日本中を騒がせた『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)生放送でのSMAPメンバーによる生謝罪から早7年がたとうとしている今月、メンバーたちですら固く口を閉ざしていたあの解散騒動の裏側を暴露する小説が発表された。その執筆者が『SMAP×SMAP』に放送作家として携わりメンバー5人と直接するやりとりする立場にいた鈴木おさむ氏であることが、SMAPファンの間で物議を醸している。
SMAP解散騒動が表面化したのは、2016年1月のことだった。同月13日付の複数のスポーツ紙が、SMAPが解散して担当マネージャーで事務所取締役だった飯島三智氏が退職すると報道。これに先立つこと1年前の15年1月には、「週刊文春」(文藝春秋)のインタビュー記事で当時事務所副社長だったメリー喜多川氏が、SMAPについて「あの子たちは踊れないからダメ」と酷評し、飯島氏に向かって「(実娘で現社長の藤島ジュリー景子氏と対立するなら)SMAPを連れて事務所を出て行け」と叱責していたため、SMAPの解散と事務所退所が現実味をもって世間に受け止められた。
そしてスポーツ紙報道から5日後の1月18日に「事件」は起きた。『SMAP×SMAP』に黒のスーツ姿で緊急生出演したSMAPのメンバー5人は、一人ずつ神妙な面持ちで短い謝罪コメントを読み上げたのだが、なぜか草なぎ剛だけは
「今回、ジャニーさん(ジャニー喜多川元社長)に謝る機会を木村くんがつくってくれて、今僕らはここに立てています」
と木村拓哉への感謝の言葉を口に。加えて5人の立ち位置をみると、リーダーの中居に代わって木村がセンターに立っていたため、さまざまな憶測が飛び交う事態となった。
「すでに生放送の時点で、当初は5人そろって事務所を離れてグループを存続させる予定だったものの、木村の翻意によって計画が崩れ、事務所残留を主張する木村と他の4人との間で対立が生じているという報道が広まっていた。それだけに『SMAP×SMAP』での5人のコメントが『すべて事務所に言わされたもの』という見方が広まった。結局、その年の年末をもってSMAPは解散することになるが、大みそかには木村以外の4人が都内の焼肉屋で『解散式』を行い、以前から囁かれていた『1対4の対立構造』が現実のものであることが公に。その後は稲垣吾郎、草なぎ、香取慎吾がジャニーズを離れて飯島さんが立ち上げた事務所に移籍し、中居も2年前に独立。現在、元SMAPメンバーでジャニーズに残るのは木村のみとなった」(週刊誌記者)
木村拓哉への感謝の言葉そんな解散騒動について元メンバーをはじめ当事者たちが口を閉ざし、昨年にメリー氏も死去。
特に物議を醸してるのが、当時副社長だったメリー氏による放送への介入だ。同小説によれば、番組側が用意した各メンバーのコメントについて、生放送1時間前にメリー氏が修正を要請。そこには「メンバーが絶対に言うべき言葉」も指示されており、鈴木氏は草なぎにその言葉を含んだコメントを話すことをお願いし、草なぎが本番で「ジャニーさんに謝る機会を木村くんがつくってくれて、今僕らはここに立てています」と語るに至ったという。
「草なぎ本人や番組サイドが木村へ感謝を述べるコメントをつくるはずはなく、そうなると、あんな内容をメンバーに話させることができるのはメリーさんしかいないので、生謝罪の内容はすべてメリーさんの筋書きどおりだったというのは業界では常識。ただ、それがルポのようなかたちで文字として世間に公表されたというのは驚くべきことといえる」(テレビ局関係者)
キンプリ解散のタイミングで鈴木氏といえば『SMAP×SMAP』のみならず、以前放送されていたラジオ番組『木村拓哉のWhat’s UP SMAP!』(TOKYO FM)を担当し、現在放送中の『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』(TBS系)や、香取、草なぎ、稲垣がレギュラー出演する『ワルイコあつまれ』(NHK Eテレ)も担当。『20160118』でも5人全員とつながりがあったことがうかがえるため、なぜ7年たった今、騒動の裏側を明かすという行動に出たのかが気になるところだが――。
「木村は鈴木さんのことをテレビやラジオなどで『おさむ』と呼ぶほど心を許している。他の4人にいたっては今まさにレギュラー番組を担当しており、小説の発表にあたっては5人全員の了解を取っているとみられる。鈴木さんがSMAPにとって不利になるような内容を綴るはずがないと5人が確信しているからだろうし、実際に小説の内容をみても、5人のイメージに傷をつけるようなマイナスの記述はない。
ただ、ジャニーズ現社長のジュリーさんにしてみれば、実母であるメリーさんの関与を暴露されたばかりではなく、今回の小説発表がきっかけとなり、過去にさんざん報じられた飯島さんの確執が蒸し返されることは必至のため、鈴木さんはジャニーズにケンカを売った格好になる。
鈴木氏は執筆を決意した理由について、自身にInstagram上で
「これは『何かを暴露する』とか『誰かを告発したい』なんてものではありません」
「ここでは、ぼくの目から見えたものを小説として書いていて、あの日の放送からの5人の行動に対して感謝していること、ああいうことが起きる裏での、彼ららしさと優しさ。そんなことを小説として書いています」
と綴っているが、別のテレビ局関係者はいう。
「折しも先月にはKing&Princeが解散を発表し、その背景に事務所との確執があったという報道も相次ぎ、ファンの間ではジュリー社長への批判が高まっている。また、ファンクラブ会員向けサイト上で公開された動画内でメンバーが解散を報告するコメントをめぐっても、『事務所に言わされているのでは』とファンをザワつかせている。そんなタイミングでの小説発表となり、ジュリーさんが激怒しているのは容易に想像がつく。ジャニーズは文藝春秋が出版する『週刊文春』の記事をめぐり法的手段を取るとも発表しており、鈴木氏の小説についても事実無根、名誉棄損だとして法的手段に訴えてもおかしくはなく、鈴木氏とジャニーズの全面抗争に発展する可能性もある。
ただ、鈴木さんは元SMAP以外のジャニーズグループの番組にも携わる人気放送作家であり、もし露骨に番組から外されたり仕事が減ればジャニーズのほうに批判が注がれかねず、ジャニーズもテレビ局も静観するだろうという、したたかな計算が鈴木さんにはあるのかもしれない」
果たして鈴木氏の真意はいかに。
(文=Business Journal編集部)