「10年以上前から違法薬物を使用していた」「これまでに大麻やLSD、コカインも使った」――警視庁の取り調べに対し、沢尻エリカ容疑者はこのように供述しているという。次々と出てくる告白は、トップ女の薬物依存を裏付けるようで衝撃的である。

 沢尻容疑者は11月16日、自宅に合成麻薬「MDMA」を所持していたとして、麻薬取締法違反容疑で警視庁組織犯罪対策部第5課に逮捕された。すでに、自宅で発見されたMDMAについて自分のものであることを認めているという。さらに、「これまでに有名人が薬物事件で逮捕されるたびに、私も危ないんじゃないかと注意してました」「私のところには、警察は来ないだろうと思っていた」などと胸の内を吐露している。

 素直に話せば話すほど、女優としてのイメージは悪くなり、量刑にも影響するはずだが、そんなことが頭にある様子ではない。

 一方で、宿泊したホテルの部屋から発見された注射器を「自分のではない」と否定しているのが田代まさし容疑者だ。田代容疑者は覚せい剤を所持していたとして、11月6日に逮捕されている。もちろん、本当に田代容疑者の持ち物ではないのかもしれないが、夜遅くにチェックアウトした後、部屋から2本の注射器が見つかったという状況を考えると、その可能性は低いといわざるを得ない。

計算なしの素直な供述

「まぁ、正直にいろいろと供述しているな。俺なんかとは大違いだ」。

 覚せい剤使用で複数の逮捕歴があるA氏は、苦笑しながら語る。

「俺のように“逮捕慣れ”すると、少しでも量刑が軽くなるよう、言わなくてもいいことは口にしない。裁判で心証を悪くするし、判決にも響くからだ。

購入先についても“街角の売人”としか言えない。その点、初犯の彼女は素直だなぁ、という印象だ。なんにも計算してないんだからな。

 逆に、田代まさしが“俺のじゃない”と言った気持ちもよくわかる。二度も三度もパクられると、どうにか言い逃れようとなるし、俺もそうだった。いけるところまでは『知らぬ存ぜぬ』を突き通そうとなるんだ。頭の中では『もうやめよう』と思っていても、快楽が刷り込まれているから手を出してしまい、何度も逮捕されるのが薬物常習者。その点、沢尻は中毒にまではいってない気がするわ」(A氏)

 沢尻容疑者といえば、2007年に「別に騒動」で大バッシングを受け、09年には前所属事務所との専属契約が解消、10年春まで芸能活動を休止している。当時は気分が落ち込み、時間も持て余していたことは想像にかたくない。「10年以上前から違法薬物を使用していた」という供述とも、重なる時期だ。このあたりから歯車が狂い始めたのだろうか。

「若い頃、俺はまずハッパ(大麻)を使った。

ハッピーな気分になったが、だからといって『ハッパがほしい』とはならない。ちょっとした気分転換のようなものだった。コカインもそうだが、あのあたりの薬物は使う人間の精神状態がカギになる。ストレスが少ないヤツは常習にはなりにくい。なぜなら、ほかに楽しいことを知っているからね。

 その点、おそらく彼女は女優として背伸びをしており、我慢の限界を超えた日々を送っていたのだろう。だからこそ、現実から逃れた“非日常”を味わいたくなるわけだ」(同)

女優に復帰してはいけない理由

 もともと、バラエティ番組での様子やリポーターとのやり取りなどを見ても、沢尻容疑者は人付き合いが苦手で人見知りであることが伝わってくる。そう考えると、根は素直な女性なのかもしれない。今後は更生の可能性も感じさせるが、「大麻やコカインも使った」などと供述しており、常習的に使用していた可能性も浮上している。前述のようにA氏は「中毒ではない」と見ているが、大丈夫なのだろうか。

「中毒というより、その一歩手前だろう。あれだけ素直に供述しているのなら、元に戻れる。

大きく分けて、薬物には2つの使用目的がある。『つらい現実から逃れたい』、そして『気持ち良い性行為がしたい』。沢尻の場合は後者ではなく、あくまでつらい現実から逃避するためだったんだと思う。だからこそ、罪を償った後は女優ではなく、自分らしく生きられる道を選ぶべきだと思うわ」(同)

 薬物から立ち直ったら、女優として華やかな舞台に返り咲くのではなく、背伸びしない生き方をする。それが、再び手を出すのを防ぐための手段だという。

「俺や田代のようになったらおしまい。彼女には、背伸びせず生きていってほしい。罪を償って、薬物地獄には陥らないような生き方をしてほしいわ。でないと、本当に人間として終わってしまうよ」(同)

 精神を高揚させる薬物は「元気の前借り」とも言われる。しかし、元気になった分、その反動でつらさが倍増する。そして、再度求めてしまう……こうした悪循環を断ち切るためには、沢尻容疑者は女優とは別の道を選択したほうがいいのかもしれない。

(文=稲垣翼/ライター)

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