ツイッターやフェイスブック、インスタグラムといったソーシャルネットワーキングサービス(SNS)に関する法整備が一気に進む可能性が出てきた。

 女子プロレスラーの木村花さんが、SNS上で誹謗中傷を受けたことが原因で自ら命を絶ったとみられており、波紋を広げている。

木村さんは23日、22歳の若さで亡くなった。米動画配信大手・Netflixやフジテレビなどが放送する恋愛リアリティー番組『テラスハウス』に出演していたが、番組内での木村さんの様子に腹を立てた視聴者らがSNS上で執拗なまでに誹謗中傷を繰り返していた。

 これを受けて高市早苗総務相は26日の閣議後記者会見で、「匿名で人を中傷する行為は、人として卑怯で許しがたい」と怒りをあらわにし、匿名発信者の特定を容易にするなど「制度改正を含めた対応を、スピード感を持ってやっていきたい」と述べた。

 また、メンタリストDaiGoが24日、自身のYouTubeチャンネルを更新し、誹謗中傷するようなコメントを書き込んだ相手に対しては、積極的に訴訟を起こすと宣言した。DaiGoは、木村さんの件は関係なく、すでに1月から複数の訴訟を準備していると明かした。

「この法治国家の中で人を裁いていいのは法律だけ。どこから誹謗中傷なのか、どこから罪になるのかは裁判所が判断すること」との持論を述べ、今後は迷わず提訴するとの意向を明らかにした。

 タレントや著名人、所属事務所が訴訟に二の足を踏むのはテレビ局や番組スポンサーに配慮しているからだと推察し、騒ぎたてるようなタレントはCMや番組MCに起用されなくなるとの事情を明かした。だがDaiGoはテレビが本業ではなく、CM出演も求めていないとし、「だから、訴訟はバンバンやります」と決意表明。

 そのうえで、現在訴訟の対象としているのは、主に週刊誌の記者やネット記事の運営者で、一般人も含まれているという。

 ほかにも、俳優の城田優がツイッター上で、自身に向けて発せられた中傷ツイートを引用しながら、「こういう発言。今後は提訴していきます」と発言。

匿名で誹謗中傷を行う人物に対し、法的措置を講じることで徹底的に戦う意志を表した。

 韓国の芸能界では、俳優やタレントなどの有名人がSNS上で激しいバッシングを受けて自殺する事件がここ数年相次ぎ、大きな社会問題になっている。同じようなことが日本でも続かないよう、迅速な法整備が求められる。

(文=編集部)

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