ビジネスの中で記憶力は大きな武器となる。記憶していたことがひらめきの素となったり、交渉事で有利に進めるための材料となったりもする。
実はそのための訓練がある。しかも、過酷で本格的な。
『KGBスパイ式記憶術』(デニス・ブーキン、カミール・グーリーイェヴ著、岡本麻左子訳、水王舎刊)は記憶力を高めるトレーニングを教えてくれる一冊だ。本書では、タイトルの通り「KGB」――つまりソビエト連邦の防諜機関にスカウトされ、防諜部員となったアンドレイ・シモノフになりきって訓練を重ねていく。
本書によれば「記憶術」とは記憶力を強化して実際の出来事や大量の情報を覚えられるようにする方法であり、3つの原則があるとつづられている。
1.関連付ける
例えば「夏」ならば「暑い」「蝉の声」「海」などが連想される。そこから子どもの頃に蝉取りをした記憶を呼び覚ますかもしれないし、海でデートをした思い出がよみがえるかもしれない。「記憶力の良さというのは、覚えているかどうかよりも情報を呼び出せるかどうか」(p.87-88より)と著者。何かを覚えるときは、すでに知っている何かと関連付ければ覚えることが可能なのだ。
2.情報を視覚的にイメージする
視覚的イメージは言葉や数字よりも簡単に記憶できるという。そしてこの想像力を第1の原則「関連付け」とセットで行う。
3.感情を伴わせる
記憶力は感情によって活性化されると著者。節目の出来事を長く覚えているのは、強烈で特別な感情を抱いたからこそ。興味を持つに値しないことはすぐに記憶から消し去られる。もちろん、驚きや戸惑いの感情でもいい。奇抜でばかげていることでも。感情が芽生えることが、記憶につながるのだ。
この3つの原則を忘れずに本書の「演習」を実践していくことが大切だ。最初は苦戦するかもしれないが、訓練を重ねることで頭がその考え方に慣れてくるはず。
「KGBスパイ式」と謳っている本書は、極めて実践的である。「目隠しをしたまま30分過ごしてみる」というものもあれば、「集中しにくい状況で仕事をする」というものもあり、自分をコントロールする術を身に付けることもできるだろう。
記憶力が身を助け、物事を有利に進めるための下地になるのであれば、高めない手はないはずだ。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。

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