9月21日に5年ぶり37度目のリーグ優勝を果たした読売ジャイアンツ(以下、巨人)の阿部慎之助選手が、今シーズン限りでの現役引退を発表した。巨人一筋で主砲を担ってきた名選手の引退に、ファンからは惜別の声が続出している。

 巨人は9月23日に行われた東京ヤクルトスワローズ戦の試合後、阿部選手がチームメイトに引退を報告する様子を動画で公開した。原辰徳監督に促された阿部選手は「今年でユニホームを脱ぐことになりました」と告げ、言葉を詰まらせる。そして、息を整えてから「最高の仲間、指導者に出会えて本当に感謝しています」「今年で野球選手としては終わりますけど、まだ野球人生は、僕は死ぬまで終わらないと思っています」と語った。

 阿部選手は2000年にドラフト1位で巨人に入団し、ルーキーイヤーの01年から正捕手として君臨した。強肩強打の捕手として巨人、さらには球界を代表する選手に成長していき、お立ち台では「最高です!」を連発するなど、明るいキャラクターもファンから愛された。

 12年には、打率3割4分、104打点を記録して首位打者と打点王の2冠に輝き、さらに最高出塁率、最優秀選手(MVP)、ベストナイン、正力松太郎賞などタイトルを総ナメにした。また、17年には巨人の生え抜き選手としては川上哲治氏、長嶋茂雄氏、王貞治氏、柴田勲氏に次いで5人目となる通算2000安打を達成したほか、今年6月1日の中日ドラゴンズ戦ではプロ野球史上19人目の通算400本塁打を達成している。

 阿部選手の引退発表を受けて元巨人の上原浩治氏はツイッターを更新し、「え~~、って感じで目が覚めた… 慎之助の引退報道。おつかれさん! 指導者の道が用意されてる?? さっすが~」とコメント。ネット上でも「阿部選手不在の巨人なんて考えられません…」「まだ来年も現役で十分やれると思う。でも本人が引き際を決めたのだろうから、残念だけど受け入れたい」「いろいろ葛藤しながらチームのことと自分の将来を考えた結果なのかな」「監督となって巨人を率いる姿を見てみたい」などの声が相次いだ。

 ホームランバッターとして活躍してきた阿部選手だが、かつてはプライベートでスキャンダルが勃発したこともある。

12年に「週刊ポスト」(小学館)が、当時24歳のグラビアアイドル小泉麻耶との“3夜連続不倫密会”を報じたのだ。記事では、阿部が試合後に宅配便の配送人を装うような出で立ちで小泉のマンションを訪れたと伝えている。

 巨人広報は「交際している事実はなく友人の1人」としたものの、14年には「週刊文春」(文藝春秋)が新たなスキャンダルを報道。12年に不倫が報じられた後も小泉との関係は続いており、彼女と大手芸能プロダクション幹部との間に起きたトラブルに阿部選手が巻き込まれたのではないかという内容だった。

 阿部選手は06年に結婚しており、12年に不倫疑惑が報じられた時点で3児の父であった。そのため、巨人の主砲かつ主将の不倫スキャンダルということで、大きな注目を集めた。

「段ボールを担いで小泉のマンションに入っていく姿が『宅配屋・慎ちゃん』と命名され、当時は対戦チームの選手にイジられる様子も報じられるなど、大きな話題となりました。阿部は次期巨人監督の筆頭候補と見られていますが、この不倫疑惑が足かせになるのでは、との見方もあります。しかし、現監督の原辰徳も12年に過去の不倫および暴力団関係者への金銭供与が報じられており、阿部の監督就任にも大きな影響はないでしょう。

 また、長年にわたって巨人の顔としてチームを引っ張ってきた阿部は、手に厳しい態度で接することも少なくないことで知られています。12年の日本シリーズでは、ピッチャーの澤村拓一がサインを見逃したことに激高し、マウンドで澤村の頭を叩いたことも。澤村は中央大学の後輩という間柄でもありますが、試合中の前代未聞の行動はいまだに語り草になっています。

 自身の後継者と目されながら精彩を欠いていたキャッチャーの小林誠司については、『あいつは何も聞きに来ない』『小林は、コーチに説教されているときにクロワッサンを食べていた』などと暴露して波紋を呼んだこともありました」(スポーツライター)

 スキャンダル報道はあったものの、多大な功績を残してきた阿部選手。巨人は今後、日本シリーズ進出をかけてクライマックスシリーズを戦うが、阿部選手は有終の美を飾ることができるだろうか。

(文=編集部)

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