGUをグループに持つファーストリテイリングが4月に発表した「2019年8月期第2四半期決算サマリー」によれば、GU事業の上期売上収益は1171億円(前年同期比10.7%増)、上期営業利益は141億円(前年同期比54.3%増)と、現在業績は絶好調。この大幅な増収増益の理由には、マストレンドにフォーカスした商品構成にしたことなどが挙げられるだろう。

 一時期のブームが去ったようにも見えていたGUだが、408店舗(19年2月28日現在)にまで拡大している今でも、高収益を上げていることを考えると、すでに安定的にファンがついているといえる。

 しかし、前述したGUの“攻めのデザイン”は、諸刃の剣ともいえないだろうか? ファッション慣れしていない人が着ると、若々しく見えすぎたり、ともすればダサく見えてしまったりすることもあるのだ。

 そこで今回はGUの夏アイテムで、おすすめできない服をセレクト。「Business Journal 買うべき・買ってはいけない調査班」が「この夏、買ってはいけないGUの服5選」を選び、恋愛コラムニストで10年以上のファッションライター経験もある堺屋大地氏に、おすすめできない理由を解説していただいた。

 今回、以下の3つを基準として選定した。

・ファッションビギナーが着るとダサくなる可能性が高いこと

・“最先端のおしゃれ”すぎて一般ウケしない場合があること

・無理に若ぶっているように見えるなどして女子ウケが悪いこと

グラフィックT(半袖)メッセージ3/390円(税別、以下同)

 前身頃に大きく「YOU ARE ENOUGH」と記されたメッセージT。ダイバーシティなどの「ポジティブな社会性トレンド」をベースにしているそうで、インパクト抜群の一枚だ。

「『買ってはいけない』理由はいたってシンプル――ダサいから、です。ブラック地にホワイトプリントのメッセージ、イエロー地にオレンジプリントのメッセージの2色を展開していますが、特にイエロー地のほうは目も当てられないダサさ。『YOU ARE ENOUGH』とは、“君はそのままでも充分君らしい”のようなニュアンスの良い言葉ですが、文字の大きさと使用しているフォントが非おしゃれ感を醸し出していますね」(堺屋氏)

グラフィックT(半袖)NFL1/390円(※値下げ後価格)

 前身頃に大きく「NFL」のロゴをあしらったTシャツで、ホワイトとブラックの2色展開。

NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)とはプロアメリカンフットボールリーグのことで、今年100周年を迎えるとのこと。

「『NFL』がダサいとか、そのロゴがダサいとかではなく、今のご時世に、胸元にドーンっとどデカくプリントをあしらうGUのセンスがダサいです……。1990年代の小学生が着ていたTシャツのようなデザインクオリティーで、ある意味、懐かしい感じもしますが、残念ながら“一周回っておしゃれ”にもならないでしょう」(堺屋氏)

ハーフジップビッグT(半袖)(カラーブロック)/390円(※値下げ後価格)

 トレンドのビッグシルエットTを、胸元までのハーフジップ仕様にしている。カラーブロックデザインによりスポーツテイストに仕上がっているのが特徴だ。ホワイト地をベースに、胸元に極太のブラックラインを横断させたタイプ。ブラック地をベースに、胸元に極太のグレーラインを横断させたタイプ。レッド地をベースに、胸元に極太のネイビーラインを横断させたタイプ。この3色展開となっている。

「スポーツテイストははやっていますが、デザインが全然洗練されておらず、ハーフジップも“コレジャナイ感”に拍車を掛けています。とても野暮ったいアイテムのため、着ると田舎の中学生のようになってしまいそうです」(堺屋氏)

スウェットハーフパンツnowartt1/590円(※値下げ後価格)

 テキスタイルグラフィックブランド「nowartt」とGUがコラボレーションしたハーフパンツで、自然と共に生きる人々のグラフィックが、総柄であしらわれている。こちらのグラフィックには、「子供の頃の記憶と共に大切な自然を守りたい」という、自然環境保全の願いが込められているのだという。

「カラバリ(カラーバリエーション)はグレイ、ベージュ、ネイビーの3つですが、いずれも木々を描いたグリーン基調の絵柄がうるさすぎ。

総柄のため派手な見た目になってしまっており、大人の男が着こなすのはかなり難しいでしょう。ただでさえ男のハーフパンツが好きじゃない女性は一定数いますが、そのうえこのうるさい派手な総柄だと、女ウケはすこぶる悪い気がします」(堺屋氏)

ブッシュショーツ(カモフラ柄)/1490円

 腿部分にフラップ付きのポケットが備えられているのが特徴のブッシュショーツ。そもそもブッシュパンツとは、藪の中などを進んでいく際に適したアウトドア系パンツのことであり、そのショートパンツバージョンということだ。

「ブラック、ベージュ、イエロー、カモフラ柄の4展開していますが、『買ってはいけない』のはカモフラ柄一択です。ミリタリーテイスト全開のカモフラ柄は、“イキってるガキが好む柄”というイメージを持っている女性もいるため、避けたほうがいいでしょう。

 しかもこのアウトドア系パンツであるブッシュショーツの形に、悪い意味で親和性が高くてハマっており、ダサさが引き立ってしまっています。百歩譲ってこのカモフラ柄の色味が、ヴィンテージ感のある風合いだったらまだマシだったんでしょうが……」(堺屋氏)

 GUのアイテムはリーズナブルであり、かなりの企業努力をしていることは間違いないだろう。しかし、大人なビジネスパーソンが着ると、ダサくなってしまう可能性が高いアイテムが散見されるのも事実である。特に夏物はアイテム自体がシンプルであるため、どうしても柄でデザインの差別化を図りがちになるが、今回の記事では柄が理由で「買ってはいけない」に選ばれているものが多いことを、覚えておいていただきたい。

(文・取材=「買うべき・買ってはいけない調査班」 from A4studio)

※情報は2019年8月2日現在のものです。

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