国内だけでも800店舗以上(2019年2月末時点、825店舗)を展開する「ユニクロ」が、日本のファストファッション業界の頂点に君臨し続けて久しい。
運営元のファーストリテイリングが4月11日に発表した「2019年8月期上期 決算サマリー」によると、国内のユニクロ事業の上期業績は、売上収益が前年同期比0.5%減となる4913億円、営業利益が前年同期比23.7%減となる677億円。
今夏アイテムで巻き返しを図りたいユニクロは、6月1日よりユニクロ日本事業のCEO(最高経営責任者)に赤井田真希氏を就任させ、同社史上初の女性トップを軸にした経営体制にしている。
だが、ベーシックなデザインがメインで、ファッションビギナーでも着こなしやすいイメージのあるユニクロであるが、そんなユニクロアイテムでも実は着こなしが難しかったり、そもそものデザインがダサかったりするものも少なくないのである。
ということで今回は、今回は、「Business Journal 買うべき・買ってはいけない調査班」が「この夏、買ってはいけないユニクロの服5選」をセレクト。そして、恋愛コラムニストで10年以上のファッションライター経験もある堺屋大地氏に、なぜおすすめできないかを解説していただいた。
今回、以下の3つを基準として選定した。
・ファッションビギナーが着るとダサくなる可能性が高いこと
・“最先端のおしゃれ”すぎて一般ウケしない場合があること
・無理に若ぶっているように見えるなどして女子ウケが悪いこと
北斎ブルー UT(グラフィックTシャツ・半袖)/1500円(税別、以下同)葛飾北斎作品「冨嶽三十六景」の印象的な“ブルー”をフィーチャーし、日本的美意識をモダンに再解釈したシリーズ。富士山と鶴が印象的な「相州梅澤左」を前身頃に堂々とあしらったデザインなどがある。
「このシリーズには、前身頃に富士山と鶴がデカデカとあしらわれたTシャツや、富士山を背景に大きな波がデカデカと描かれたTシャツなどがあります。こういったデザインを粋と取るか、ダサいと取るかは好みによると思いますが……少なくとも私はダサいと思います。ちなみに、誤解なきようお伝えしておくと、葛飾北斎作品がダサいと言っているわけではなく、ユニクロのデザインセンスがダサいと言っているんです。
また、和柄の服は女性ウケがすこぶる悪いため、モテたいならばリスクが高すぎますね。
世界中から愛され、日本が誇るマンガ・アニメとコラボしたTシャツシリーズ。モチーフは『銀魂』『BLEACH』『NARUTO-ナルト』『HUNTER×HUNTER』など、「週刊少年ジャンプ」(集英社)から生まれた大ヒット作品が中心となっている。
「まず大前提として、そのマンガがダサいとか、そのモチーフとなっているキャラがダサいとか言いたいわけではありません。『買ってはいけない』理由の大半は、ユニクロのデザインセンスの悪さにあると言っても過言ではないでしょう。とにかく、デザインが雑なものが多い。あくまで一例ですが、『銀魂』主人公の坂田銀時の顔がドーンと胸元にただプリントされていたり、『BLEACH』主人公の黒崎一護の全身が大きくプリントされていたり……。なかにはクールなデザインで大人男性が着られそうなものもありましたが、ひどいものが多々ありましたね」(堺屋氏)
ミッキースタンズ UT(グラフィックTシャツ・半袖)/990円ミッキーマウスとのコラボTで、このシリーズはミッキーを象徴する「スタンディングポーズ」をモチーフに採用している。Tシャツ自体は着心地のよいスタンダードなデザインだ。カラーはホワイト、ブラックの2色展開。
「お馴染みのミッキーが胸に大きくプリントされたデザインで、ミッキーコラボものとしては、なんの捻りもないどストレートなデザインといえるでしょう。とはいえ、ユニクロやGUはこれまで数多くのミッキーコラボTをリリースしてきていて、なかにはクールなセンスでデザインされ、大人の男性が着ても映えるものもありました。この『ミッキースタンズ UT』シリーズのなかにも、胸にワンポイントだけミッキーがあしらわれているものもあり、それならば大人男性が着てもOKでしょう。
しかし、基本的には“30代以上の男がミッキーに手を出すのは危険!”と覚えておいたほうがいいと思います。特にここで取り上げたミッキーが大きくプリントされたものを不用意に着ると、“イタいおっさん”認定されてしまうのがオチです」(堺屋氏)
チノハーフパンツ(ボタニカル)/1990円コットンツイル素材を高密度で織り、生地表面を微起毛させ、染めと洗いによって独特の風合いを表現したハーフパンツ。絶妙なバランスでラフさとクリーンさを兼ね備えている。カラーはベージュとブルーの2色展開。
「このボタニカル柄の総柄ハーフパンツを、『買ってはいけない』に入れるかどうかは、正直迷いました。というのも、もともとアイテム自体はかっこいいからです。そこそこのファッションセンスのある方なら、どういうトップスと合わせればいいかがわかるので、大人男性でもかっこよく着こなせるでしょう。
しかし、ファッションに無頓着なビギナーが穿くと、途端にダサくなりがち。例えば、合わせるトップスをキャラもののTシャツなどにすると、上下のアクが強すぎて、典型的な非モテファッションになりかねないリスキーさがあるんです」(堺屋氏)
北斎ブルーステテコ(前閉じ)/990円“ブルー”の表現が秀逸な葛飾北斎作品に焦点を当て、日本的な“美”をモダンに再解釈したホクサイブルーシリーズ。先に紹介した「ホクサイブルー UT」と同じく「冨嶽三十六景」をフィーチャーしている。
「『ホクサイブルー UT』と同様の富士山や大波を総柄であしらってあるステテコです。おそらく、ユニクロは“一周回っておしゃれなステテコ”を目指したのでしょうが、総柄で派手派手しいため、私にはどうしても“昭和のチンピラルック”にしか見えません……。
スタンダードで無難なアイテムが多いユニクロだが、なかにはファッションセンスが高い人でないと着こなせないアイテムや、シンプルにダサいアイテムも紛れているので要注意である。特に今夏は、コラボアイテムに非おしゃれなものが多数散見された。さらに言うなら、コラボの素材(キャラ)が悪いわけではなく、あくまでユニクロのデザインセンスの悪さが目立っていた印象だ。もっとオシャレにできたはず……というデザインワークが多かったため、好きな作品とのコラボでも安易に飛びつかないようにしていただきたい。
(文・取材=「買うべき・買ってはいけない調査班」 from A4studio)
※情報は2019年6月27日現在のものです。