新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、政府は不要不急の外出をしないように要請しているが、自粛期間が長引いてきた今、家の中に籠っていることが退屈になってきている人も多いのではないだろうか。そこで、面白い動画やタメになる動画などを紹介していきたい。
今回紹介するのは、テレビ東京の動画だ。テレビ東京ホールディングスは4月15日から20日まで、テレビ東京とBSテレビ東京を自主的に休みとすると発表した。民放テレビ局のなかで、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するために、いち早く番組収録を休止するなど、柔軟で迅速な対応をみせたように、テレ東はテレビの編成や番組内容も柔軟で、他の民放各局とは一線を画す。
そんなテレ東のYouTube動画は、テレビ番組とはまた違った面白さがある。特に紹介したいのは、テレ東のアナウンサーに歌を歌わせる企画だ。「声を使う職業のアナウンサーは歌が上手いのか!?」と題し、若手アナたちの歌う姿を動画に収めている。
入社1年目の森香澄アナが、Official髭男dismの『宿命』を歌ったり、コピーダンスで有名な「聖坂46」とコラボして欅坂46の『ガラスを割れ』を踊ったりする。かと思えば、田中瞳アナと中垣正太郎アナがデュエットのかたちで一青窈の『ハナミズキ』やKing Gnuの『白日』を歌う。
そんななかで、特に中垣アナの歌声が注目を浴びている。中垣アナは昨年10月に『You Raise Me Up』という有名な楽曲を歌う動画を公開したところ、「なぜアナウンサーをしているのか」「声が綺麗すぎる」「海外のオーディション番組でも絶賛されるレベル」と称賛の声があふれた。また、テレ東の番組『内村のツボる動画』のなかでMCの内村光良も、「神の声」「日本じゃ収まらない声をしている」「彼は日本のスーザン・ボイル」と褒めちぎった。
確かに、さすがアナウンサーと思わせる綺麗な声で、低音から高音まで広い音域を聞き取りやすく歌い上げている。そんな中垣アナの歌を、世界で活躍するクラシックの指揮者が聞いたら、どう評価するのだろうか。当サイトで「世界を渡り歩いた指揮者の目」の連載記事を執筆する篠崎靖男氏に話を聞いた。
“プロ”の視点で分析した中垣正太郎アナウンサーの力量「テレビ東京といえば、どのチャンネルを見ても昼のワイドショーで深刻な新型コロナウイルスのニュースばかり流れているなか、『昼めし旅 ~あなたのご飯見せてください!~』をのどかに放映するなど、独自の路線を崩さないですね。2001年にニューヨーク同時テロ、すべての放送局が緊急特番を組んだなか、テレビ東京だけが温泉番組を放送していたエピソードを思い出します。僕はこんなテレビ東京が大好きで、今回、ビジネスジャーナル編集部から『テレビ東京の中垣正太郎アナの歌唱が素晴らしいと話題になっている。プロとしてどう思いますか?』とご質問を受け、喜んで聴いてみました。
調べてみますと、この2018年にテレビ東京に入社したアナウンサー。ラグビーの本場、ニュージーランドのカンタベリー大学でラグビーをやっていただけに、とてもがっちりとした体つきです。そんな鍛え上げられた体から出てくる声は、さぞや力強いのかと思いきや、まさかの高音。そして、その声は女性歌手のように美しい。彼の声の特性は、ファルセット(裏声)がすぐれていることです。
しかし、どうしても蚊の鳴くような音量となってしまうのが普通なのですが、なかには強くファルセットを出せる才能を持った人がいて、中垣アナウンサーはそれにあたります。歌手でいえば、平井堅さんがそうですね。しかも天性の美声だけでなく、ラグビーで鍛えられた体と、日ごろのアナウンサーとしてのヴォイストレーニングが、しっかりと下支えしています。そして、もともとの低く朗々とした地声と、高く美しいファルセットを自由に変えながら歌うことができる才能は、アメリカの黒人歌手によくいるのですが、なかなかの逸材だと思います。ニュージーランド留学中は、チームメートに英語で歌って、大うけしていたに違いありません。
今、中垣アナウンサーだけでなく。田中瞳さんをはじめとして、テレビ東京のアナウンサーはドンドン歌いまくっているお祭り状況のようですが、そんななか、僕が一押しするのは、2019年入社の森香澄アナウンサーです。美しい声の歌手はたくさんいるのですが、森アナウンサーの声は独特で、惹きつけられますね。すべてが整っている美人よりも、少し鼻が低かったり、厚ぼったい唇を持った女優のほうが魅力を感じるのと、声も同じなのです。
いずれにしても、テレビ東京。
篠崎氏は、指揮だけでなく声楽にも精通している。そんなプロから見ても、テレ東のアナウンサーたちの“歌い手”としての力量は高いレベルにあるようだ。
(文=編集部)