日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)1部のベガルタ仙台は20日、道渕諒平との契約を解除したと発表した。20日発売の写真週刊誌「FLASH(フラッシュ)」(光文社)によると、道渕が交際していた女性にドメスティック・バイオレンス(DV)行為を繰り返し、9月7日に傷害容疑で宮城県警に逮捕されたという。
ベガルタは、「当クラブが認知していなかった事実など、クラブの秩序、風紀を著しく乱す内容が含まれていたことから、同選手に事実関係を確認した上で、10月20日付けで契約解除を決定いたしました」と説明。
運営会社の株式会社ベガルタ仙台の菊池秀逸代表取締役社長、渡辺雅昭取締役、丹治祥庸強化育成本部長が緊急会見を開いた。その説明によると、クラブ側が道渕と女性とのトラブルを把握したのは8月14日で、道渕に事情聴取を行い、事実確認したという。高度にプライバシーな問題であり、クラブの顧問弁護士から「当人同士で解決することが望ましい」との助言を受け、双方からも要望があったとして非公表にすることを決断。
女性が被害届を提出していることもありベガルタは、一度は道渕を自宅待機としてJリーグにも報告。その後、示談が成立したことから、ベガルタは道渕を試合に出場させ続けている。
9月7日に道渕は逮捕され、その旨が報じられたが、ベガルタは「逮捕は確認できていない」と発表している。逮捕状が執行されたことを把握していながら、微罪処分として数時間後に釈放されたことで、逮捕がなかったかのように説明しているのだ。さらに、その後も道渕を練習や試合に出場させ続けた。
それが、20日発売の「フラッシュ」でトラブルの詳細が報じられると、一転してベガルタは契約解除を発表。クラブ側は、「認知していなかった事実」があったことを理由に挙げているが、そもそもDVによってトラブルを起こし、逮捕されていたにもかかわらず、詳細を把握できていないことのほうが問題ではないだろうか。
常習的に暴行の可能性も道渕は、以前の所属クラブ、ヴァンフォーレ甲府でも、今回とは別の女性に対して暴力を振るったとして逮捕されている。
「道渕は仙台で生まれ育ち、ベガルタのアカデミーでサッカーを学び、2017年に明治大学を卒業後、ヴァンフォーレ甲府に加入しています。大学時代には総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント、関東大学サッカーリーグの2冠達成に貢献し、ベストイレブンにも選ばれるなど、目覚ましい活躍をしていました。しかし、実はその頃から暴行の噂はありました。ヴァンフォーレに加入して数カ月後に女性への暴行容疑で逮捕されているので、常習的に暴行が行われている可能性が高いでしょう。
2019年シーズンにベガルタに移籍してからも、仙台駅前で女性に暴行していたといった目撃情報がファンらから複数寄せられており、ベガルタの上層部も把握していたはずです。いくら地元育ちのスター選手とはいえ、対応が甘いとの誹りは免れないでしょう」(スポーツ紙記者)
ベガルタは、仙台市などが最大の出資者になっており、その運営には多額の税金がつぎ込まれている。そのためか、仙台市や宮城県、地元テレビ局、地元紙や東北電力関連会社のOBや出向者などが経営の中核を担う。
ところが今期は新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で、入場料収入が急激な落ち込みを見せ、2020年度決算の約3億5000万円の債務超過に陥る見通しだ。仙台市議会9月手例会では、議会から経営陣への疑念が噴出していた。ベガルタのスポンサー関係者は次のように苦言を呈する。
「ベガルタの運営実態は、市幹部や地元メディアの天下り先にすぎません。
道渕は仙台市出身で、ユースからたたき上げのスタープレーヤーですし、とにかく傷をつけたくなかったのでしょう。自分たちに責任が及ぶことを避けたかったのかもしれません。被害者の女性が地元メディアに出演していたことも、今回は悪く作用した可能性があります。つまり、クラブ経営側の影響力下で出演していたということです。
9月の仙台市議会で、市はクラブ運営の債務超過に関し、『重要なのは会社側がサポーターの心をつかみ続けることだと思うが、現経営陣はこの点が欠如している』と猛烈に批判されました。市民やサポーターへの情報発信力や、会社の信頼感を疑問視した意見でした。本来、地元住民に絶大な信頼を置かれ、情報発信に長けているはずの地元メディア関係者が運営しているのに、ひどいありさまです」
また、8月時点で女性と道渕のトラブルを把握していながら、今まで何も対応していなかったJリーグの上層部にも批判の目は向けられている。道渕のクビを切るだけでは済まないところまで騒動は拡大している。
(文=編集部)