日本チェーンストア協会がまとめた7月の全国スーパー売上高は1兆73億円だった。既存店の販売実績は前年同月比7.1%減。
調査対象は、企業数56社(対前年同月比2社減)、店舗数1万504店(同285店増)。全体の66.2%を占める食料品は5.3%減(既存店ベース)。天候不順で飲料などが不振だったほか、前年より青果相場が安く客単価を押し下げた。夏物衣料が不調だった衣料品は16.2%減。扇風機などが苦戦した住居関連も7.3%減と低調だった。
関東などで長雨と低気温が続き客足が伸びなかったという。天候要因はあるものの、数字があまりに悪いことに業界はショックを隠せない。同協会の井上淳専務理事は「節約志向が常態化し、増税前で消費者心理も冷え込んでいる」と話している。
イトーヨーカ堂は1割の落ち込み主力スーパー各社が発表した月次営業情報をまとめた。
ユニーは日本チェーンストア協会から5月に退会。
【主力スーパーの7月の既存店売上高】 前年同月比(%)
既存店 全店
<イオングループ>
イオンリテール ▲6.0 ▲5.7
イオン北海道 ▲3.7 ▲3.6
イオン九州 ▲6.5 ▲5.6
<セブン&アイHD>
イトーヨーカ堂 ▲9.9 ▲10.6
ヨークベニマル ▲4.8 ▲3.4
<準大手スーパー>
ライフコーポレーション(関西・首都圏) ▲4.2 ――
<地方スーパー>
イズミ(広島) ▲5.5 0.5
平和堂(滋賀) ▲3.5 ▲2.9
イズミヤ(大阪) ▲12.1 ▲9.6
サンエー(沖縄) 6.0 0.1
<PPIHグループ>
ドン・キホーテ ▲4.3 ▲1.5
ユニー ▲5.9 ▲13.6
(資料:各社の月次営業情報。▲はマイナス)
増収を確保したのは沖縄で食品スーパーを展開しているサンエーだけだった。一方、不振を極めたのは総合スーパー。食料品から衣料品、日用雑貨までなんでも揃う総合スーパー(GMS)は長らく日本の小売業を牽引してきたが、いまや、その不振は目を覆うばかりだ。
GMSの代表格だったイートーヨーカ堂は親会社のセブン&アイHDが構造改革に取り組んでいる。ユニーはPPIHの傘下に入り再建中だ。GMSが小売市場から消える日は近いかもしれない。
地方百貨店は底なし沼日本百貨店協会がまとめた7月の全国百貨店の売上高は4971億円。既存店ベースで前年同月比2.9%減と4カ月連続で前年を下回った。調査対象は、78社、215店。
インバウンド消費は好調を維持した。訪日客の購入分を示す免税売上高は前年同月比3.4%増の281億円と6カ月連続でプラスだった。全売上高に占めるインバウンドの割合は5.7%を占める。インバウンド消費が好調だったことから、商品別では、宝飾・時計などの高額品が8.6%増と6カ月連続のプラス。化粧品は0.5%増と52カ月連続で前年同月を上回った。
ただ、インバウンド消費の恩恵を受けるのは大都会の有名百貨店に限られる。東京の百貨店がすべてインバウンドで潤ったわけではない。東京地区の百貨店の売上高は1365億円。前年実績を4カ月連続で下回った。10都市のうち、前年をクリアしたのは大阪市(前年同月比1.3%増)と広島市(同3.7%増)の2都市。インバウンド消費が寄与した。
8月の売上高(既存ベース、速報値)は三越伊勢丹、高島屋、そごう・西武、阪急阪神百貨店の4社が前年を上回った。気温の上昇で盛夏の衣料品や雑貨が堅調だった。
一方、訪日客向けの免税売上高は、大丸松坂屋、高島屋、三越伊勢丹の3社が前年を下回った。来店客が減少したうえに、高級ブランドや雑貨・衣料品などが伸び悩んだ。中国の元安という為替の影響がインバウンド売上に大きな影を落としている。韓国からの観光客も減っている。
(文=編集部)