日本テレビの小杉善信社長が3月23日の定例会見で「『24時間テレビ』はやる予定です」と述べたことが波紋を呼んでいる。
新型コロナウイルスの感染拡大により大規模イベントやアーティストのコンサートが中止される中、小杉社長は「『24時間テレビ』はやるのか?」という記者の質問に「もちろん、はい」「やらないといけないという、我々も使命感を持っておりますので」と答えたことが報じられた。
毎夏恒例となっている『24時間テレビ』は全国各地でのロケや中継が多く、会場には多くの観覧客も詰めかけることで知られる。また、チャリティーマラソンが名物企画となっていることでもおなじみだ。しかし、今は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐべく、国を挙げてさまざまな施策が採られている最中だ。さらに、今夏に開催される予定の東京オリンピック・パラリンピックも延期や中止が取り沙汰され、国際オリンピック委員会(IOC)の動向に注目が集まっている。
そんな中、日テレが早々に『24時間テレビ』の制作および放送の“強行”を明らかにしたことに対して、ネット上では以下のような反応が噴出している。
「この状態でも無理矢理やるって、よっぽどお金儲かるんだね」
「また偽善番組で金儲けする気? そもそも感動の押し付けだと思ってたけど、これではっきりした」
「使命感って何? 世間との温度差が激しすぎる……」
「出演者や観覧客が感染するリスクもあるだろうし、そのあたりはどうするんだろう」
「コロナのせいにして打ち切るいいチャンスなのに……。収益を得るための使命感に突き動かされたのかな」
新型コロナウイルスとイベントをめぐる問題では、IOCが東京オリンピックの延期を含めた検討に入ると発表したことを受け、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗会長と武藤敏郎事務総長が23日、記者会見を行い、以下のように述べた。
「(通常開催に向けて)私どもは歩んでまいりましたが、今日の状況を見ると、国際情勢は変化して、まだ予断を許さない。欧州や米国など異常な事態になっている地域もある。いろんな(延期や中止を求める)声があるのに『最初の通り、やるんだ』というほど我々は愚かではない」(森会長)
また、IOC側とは「中止はあり得ない」「日本とIOCの代表者が議論する。双方で考え方をまとめ上げていく」「延期の議論を避けるわけにはいかない」「シナリオについて精査したい。
国会では、安倍晋三首相も「中止は選択肢にない」とした上で、「仮にそれ(完全実施)が困難な場合は、アスリートのみなさんのことを第一に考え、延期の判断も行わざるを得ない」と述べるなど、延期を容認する考えを初めて示した。
すでに、カナダのオリンピック・パラリンピック委員会は「今年夏の開催なら選手団を派遣しない」と発表しており、IOCに開催を1年間延期することを求めているという。また、オーストラリア・オリンピック委員会も、延期も含めて検討するというIOCの方針を受けて、2021年夏に開催される前提で準備を進めることを発表するなど、海外からの“延期圧力”が強まっている。
「中止や無観客での開催はあり得ない」と主張してきた東京都の小池百合子知事は「IOCは、中止はないと明言されている。その点、私と同じ考えであると共有できてよかった」と述べた上で、延期については「これから4週間かけてさまざまなシナリオを検討するが、その中にはその言葉も入ってくるのでは」と容認の可能性を示唆する発言をしている。
そのため、「オリンピックが延期されたのに『24時間テレビ』はやってたら、おかしくない?」「オリンピックが延期されても日テレは強行するのかな? 違和感ありありだけど」といった声も噴出している。
また、小池知事は「この3週間、オーバーシュートが発生するか否かの大変重要な分かれ道であるということです」として、新型コロナウイルスの大規模な感染拡大が認められた場合は首都の封鎖(ロックダウン)を実行する可能性も示唆し、あらためて大型イベントの自粛などを求めた。
このような状況の中、日テレの『24時間テレビ』強行はどのような結果となるのだろうか。あるいは、夏には状況が変わっているのだろうか。
(文=編集部)